逆説のニヒリズム 新装版

著者 :
  • 花伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763404909

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに肌感の合う内容であった。物理学的感性からくる唯物論に基づく宗教観など。「人間という存在は、宇宙論的には宇宙の孤児であり、かつ将来も無意義な存在であるといえる。過去も未来もない、不安と絶望の存在である」という、つまるところ人間はニヒリズムに陥りやすくなる要素をふんだんに持っているという点は目から鱗である。確かに偶然に生まれた存在は無価値であり、地球は最期には消え去ることから人間は将来的に必ず無となることが決定されている。生命の意義を改めて考える良い機会である。加えて藤村操、カミュのシーシュポスの神話についても興味を抱いた。

  • 著者の宇宙論的ニヒリズムの考え方には只々感心するばかりである。
    科学的に宇宙すらも有限であるという見地から、人間が究極的には無意味な存在であると主張。
    ただ、著者はこれに留まらず、宇宙論的ニヒリズムの考え方に則った生き方についても考察しており、大変興味深い。
    ただ、最後の映画の講評は必要であったのかと甚だ疑問である。

著者プロフィール

渋谷 治美(しぶや はるよし)
1948年 静岡県御前崎に生まれる
1972年 東京大学文学部倫理学科卒業

現在 埼玉大学教育学部教授 埼玉大学副学長

専攻 カント倫理学・総合人間学

「2009年 『リア王と疎外 シェイクスピアの人間哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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