ことばをつくる―言語習得の認知言語学的アプローチ

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766415339

作品紹介・あらすじ

比較認知科学や発達心理学における豊富な研究データをもとに、"Usage‐Based Model(用法基盤モデル)"のアプローチから、子どもの言語習得のプロセスを明示する。子どもがどのように言語を習得するのかは、生得的言語モジュールを仮定するのではなく、一般認知能力に支えられた高度な学習によることを実証する認知言語学の最新の研究書。

感想・レビュー・書評

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  • 言語習得していくメカニズムを述べているが、専門的で理解が難しい。特に、ことばの概念の難しさを子供がどう理解していくのか教えて欲しいと思う。”ヒトの子供がいかにして自然言語の上手な使い手になるかの解明”ができるのであろうか。

  • 原題:Constructing a language: A usage-based theory of language acquisition (2003)
    著者:Michael Tomasello
    訳者:辻幸夫, 野村益寛, 出原健一, 菅井三実, 鍋島弘治朗, 森吉直子
    カバー:クレー《都市の眺め》

    【版元】
    A5判/上製/448頁
    初版年月日:2008/06/30
    ISBN:978-4-7664-1533-9(4-7664-1533-7)
    Cコード:C3080
    税込価格:3,780円

     ことばは本能ではない!
    ▼認知言語学、認知心理学の新たな古典、Constructing a Language: A Usage-Based Theory of Language Acquisition, Harvard University Press, 2003 の待望の翻訳。
    ▼比較認知科学や発達心理学における豊富な研究データをもとに、“Usage-Based Model(用法基盤モデル)” のアプローチから、子どもの言語習得のプロセスを明示する。子どもがどのように言語を習得するのかは、生得的言語モジュールを仮定するのではなく、一般認知能力に支えられた高度な学習によることを実証する認知言語学の最新の研究書。
    http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766415339/


    【目次】
    目次 ([i-vi])

    第1章 用法基盤言語学 001

    第2章 言語の起源 009
    2.1. 系統発生的起源 010
      2.1.1. 霊長類のコミュニケーション 011
      2.1.2. 記号と文法化 013
      2.1.3. 言語普遍性 019

    2.2. 個体発生における起源 021
      2.2.1. 言語習得以前の乳児 022
      2.2.2. 意図理解に関する初期の能力 023
      2.2.3. パターン発見の初期スキル 032

    2.3. 子どもの最初の発話 034
      2.3.1. 初期の身振り(ジェスチャー) 035
      2.3.2. 初期の一語文 039

    2.4. まとめ 044


    第3章 語彙 047
    3.1 初期の語彙とその使用 
      3.1.1. 最初期の語 49
      3.1.2. 学習率 54
      3.1.3. 語の意味 

    3.2. 語彙学習プロセス 63
      3.2.1. 先行プロセス 64
      3.2.2. 基礎プロセス 69
      3.2.3. 促進プロセス 77
      3.2.4. 入力や学習の量的な要因 84

    3.3. 語彙学習理論 88
      3.3.1. 学習理論 88
      3.3.2. 制約と原理 90
      3.3.3. 社会‐語用論理論 93
    3.4. まとめ 97


    第4章 初期の統語構文 101
    4.1. 構文の性質 106
      4.1.1. 構文はなぜ規則ではないのか 106
      4.1.2. 発話と構文 108
      4.1.3. 構文と文法 115
      4.1.4. 子どもが耳にする発話 118

    4.2. 初期の構文の島 124
      4.2.1. 語結合と軸語スキーマ 125
      4.2.2. 項目依拠的構文 129
      4.2.3. 動詞と構文の島 133
      4.2.4. スキーマ化のプロセス 135

    4.3. 統語役割の標示 139
      4.3.1. 語順 140
      4.3.2. 格と一致現象 146
      4.3.3. 手がかりの連携と競合 151
      4.3.4. 統語記号の習得 154
    4.4. まとめ 156


