地形で読みとく都市デザイン

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761527150

作品紹介・あらすじ

普段当たり前に通り過ぎてしまう都市の風景。しかし、潮位の変化、河岸段丘など「地形」を手がかりにすることで、人と大地と水の織り成すドラマが見えてくる。古代の都城から近代都市まで、ブラタモリでおなじみの都市形成史家が案内する、ニッポンの都市・成り立ちの教科書。

感想・レビュー・書評

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  • 読む「ブラタモリ」。TV番組よりは硬い調子で、細かく書かれているので、好きな人は興味深く読めると思う。タイトルどおり、地形と都市との関係だが、縄文前期から近代に至るまでの、それらの変化をたどる旅でもある。川の流れと(自然のものだけでなく人工のものも)、海面の変化が土地を侵食し地形を作る。地形はたんなる起伏ではなく、水(飲用、農業用、水運)につながる。古井戸や神社が土地の歴史をたどる鍵となる。

  • ブラタモリに出演経験もある都市形成の専門家である著者が、何気ない風景がどのように作られてきたのか、そのまちはどのように発展していったかを様々なタイプに分類しながら紹介していく一冊。
    ブラタモリはよく見ていますが、より専門的にした内容です。章ごとに分類された内容に沿って、例として紹介された都市をメモしてみましたが、なかなかこのような視点で見るのは難しいなという印象でした。普通の観光地をめぐるだけでなく、そのまちの成り立ちから考えると、もっと深くその地を知ることができると思います。

    1章 古代の都城と陸海の道
     1 東西日本の運命を分けた縄文時代の火山と潮位
     2 理想の地形を求めた都城と地形を無視できなかった東海道
     3 古代の信仰と流域・海上交通
     4 潮位の変化によって入江から台地のまちにー鹿島(茨城県鹿嶋市)
    2章 河岸段丘が織り成す都市と田園
     1 河岸段丘下に広がる日本らしい風景ー座間
     2 河岸段丘と用水が織り成す宿場町ー日野
     3 複合する河岸段丘上の平坦地の宿場町ー桑折(福島県桑折町)
     4 起伏のある河岸段丘に成立した用水路が巡る町ー吉井(福岡県うきは市)
    3章 港町
     1 地形と港町のかたち
    ・尾道(広島県)、牛窓(岡山県)、室津(兵庫県)
    ・入海から発展した庵治(香川県高松市)
    ・岬に集約化された中世港町・津屋崎(福岡県福津市)
    ・三国(福井県)
    ・丘陵を背に砂州の斜面地に成立した短冊上の近世港町・亀崎(愛知県半田市)
    ・格子状の空間構造を持つ近世港町・酒田(山形県)
     2 凹地に潜む中世のラビリンス空間ー真鶴・宿根木(新潟県佐渡市)
     3 潮位差の少ない環境がつくりだす水際景観ー伊根・成生(京都府舞鶴市)
    ・山の稜線に包まれた内海に成立する伊根
    ・舟屋のある漁村集落・成生
    4章 城下町
     1 城下町の成り立ちと地形ー城の立地戦略と河川・用水の利用
    ・岐阜、大坂、江戸、福井、金沢
    ・低湿地帯に築かれた特異な城下町・柳川
     2 山間の凹地に潜む中世城下町ー一乗谷・枝折(滋賀県米原市)
     3 山間の渓谷に巡らされた用水の城下町ー郡上八幡
     4 扇状地につくられた城下町ー山形
     5 高低差を活かしたダイナミックな惣構の城下町ー江戸
    5章 開港場と居留地
     1 開港場・居留地の立地と地形
    ・長崎
     2 水際の低地に立地する居留地の展開ー横浜
     3 神話的象徴軸が同居する河口の開港場ー神戸
    6章 近代都市
     1 平山城を核にした城下町とその周縁に敷設された鉄道
    ・門司、小樽
    ・城下町・港町の「外側を通す型」:山形、山間部のV字型をした限られた平坦地の成立した津和野などわずか
    ・「内側を貫く型」:金沢、萩、松江、柳川、桑名、熊本、彦根
    ・「執着駅型」:長崎、函館
     2 低地を巡る掘割網と自動車交通ー東京下町の道路と橋

    <目次>
    第1章 古代の都城と陸海の道
    第2章 河岸段丘が織り成す都市と田園
    第3章 港町
    第4章 城下町
    第5章 開港場と居留地
    第6章 近代都市

  • ふむ

  • 大変、硬派な本だ。

    読者におもねることなく、『基本的な地名は当然知ってるよね?』と、静かな詰め寄りを与える。

    全国の都市のうち、特徴的な類型化方法で取り出し、紹介する。
    有名かどうか何て二の次だ。
    そこがまた硬派だ。

  • 2021/11/15


    メモ

    読書会
    幾度もの遷都の理由 (氏族を避けることと、中国とのパイプ)
    治水 徳川
    『照葉樹林文化論』→宮崎駿に影響
    森林飽和
    なぜ水が重要 稲作?
    都市計画、平安京、自然と共存、江戸と変わらない
    相模線 相模川の砂利採掘のため
    平野に合わせず、自然に合わせる
    奥に山、江戸の景観と同じ 浮世絵
    平安遷都 東西南北が神に囲まれているから
    江戸も水の都 天気の子
    河岸段丘

    津々浦々の語感
    港町の成立条件→入江(土木が発展した江戸で普及)、前島(尾道、熱海?)
    海水が流れ込むp103→なぜ入江が水田になる?塩分を含むのでは?
    塩田とは?塩の役割とは?(長い航行には必需品)
    → 塩田、ミネラル
    海側に小道が多い訳 p110
    酒田:格子状。水際に並行+海への道
    真鶴 ツアーコミュニティで袋小路の道を作り、そこから木の枝が延びるように、自然の猛威を回避するために内側に強固な集合体を作った

    日本は治水はオランダから学んだ

    グンゼ 下着メーカー

    現存12天守

    格子状 同じ p140

    【城下町】城下町はもともと高低差あり
    →豊臣秀吉の時代から高低差なし。防御は堀へ
    潮の満ち引きの仕組み p140

    郡上八幡面白そう
    しゅうきょく構造が保水力
    宗祀水

    山形
    最上義光は最上川が由来?
    水の旨さが醤油や酒に

    江戸
    太田道灌、落語の題材
    江戸城は徳川以前から空堀、川、入江、崖線に囲まれていた
    →房総からの防備
    p173 ? 丘陵の間を深い谷とし、水を蓄える彫りとして巡らせたのが家康が冬の陣で苦戦した理由
    外様は丸の内、大手町など
    日比谷公園は長州藩毛利家と佐賀藩鍋島家の上屋敷があった

    横浜
    開港によって横浜村の住民は元町へ
    領事館が山手に移転していく。同時に居留地の警護を目的に英風両軍も駐屯。そのため居住地である関内と外国人居住地の山手に挟まれた本町は外国人向け商売が活性化

    神戸も横浜と同じような経緯
    fate zeroの館も!

    p210 オリンピックにともなって高速道路計画が現実化→東京を縦横に巡る川や堀に着目し、それらは失われた

  • SDGs|目標11 住み続けられる まちづくりを|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/732448

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著者プロフィール

都市史学者

「2019年 『江戸→TOKYO なりたちの教科書4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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