- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784759814996
作品紹介・あらすじ
巷にあふれる心理をめぐる数々の「神話」.人は脳の10%しか使っていない,サブリミナル効果,睡眠学習,ポジティブ思考でガンを克服する,アダルトチルドレン,自閉症の流行など,蠱惑的でときに危険な神話を50項目取り上げ,それらはなぜ神話でしかないのか根拠を示して解説する.神話の崩壊が始まりますように!
感想・レビュー・書評
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原題:50 Great Myths of Popular Psychology: Shattering Widespread Misconceptions about Human Behavior
著者:Scott O. Lilienfeld
著者:Steven J. Lynn
著者:John Ruscio
著者:Barry L. Beyerstein
監訳:八田 武志/戸田山 和久/唐沢 穣
訳者:岩澤直哉/菅原裕輝/竹下至/竹橋洋毅/豊沢純子/中山健次郎/野寺綾/八田純子/八田武俊
【書誌情報】
3,200円+税
出版年月日:2014/03/20
ISBN:9784759814996
四-六 452ページ 在庫あり
巷にあふれる心理をめぐる数々の「神話」.人は脳の10%しか使っていない,サブリミナル効果,睡眠学習,ポジティブ思考でガンを克服する,アダルトチルドレン,自閉症の流行など,蠱惑的でときに危険な神話を50項目取り上げ,それらはなぜ神話でしかないのか根拠を示して解説する.神話の崩壊が始まりますように!
<https://www.kagakudojin.co.jp/smp/book/b165637.html>
【目次】
エピグラフ [i]
目次 [iiiーvii]
訳者一覧 [viii]
はしがき [ixーxv]
序章 心理学神話の世界 001
通俗心理学産業/自称心理学者たちの心理学/心理科学と常識/なぜ注意しなければならないのか?/心理学神話を生む一〇の原因――神話退治のための道具/心理学神話の世界――その先にあるもの
第1章 脳が秘めた力――脳と知覚をめぐる神話 029
神話1 人は脳の一〇%しか使っていない 030
神話2 左脳人間と右脳人間がいる 035
神話3 超感覚(ESP)は科学的に確立された現象だ 040
神話4 ものが見えるのは、眼から微細な物質が出るからだ 046
神話5 サブリミナル効果でものを買わせることができる 050
第2章 人が死ぬまでに経験すること――発達と加齢をめぐる神話 059
神話6 モーツァルト効果で子どもの知能が向上する 060
神話7 青年期は心理的に不安定な時期である 065
神話8 四〇代から五〇代前半に中年の危機が訪れる 069
【神話退治 再検討の結末】空の巣症候群 074
神話9 高齢者は不満が多くなり、心身ともに衰えが増す 075
神話10 余命を知ると、誰もが同じ心境の変化を経験する 080
第3章 過去の出来事の思い出――記憶をめぐる神話 085
神話11 人は過去の出来事を正確に記憶している 086
神話12 催眠術で忘れた記憶を取り戻せる 092
神話13 トラウマ的な出来事の記憶は抑圧される 098
神話14 記憶喪失者は過去の人生をすべて忘れる 104
第4章 学習効果の高め方――知能と学習をめぐる神話 109
神話15 IQテストは特定の人には不利になる 110
神話16 試験に自信がないなら、最初の直感を信じるのが一番 116
神話17 ディスレクシア(読み書き障害)の特徴は逆さ文字である 119
神話18 生徒の学習スタイルに合った指導で最高の学習効果が得られる 123
第5章 こころの奥をのぞき込む――意識をめぐる神話 131
神話19 催眠は目覚めているのとは違う「トランス」状態である 132
神話20 夢には象徴的な意味がある 139
神話21 睡眠学習は効果的な方法である 143
神話22 体外離脱体験の間、意識は身体から離れる 147
第6章 気の持ちようで変わること――感情と動機をめぐる神話 153
神話23 噓発見器は確実に噓を見破る 154
【神話退治 再検討の結末】自白剤で噓を発見できるか? 162
神話24 幸せは生活環境で決まる 163
神話25 潰瘍の原因はストレスだ 168
神話26 ポジティブ思考でガンを克服できる 172
第7章 他者との良好な関係を築くために――対人行動をめぐる神話 179
神話27 自分とは違うタイプの人に惹かれる 180
神話28 緊急時、数多ければ安全である 185
神話29 男女のコミュニケーション方法はまったく違う 191
神話30 怒りは抱え込まずに発散したほうがよい 197
第8章 自分の内面に目を向ける――パーソナリティをめぐる神話 203
神話31 同じ環境で育てられた子どものパーソナリティは似ている 204
【神話退治 再検討の結末】出産順とパーソナリティの関係 209
神話32 遺伝的な特性は変えることができない 211
神話33 自尊心の低さが心理的問題の原因だ 217
神話34 幼児期の性的虐待は深刻なパーソナリティ障害を引き起こす 223
【神話退治 再検討の結末】子どもの立ち直る力を過小評価すること 228
神話35 ロールシャッハ・テストでパーソナリティがわかる 230
神話36 筆跡にはパーソナリティが現れる 236
第9章 こころの病気への対処――精神疾患をめぐる神話 243
神話37 精神医学的診断名は差別のもとになる 244
神話38 自殺するのは重いうつ病患者だけだ 251
神話39 統合失調症患者は多様なパーソナリティを持つ 254
神話40 アルコール依存症の親を持つ子どもはすぐにわかる 256
神話41 幼児の自閉症が急増している 263
