バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命

  • グラフィック社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766135596

作品紹介・あらすじ

世界中の人々をとりこにするバラ。
その完璧な美しさには、歴史的な意義や文化への影響、知られざる生態が。
そんなバラの起源を追って3500万年前まで遡り、貴重な図版140点以上と共に、秘められた役割と魅力を解き明かします。

感想・レビュー・書評

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  • 『高畠華宵: 大正・昭和 レトロビューティー』(松本品子/2020年)曰く、当時バラをはじめとした洋花の着物柄が流行したという。

    確かに幾つかの和花を組み合わせるよりも大輪のバラを並べる方が手っ取り早く映える。そのくせエレガントだし…
    そんな日本人もコロッと魅了した女王の花園へ、恐る恐る足を踏み入れた。

    品種・歴史・逸話が蒸留され、ローズウォーターさながら香り高い物語に仕上がっている。(キザ野郎な例え…)
    古来日本人がバラより慣れ親しんだ桜が、実はバラ科に入るというのは初耳だった。(確かに花弁の形をよく見ると原種と似通っている!) 他にもリンゴやイチゴetc...と数多くの諸侯を率いており、想像以上に花園は広い。

    バラは原種・1867年以前の「オールドローズ」・以降の「モダンローズ」の3種に分類される。
    「オールドローズ」の項では100枚の花びらを持つ、所謂ダマスク・ローズに釘付けになった。絵で見ると一枚一枚が柔らかくて、力を入れなくてもすぐに千切れてしまいそう。春と秋の二度咲きという特徴に加えてローマ皇帝お気に入りの品種。確かにこの淡色、心なしかローマ遺跡の壁画にしっくり来る。
    その皇帝の一人がネロで、祝宴にて大量の花びらを降らせて客を窒息死させたというエピソードは、これまでの和やかなムードを見事に一変してくれた。さすがは暴君、ブレないなー…(無論感心はしていない笑)

    ネロは例外だけど笑、バラだけにロマンのある話もごまんとある。「ロザリオの物語」は宗教色がありながらもうっとりしてしまった。詳しくは書けないけどマリア像に捧げていた花輪が、何世紀も経てあのロザリオへと形を変えていったらしい。"Rosary"…確かに名前にバラが入っている。キリスト教とバラってあまり結び付かなかったから、これはこれで良い収穫になった。

    「モダンローズ」…"Queen Elizabeth"に"Ingrid Bergman"と、とにかく人名が多いイメージ笑 自分の名前がバラにネーミングされるってどんな気分なんだろ…という妄想はさておき、モダン側の逸話も何かと豊富だ。栽培にはめっぽう疎いが、バラ界でも化学薬品を使用しないものが生み出されているらしい。
    過去には可憐な扱われ方だったバラに「病気に強い」や「頑健」のワードが加わる。これからどんな進化を遂げるのか、こちらの想像を掻き立てながら物語は一旦終わったのだった。

    「毎年夏になるとすべてのバラが花開く。(中略)喜びに満ちあふれ生を全うをするためにこれ以上の教えなどない。かつても、これからも」

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