昔話の扉をひらこう

著者 :
  • 暮しの手帖社
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本棚登録 : 158
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766002256

作品紹介・あらすじ

わたしたちの祖先が何世代も語りついできた昔話には、人生観、自然観、子育てのヒントが染み込んでいます。
あたたかいまなざしで人生の本質を語り、「大丈夫だよ」と励ましてくれるのです。
昔話に秘められる大切なことを紐解く一冊です。

特別収録
◎小さなお話集
日本の昔話(「かっぱの恩返し」「団子長者」ほか12話)
グリム童話(「灰かぶり」ほか2話)

◎二人の息子との初めての鼎談
(長男 小澤淳さん、次男 小沢健二さん)

感想・レビュー・書評

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  • なにか落語の創作の参考になればと思って読んだ昔話の本。語りとして伝えられたきたお話、でも教訓的なおはなしで、出てくるのは間抜けな主人公ばかり。そこらあたりは落語と一緒。最後はハッピーエンドばかりではなく、浦島太郎はお爺さんになってしまうし、かぐや姫は月に帰ってしまうし、人生いろいろそこがミソですな。

    でも、身の回りのいろんなとことに神が居られると、このことが薄れてしまった現在、わが身優先の味気ない世の中になってしまいましたな。

  • 昔話には人生観、自然観、子育てのヒントがある。子どもたちに声で人生の本質を語ることが「大丈夫だよ」の励ましになる。子どもに語って聞かせること。大事なのはその豊かな時間。

  • これは他でも聞いたことがあるけれど、語る(口にする)ことが大事、とのこと
    リズムや音程、土地の言葉を大事にしなければならない
    言われてみれば私も書かれた昔話ばかり読んでるなぁ、と
    結局それは「読む」ための話で、「聞く」ための話とは違う
    先生の語られたお話は「FM福岡 小沢俊夫」で検索すると全アーカイヴ聞けるようなのでちょっとずつ聞いてみたい

  • 2022

    一の扉 子どもに昔話を

    なぜ大事か 3つの理由
    1 長いこと日宇飛びとの間でカタリヅガレ手北ので、いつのまにか、「人が暮らしていく上での知恵」や「子どもの成長についての観察」が込められている
    2 お話を耳で聴いたとき、場面が見える文章だということ
    3 身近なおとなの生の声で、直接、子どもの耳に入ること
    人の声は不思議な力をもっていて、いつまでも耳に残る


    P19おとなたちは、日常生活の中で、子どもたちにたくさん声をかけてやってもらいたい
    ちゃんと耳を傾けて聴いてやってください。そしてはっきり「そう」とか「へええ」とか、相槌を打って、返事をしてやってください。「あなたの話をちゃんと聴いているよ」ということを示してほしいと思うのです。
    子どもはますます自分の存在が認められたと感じるのです。


    二の扉 昔話と動物
    神話~それぞれの国とか民族の成り立ちを説く話。神々が登場する、民族、国の真実の歴史であると説く、それぞれの紙や出来事、地名の背景が説かれ、真実であると主張する

    伝説~時代と場所を特定し、歴史上の目立った出来事、地理上の目立った場所について伝える話 真実であるとして信じられることを望む

    昔話~本当の話じゃないよ、信じないでよ、という姿勢で伝える話「とんと昔」「昔むかしあったげな」などのはじまりの決まり文句である発端句はその意味
    期限ははっきりしないが、j話の雰囲気や内容から見ると、今の昔話の形ができたのは室町時代ではないかと推測される 詠み人知らず、口伝え物語

    民話~その示す内容はあいまいで、昔話、伝説、噂話、思い出話、歴史的事実などすべてが含まれているようである 学術的には使われない

    おとぎ話~架空の話全体をさす、昔話、民話はすべておとぎ話である

    動物の語り
    日本の昔話に登場する動物は日本人になじみのある動物
    ねずみ、猫、犬、馬、牛、狐、たぬき、蛇、蟻

    ねずみの恩返し
    ねずみが予知能力をもっていることがわかる
    動物は人間よりも、何かを予知する能力があると考えられている
    ねずみは嫌われ者では亡く、幸福をもたらすという考えがある

