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- Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760126149
感想・レビュー・書評
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『生活不安』(1919年、文雅堂)と『サボタージユ』(1920年、梅津書店)のほか、労働問題をテーマにした文章4編を収録しています。
『生活不安』は、物価が高騰するも給料が相対的に低く抑えられているために貧苦にあえぐ庶民の実態を、さまざまな資料を示しながら明らかにしています。また、給与生活者だけでなく、教師、巡査、下級将校のような役職にある人々の家計事情、さらに車夫、バタ師、乞食と呼ばれていた人びとの生活実態にも触れられており、広範にわたる貧困の実態を解説しています。ことに子どもの貧困について鋭いまなざしを注いでいる点は、著者の慧眼を示すものといってよいのではないでしょうか。
『サボタージユ』は、日本初のサボタージュがおこなわれた川崎造船所の事例について、この運動に深くかかわっていた著者みずから解説をおこなっています。著者は、この事件における労働者側の代表から相談を受けており、当事者の視点から労使の対立の実態をえがき出しています。交渉の記録も付されており、ある意味で日本的な解決にいたるまでの経緯が詳細に示されているところが興味深く感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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