【神話退治 再検討の結末】自閉症の人は優れた知的スキルを持つか? 269
神話42 満月の日には精神病院への入院と犯罪が増える 271
第10章 犯罪者の取り違え――心理学と法律をめぐる神話 277
神話43 精神病の人は暴力的である 278
神話44 犯罪プロファイリングは事件解決に役立つ 282
神話45 犯罪者の多くは心神喪失で罪から逃れようとする 288
神話46 自白する人は実際に罪を犯している 293
第11章 こころの問題を解決する――心理療法をめぐる神話 301
神話47 臨床場面で一番頼りになるのは専門家の判断と直感だ 302
神話48 アルコール中毒の現実的な治療法は禁酒である 308
神話49 幼児期の問題に対峙させる心理療法は効果がある 314
神話50 電撃(ショック)療法は残酷で身体にも悪い 318
あとがき――真実は小説より奇なり [325ー331]
訳者あとがき(訳者を代表して 戸田山和久) [333ー340]
本書の著者たち
本書の特質と位置づけ
通俗心理学の心理学
最後に
参考文献 [41-93]
付録③ 心理学神話を探求するうえで役立つウェブサイト [39ー40]
付録② 関連する推薦資料 [32ー38]
付録① 検討すべきその他の神話 [14ー31]
索引 [1ー13]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ボリュームが多すぎ、自分の興味ある部分だけ読んだ。
・何か意外なことを決めつけるような心理学は、正しくないことが多い
・人は、似た者同士で好きあうのが一般的。似た者同士でちょっとだけ異なる、というのが惚れあうポイント。
・答えに自信がない時、直観を信じる、というのは嘘。場合に依る。(おそらく、失敗経験が強烈に残ってしまった人間共通の経験からきた言葉。)
・ミドルエイジクライシスは嘘。人に依る。
・ポジティブ思考でガンは治る、というのは言いすぎ。 -
俗説、迷信を論破するにあたり「そのようなことは証明されていない」「そういった現象は確認されていない」では、ビリーバーには届かない。本書は、採り上げる事例はとても良いと思うが全体にこのようなトーンで構成されており、一つの事例に割くスペースの少なさを考慮すると、もっと大胆に、結論・論拠・出典に絞った構成で良かったかと思う。
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四人の心理学者が50の心理学神話を斬り捨てていく。右脳人間左脳人間,サブリミナル効果,モーツァルト効果などなど,「メディア御用達の心理学者もどき」が撒き散らす俗説を,1000にのぼる先行研究に基づいて検証。その多くを歪曲や誇張と片付けている。
神話の否定がメインではあるが,それに終始するわけではなくて,ちゃんと根拠の存在する心理学ネタ10についても紹介。…ただこれらのネタのいくつかからは,残念ながら俗説と似たような胡散臭さを感じてしまった。インパクト狙いすぎて同じ穴の貉にならないためにも,もうちょっとこの部分の記述に厚みが欲しかったかも。
全体的には良本。 こういうカウンター情報がもっと普及して,テレビ番組,自己啓発本,雑誌,映画,インターネットなどの通俗心理学産業が縮小するのは大歓迎。「話のネタに便利」という都市伝説の特徴に「科学」の権威を加えて稼ぐ神経神話のビジネスモデルは,さらに悪質なニセ科学の蔓延の下地作りにもなっているだろうから。 -
サブリミナル効果、中年の危機、催眠術による記憶の復活、高齢者への偏見等、世間に広がっている誤った情報をエビデンスを基に否定する本。
10年前の本だし、アメリカでは広まってるが日本ではそんな広まってない俗説もあったりするけど、人の直感がいかに当てにならないか、相関関係と因果関係の勘違いの多さ、メディアの影響力がいかに大きいかが分かる。
特に「〇〇な人は××をよくする」という先入観があると、"〇〇な人が××をした場合"は記憶に残るが、"××をしなかった場合"は記憶に残らないので、結果としてその人の中に「やっぱり〇〇な人は××をするんだ」という誤った相関データが蓄積される問題は、偏見・差別の強化に繋がるから気を付けた方が良さそう。 -
信じてしまっていた“俗説”が間違いだらけだと知る。なにが正しいのかを見極めるのは“一般人”には難しい時代になってしまっているのだろう。でも、過ちを犯さないためにも勉強せねばと、この本を読んで痛感。
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メンタリストDaiGoが推薦していた本ですが、確かに面白い。巷であたかも信じられている数々の神話(俗説)を科学的に検証した労作です。執筆者4人、翻訳者12人という大布陣で、訳者あとがきも素晴らしい。科学的検証云々の話がまだるっこしい人はこのあとがきだけを読んでも基本は押さえられます。ただ、「科学は神話と神話の批判から始まる」という科学哲学者カール・ポパーの言葉通り、反証可能性こそが科学を非科学と区別できる基準という前提に立っており、あくまでも現時点での科学的経験値的事実における考察であり、本書で書かれていることが未来永劫正しいかどうかは別だということは留意しておく必要はありそうです。
個人的には神話21「睡眠学習」神話23「ウソ発見器」が興味深かった。
さらに、巻末付録として検討すべきその他の神話として日常の話題でも使えそうな俗説が約200個取り上げられているサービスぶりです。 -
心理
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様々な議論を巻き起こしているリリエンフェルドの本です。わたしは原著で読みましたが(^^;;
広範囲な心理学批判です。たぶん、セラピストと言われる人の多くを敵に回します(^^;;
少し言い過ぎかも、と思いながら読みましょう(^O^)/