    第5章 抽象的統語構文 159
    5.l. 抽象的構文 161
      5.1.1. 同定,属性付与,所有 163
      5.1.2. 単純他動詞,単純自動詞,命令文 164
      5.1.3. 二重目的語,与格,受益者格構文 167
      5.1.4. 所格,結果構文,使役構文 170
      5.1.5. 受動態,中間構文,再帰構文 172
      5.1.6. 疑問文 174
      5.1.7. 言語記号としての構文 176

    5.2. 構文の構築 178
      5.2.1. アナロジー 
      5.2.2. 機能に基づく分布分析 
      5.2.3. 入力,頻度,複雑度 190
    5.3. 構文の制約 192
      5.3.1. 過剰一般化と否定証拠 193
      5.3.2. 定着,先取り,動詞分類 195
    5.4. 統語発達の理論 199
      5.4.1. 原理とパラメータ 199
      5.4.2. 基本幼児文法 205
      5.4.3. 競合モデルとコネクショニズム 206
      5.4.4. 構文文法 209
    5.5. まとめ 210


    第6章 名詞句構文と節構文 213
    6.1. 指示対象および名詞句 217
      6.1.1. 場面指示語 217
      6.1.2. 代名詞および固有名詞 222
      6.1.3. 名詞および限定詞 225

    6.2. 叙述と節 231
      6.2.1. 早期に習得される動詞と項構造 232
      6.2.2. 時制とアスペクト 235
      6.2.3. モダリティおよび否定モダリティ 242
      6.2.4. 構文の統合 249

    6.3. 形態素の学習 251
    6.3.1. 英語の過去時制 251
    6.3.2. ドイツ語の複数形などのデフォルト 254
    6.3.3. 単一プロセスモデルと二重プロセスモデル 256
    6.3.4. 「弱いリンク」としての形態素 


    第7章 複文構文とディスコース 263
    7.1. 複文構文
      7.1.1. 不定詞補文構文 265
      7.1.2. 定形補文構文 269
      7.1.3. 関係節構文 275
      7.1.4. 連結節構文 280
      7.1.5. 2つの理論 285

    7.2. 会話と語り(ナラティブ) 289
      7.2.1. 会話における主題管理と修復 290
      7.2.2. 語りのディスコース 294
      7.2.3. 発話ための思考 300
    7.3. まとめ 303


    第8章 生物学的、文化的、個体発生的プロセス 307
    8.1. 二重継承 308
      8.1.1. 生物学の役割 309
      8.1.2. 文化と文化学習が果たす役割 316
      8.1.3. 言語はなぜかくも複雑なのか 318

    8.2. 習得の心理言語学的プロセス 321
      8.2.1. 意図理解と文化学習 322
      8.2.2. スキーマ化とアナロジー 323
      8.2.3. 定着と競合 326
      8.2.4. 機能性に基づく分布分析 328
      8.2.5. しかしこれで十分だろうか 330

    8.3. 産出の心理言語学的プロセス 
      8.3.1. 模倣,定式化,流暢さ 333
      8.3.2. 用法基盤的統語操作 
      8.3.3. 産出の限界と作業記憶 
      8.3.4. 語用論的な位置づけ 

    8.4. 言語表象の発達 342
      8.4.1. 抽象化の事例 343
      8.4.2. 構造化された構文目録の構築 347
    8.5. まとめ 349

    第9章 言語習得の心理学に向けて 351

    参考文献 [357-412]
    謝辞 [413-414]
    訳者あとがき [415-420]
    索引 [421-433]
    著訳者紹介 [435-436]

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著者プロフィール

マイケル・トマセロ(Michael Tomasello) 
1950年生まれ。1980年、ジョージア大学にて博士号を取得(心理学)。デューク大学教授、マックス・プランク進化人類学研究所名誉所長。邦訳書に『心とことばの起源を探る』(勁草書房、2006)、『ヒトはなぜ協力するのか』(勁草書房、2013)、『コミュニケーションの起源を探る』(勁草書房、2013)、『道徳の自然誌』(勁草書房、2020)ほか。

「2021年 『思考の自然誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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