    つる女房
    自然信仰が強く残っている
    自然のいたるところに神様がいた
    つるは神様の化身
    だから夫は追わない

    みな長者
    みなとはたにしのこと
    魔法をかけられていた動物の魔法が解けて人間に戻るのだが、解けるきっかけは事故的なこと

    ケヤキの大木
    人間と木の心が通う
    人間は木の心を感じる

    FM FUKUOKA
    https://fmfukuoka.co.jp/blog-archives/a/mukashi/

    三の扉 昔話が伝えるメッセージ
    教訓話?ではなく、若者の成長する姿
    いつも協力者、助けてくれる人が出てくる喜び安心

    三年寝太郎 若者はたっぷり寝てから起きるもの

    こわがることを倣いにでかけた若者の話 人生を踏み出すとき、誰もがこわさを克服して生きていく

    灰かぶり 若者は揺れながら美しい姿に成長する
    誰かに認められたい、その後は、自分の姿にもどりたい

    ろばの子 若者を受け止めるおとなの役割

    方言ではなく、土地言葉
    方言は中央の言葉が中心にあってのこと

    四の扉 声と言葉

    柳田国男先生とのエピソード

    倉田三郎先生の言葉
    『今日の今を充実して生きられない人間が明日の今を充実して生きられると思うのか?」

    父の言葉
    俺の自由教育が正しかったかどうか、証明するのはおまえたちだ」
    「敗戦は日本にとっておいいことなんだ。日本人は長いこと、涙を忘れてきた。今、涙を知るのはいいことなのだ」

    アルフレド・ヘック先生
    民俗学の研究に向いているな
    人に愛される人間だからだ、民俗学の研究にはそれが必要なんだ

    グリム兄弟
    オットー・ウベローデ~グリム童話の挿絵画家

    五の扉 語りの秘密

    昔話の語りについての法則を発見したのはスイスのマックス・リュティ

    馬方と山姥
    発端句~むかしあっっつおな、ほれ
    結末句~こんで、えんつこもんつこ、さけた

    特徴
    孤立性~1対1

    一次元性~ことばは通じ合っている 会話している

    極端に語る~馬一頭まるごと食べるなど

    抽象性、実体を抜いて、出来事を語る~残酷な事件を平気で語るが、実態を語らず、図形的に語るので、三酷な印象を残さない

    三回の繰り返し~三という数字を好むのは世界共通
    繰り返しのリズムがよい

    時間、場所、状況の「一致」~昔話の一致
    たとえば、いばら姫の目覚めは王子のキスと100年の眠りの期限が一致

    昔話の経済性~同じモノを使う 茅

    民族の信仰、風土~民間信仰の反映

    昔話は人類の伝承文化財

    六の扉 暮らしに昔話を
    団子長者
    泣き出した閻魔さん
    赤んぼうをさらったかっぱ
    ぷっつりちゃらん
    いのししうちの名人
    かっぱの恩返し
    帰らん寺
    尻ばおさえろう
    孝行娘としいの実
    ねずみの恩返し
    つる女房
    みな長者
    ケヤキの大木
    三年寝太郎

  • ようやく読み終わった。
    昔話についてのお話と、実際に再話された日本の昔話とグリム童話。最後に、息子さんであるオザケンこと小沢健二さんとそのお兄さん(ご長男)を交えた対談が収録されている。
    この対談、なかなかアカデミックで興味深かった。

  • 夜 囲炉裏や暖炉の火を囲んで、世界中で人々は口伝で伝えられた昔話をしていた。
    なんて豊かな時間だろう。

    生活水準は豊かになった現代。
    しかし家族でお話の時間をとることは、意識しないと無い。もしくはキャンプに行くなどして、非日常の世界に行くなど。

    家にいれば、受動的に頭に入ってくるテレビやスマホなど、お話より魅力的な媒体が溢れている。

    後に続く子どもたちの心の中に、宝物になる思い出を残してあげること、それは子ども達が自分の人生をしっかり歩いていく上できっと助けになる。

    やろうと思えば誰にでも出来る、そしてお互いにあったかい気持ちになれる行為のひとつとして、昔話の大切さを再認識した。

  • 口承文芸である昔話の特性と語り口を柔らかく噛み砕いて説明した書。昔話大学の補完に。

  • ストーリーテラーのひとりとして、とても勉強になった。

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著者プロフィール

1930 年生まれ。口承文芸学者。
筑波大学名誉教授。小澤昔ばなし研究所所長。
日本や世界の昔話の研究を続け、1992 年から全国各地で「昔ばなし大学」を開講、
昔話の魅力を広く伝え、語りの普及に努める。

「2022年 『昔話の扉をひらこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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