もの食う人びと

著者 :
  • 株式会社共同通信社
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784764103245

感想・レビュー・書評

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  • うっかり2冊買う…orz

  • ミンダナオ島の悲劇。菩提樹の香る村。モガディシオ。あの記憶を殺しに。

    人生で衝撃を受けた一冊。

    *再読 2019/4/28
    20年ぶりに再読。読み返すと違うポイントが浮かび上がってくる。当時は「貧困」を軸に読んでいたのだが、20年後の現在、「移民」「難民」という視点も加わってくる。更に20年たった今、アジアの国々の「発展」もみえてくる。

    時を経ても素晴らしいルポであることには変わりなかった。

  • 20数年ぶりの再読。今読むと現在と社会情勢が大きく変わっていて興味深い。

  • ずっしり重い、優れたルポルタージュだと思います。
    辺見さんが旅をした93年から23年が経っていますが、世界の問題は減っていませんね。
    湾岸戦争の頃ですかね。
    もう23年も経つのですね。
    この頃のソマリア内戦から私の大学時代までが6〜7年。まだ記憶も鮮明な頃でしょう。
    そこから今まで17年。
    第2次世界大戦からこの旅までが約48年。20歳で終戦を迎えた人の半分位はまだ生きていたかもしれません。
    今年は第2次世界大戦から71年。
    終戦の時、大人だった人はもうあまりいないかもしれません。

  • ラオス・タイへの旅行中に読んだ本。

    旅行中にお勧めな本をネットで検索していたら、紹介されていて知った。

    国々の文化や歴史を「食」という観点を切り口に、描写しており、身近に感じられるテーマなためとっつきやすい。

    チャプターによって、扱う国・食材が変わる。

    バングラデシュの残飯の行方
    フィリピンのコーヒーと酒を知った民族
    タイで製造される猫の缶詰
    中国の5千席の大型レストラン
    ベトナムのフォーを食べるのにかかる時間
    東西合併直後のドイツ刑務所の食事
    ポーランドの炭鉱のスープ
    クロアチアの紛争で夫を失った未亡人の食事
    セルビアの正教会の食事
    チェコの観覧車30番の食事、
    ソマリアのスルマ・エイズ患者の食生活、
    ブガンダ王国の国王のフィッシュ&チップス
    ロシアの栄養失調で死んだ4人の兵士
    ウクライナのチェルノブイリ近辺の食事
    ロシアのチェロ弾き少女の食事
    韓国の儒者の食作法、慰安婦の食事

    食事を通じて、食べ物の他に、人の記憶を食したという著者のあとがきにうならされた。
    どうしてそれを食べるようになったのか。
    どのようにそれを食べるのか。
    それはその人の過去を示すものであり、その国の過去を示すもの。

    普段何気なく口に入れるたべものは、見た目以上の時間が詰まっているものということを認識させられる。

  • 食を通して世界を見る

  • おもしろいものだ。観覧車のなかだと、人の飲み食いの動作が回転速度に合わせて、水のなかのようにゆったりするのだ。それに、目も心も窓の外を見ているからか、味が希薄になる。甘すぎるザッハトルテがほどよく舌に和む。
    ただし、秒速七十五センチという、この緩慢な円軌道の進行は、なぜだろう、人の気持ちをどこか内省的にしてしまうのだ。食事にはじつのところ不向きかもしれない。食事より、おそらく黙想にいい。
    宙を五回転して降り立った時、オーソン・ウェルズみたいに私もうそぶいてみたくなった。人間史この百年の傑作なんて観覧車ぐらいのものじゃないか……。(p.171)

    エチオピアにおいてはコーヒーをたてることが日本の茶道に似た多義性を持つ。味が良ければいいというものでなく、日々の瞑想であり、礼なのである。(p.205)

  • 貧しい国、戦火の中、事故後の国など様々な国を巡って地域の人々と対話していく紀行文。食を絡めているが中心のテーマではない。20年前の著作で少し時代が異なっているが、今も同様の問題が残っていることに変わりはない。

  • 「お!世界の食べ物の旅行記かな!?」と思って読み出したけど、すごいシリアスなアレだったので戸惑った。
    本当はもっと明るくてほのぼのな内容が好きだけど、これはこれで日本とは全然違う世界が垣間見れて面白かった。
    現地の人の様子とか作者の気持ちとか…考えさせられる感じのは苦手だけどその分しみる感じするよね

    あと明らかに外国人が観光に来ないだろうところに行ってアレコレするの凄いなぁ。記者だから当たり前なんだろうけど観光旅行すら行ける気しない身としては凄いなぁ。

  • ★引き出しの多さ★久しぶりに再読。取材開始から20年もたっているとは思わなかった。バブルに浮かれる日本へのアンチテーゼとして食を切り口にできたので、今では成立しにくいテーマだろう。時の流れを感じた。それでも歴史と人間に対する洞察の深みがあるから、今でも読み応えがある。

    著者が力を入れたであろう残留日本人の人肉食の話は迫ってくる勢いが違う。ただ、従軍慰安婦の回はやや思い入れが先行している。そして当時はあまり意識されなかったであろうチェルノブイリ後の町の描写は福島を振り返ると重い。町の時間は止まり、戻ってくるのは世間から切り離された人になるのかもしれない。

    ところで、このルポが共同通信の年間企画だったことを改めて知った。1年以上、ひとりの記者を放浪させっぱなしにできたのは、許せる経済環境とそれに耐えうる筆者がいたからだろうが、懐の深さを感じた。

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著者プロフィール

小説家、ジャーナリスト、詩人。元共同通信記者。宮城県石巻市出身。宮城県石巻高等学校を卒業後、早稲田大学第二文学部社会専修へ進学。同学を卒業後、共同通信社に入社し、北京、ハノイなどで特派員を務めた。北京特派員として派遣されていた1979年には『近代化を進める中国に関する報道』で新聞協会賞を受賞。1991年、外信部次長を務めながら書き上げた『自動起床装置』を発表し第105回芥川賞を受賞。

「2022年 『女声合唱とピアノのための 風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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