親はモンスタ-じゃない!: イチャモンはつながるチャンスだ

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  • 学事出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761916138

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  • 「仏」の小野田先生の著書。
    言葉の端々に先生の温厚な人柄がにじみ出ている。
    人間科学部に小野田先生がいてくださってよかったなあと改めて思った。

    ここ数年、学校に対して無理難題的な要求(イチャモン)をする保護者が急激に増えているという。
    いわゆる「モンスターペアレント」だが、この言葉はもともと、アメリカで虐待を受けている子どもが、その親を見た場合に「モンスター」に映るという意味で使われていたらしい。
    日本での使われ方は誤用を含んだものであること、また、保護者にレッテルを貼ることで、関係改善の努力をしなくなることへとつながるという危険性から、先生はこの言葉を使うことを「やめてほしい」と強く訴えている。
    「心の中でどのように認識するかは誰も問いませんが、それを外に向かって発するということは、それを受ける側がどのようになっていくかということにも思いを巡らす必要がある(123ページ)」

    また、読売新聞には次のようなコメントを載せておられた。
    「モンスター・ペアレントというレッテルを張って、人間性そのものを否定すれば、要求の裏にある親の思いも抹殺してしまう」(2010年2月18日)

    「言ったもん勝ち」という今の社会の風潮は理解しがたいけれど、「モンスター」という言葉で片付けてしまわず、1人1人の保護者の声にきちんと耳を傾けていく姿勢は絶対に必要だと思う。
    大事なのは、まず自分自身がすぐに「ムカつく、キレる」大人にならないこと(僕は今まで、テニスを通じてそういうトレーニングを積んでこられたと思う)。
    そして、相手がなぜ怒っているのかをほんの少し考えてみること。
    イチャモンを単に学校や教育のレベルの問題としてとらえるのではなく、そのような問題が生じてくる背景や日本の社会状況についてよく考える必要があるようだ。

    しんどいことがあっても「子どものため」という気持ちを忘れずに、毎日元気に学校へ行ける先生になりたいなと思った。

  • 学校へのイチャモン研究で有名になった著者が、イチャモンはチャンスにつながるといったことをまとめている本。

    学校だけの問題ではなく、社会全体の問題としても捉えている。

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著者プロフィール

大阪大学名誉教授。専門は教育制度学。
〈最近の主な業績〉
小野田正利(2017)『「迷惑施設」としての学校―近隣トラブル解決の処方箋』時事通信社 小野田正利(2015)『先生の叫び 学校の悲鳴』エイデル研究所

「2022年 『争う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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