100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)

著者 :
  • 化学同人
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759816761

作品紹介・あらすじ

テクノロジーの進歩は,社会に大きな変化をもたらす.私たちは,現在のテクノロジーだけでなく,未来のテクノロジーとどう付き合っていけばよいのだろうか.本書では,生殖医療,遺伝子操作,サイボーグ,不老長寿,人工知能,仮想現実などを取り上げ,それぞれのテクノロジーの現状を整理し,『ガタカ』『ロボコップ』『マトリックス』といったSF映画も参照しながら,まだ見ぬテクノロジーと社会の関係を予測する.気鋭の哲学者による刺激的論考!

感想・レビュー・書評

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  • 100年後の未来をテクノロジーの発展という観点から予測した本。生殖医療、遺伝子操作、サイボーグ、不老長寿、人工知能、仮想現実、スマートドラッグ、ロボット、IoT、などの技術分野を扱っており、それぞれの現状と問題点そして未来に可能になるであろう技術の発展を記載している。

    著者は各分野の専門家ではなく、哲学者であるため、彼自身のユニークな視点を交えた未来予想を期待していた。しかし、同時代人の未来予測の現状分析と論点整理、そして問いを立てるところで終了しており(ただ、その分析と整理自体は高い水準で行われている)、それが世界や社会そして我々に対してどのような進路を決断させるか、その哲学は書かれていなかった。もっとも、前書きに記載されているように、本書は一般市民目線から中立の立場を保ってテクノロジーの発展を見ていくというスタンスなので、哲学的な観点から未来を考えることを期待するのは正しくないのかもしれない。

    以上から、本書から得られる分析と章末で紹介されている参考文献をもとに、自分で考えてみるための案内書として読むのが、最も得られるものが多いスタンスだと感じた。

  • 大学の授業をもとにした本。

    SF映画を題材にテクノロジーが社会に 良い影響/悪い影響 を与えるのかを問う。テクノロジーの主な題材としては生殖、クローン、DNA、サイボーグ、人工知能、ロボットなど幅広く扱っている。幅広く扱っているため各論の内容は深くまで突っ込まれていない。
    各テーマの終わりにブックガイドがあるので各論のテーマを深めたい人はブックガイドに沿って読むとよさそう。

  • 将来実現する可能性のある科学技術がもたらす問題について考察するという1冊になっている。議論の飛躍が見られたり、実現するのが遠すぎるような先の話がされていたりという部分もあったものの、基本的には論理的でかつ丁寧に掘り進められており、面白かった。倫理学のディベートでも使えそうな知識が詰め込まれていたので、ディベートの情報集めにも有効であるように感じた。

  • 現在ある技術が発展することで提起するだろう哲学的問題。能力拡張のドラッグは、酒と何が違うのか?人間の遺伝子的改造は、被害がなければ問題ないのではないか?デザイナーベビーは本人の幸福と親の幸福両方を満たせるのか?テクノロジーの進歩をシンギュラリティーがもたらす不確実性から制限すべきか?

  • 本書は今から100年間の間に実現する可能性のある技術を、生命に関するテクノロジー、人間の能力を高めるテクノロジー、情報テクノロジー、人間の心に関するテクノロジーという4つの分野から13のテーマを選んで取り上げたものです。それぞれの章にそのテーマと関連のあるSF映画が紹介されているので、興味深いテーマについて、映画を見ながら思いを巡らせるといった楽しみ方もできるようになっています。また、この本の筆者は科学技術に関わる研究者でも技術者でもないため、科学技術についてよく知らない人でもわかりやすい内容で、テクノロジーの進化について中立的な視点が保たれているので、「テクノロジーってなんとなく不気味で信用できない」とか、「科学技術が進歩したら自分の生活はどう変わるんだろう」と思っている人たちのための入門書としてもおすすめできます。遺伝子操作、サイボーグ、人工知能、ビッグデータ、バーチャルリアリティといった今話題になっているほとんど全ての技術について知識を得られる本です。ただ、複数のテーマについての入門書なので、この本から得られる知識はごく初歩的なものですし、2018年時点の内容なので若干ですが現在のテクノロジーの流行との差異(例えば量子コンピュータについてこの本では触れていません)があります。興味を持った分野については、それぞれの章の末尾で紹介されている参考文献などを読んでみることをおすすめします。
    (文科Ⅲ類・1年)

    【学内URL】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000061489

    【学外からの利用方法】
    https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

  • 大学の講義風。
    生命、能力向上、情報、心に関するテクノロジーについて、テーマに関連した映画が紹介され、テクノロジーの未来や倫理的問いかけがなされる13章。とても刺激的。

    胚選別やスマートドラッグはなぜ悪い?等々、問いの連発。むしろオールオッケーでいいよ、トランスヒューマニズムの何が悪い!と思えてきた。

    見たくなった映画
    ガタカ、マイノリティ・レポート、マトリックス

  • SF映画にはあまり興味がないのですが、面白かった!最新テクノロジーを4つのフレームワークに分けて論じています。byうき

  • 現代の技術でできる近未来はわかりやすかったが、もうちょっとぶっ飛んだ未来の話かなと思っていたので、ちょっと期待外れ。

  • タイトルは「100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来」だが、語られているのは100年後どころか既に起きている現実とせいぜいが近未来。テーマに沿ったSF映画が導入として記載されてはいるものの、本文とはあまり関係ないようで、とても「SF映画から考える」風ではなかった。
    テクノロジーと倫理という主題は興味深く、生殖科学、遺伝子操作、情報技術などテーマが幅広く頭の整理はできるものの、内容は平凡でタイトルは期待外れとあって、いささか残念であった。

  • 請求記号 404/Su 96

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 相関基礎科学系教授。
著書に『人工知能とどうつきあうか』(勁草書房 近刊)、『100年後の世界』(化学同人 2018)他

「2023年 『談 no.127 自動化のジレンマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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