暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766424386

作品紹介・あらすじ

▼政治においては、
騙された、というのは
言い訳にはならない。
    ――レシェク・コワコフスキ

ファシストは日々の暮らしのささやかな〈真実〉を軽蔑し、
新しい宗教のように響き渡る〈スローガン〉を愛し、
歴史やジャーナリズムよりも、つくられた〈神話〉を好んだ。
事実を放棄するのは、〈自由〉を放棄することと同じだ。

ファシズム前夜――
いまこそ、本を積み上げよう。〈真実〉があるのを信じよう。
歴史の教訓に学ぼう。

気鋭の歴史家ティモシー・スナイダーが、現在、世界に台頭する
圧政の指導者に正しく抗うための二〇の方法をガイドする。

解説 = 国末憲人

感想・レビュー・書評

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  • 成田悠輔の『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり 政治家はネコになる』の中で、30分位で読める名著として一部が引用してあったので読んでみた。 30分とは行かず、2時間位掛かったが、トランプ政権発足後に緊急出版された本だけあって、ポピュリストに警戒せよ、というメッセージが、20世紀の欧州政治の歴史を参照しながら、抑えた筆致で吶々と語られる。

    ナチスが、クーデターによってではなく、選挙の結果により合法的に政権を奪取し、合法的にファッショ化していったことは、よく知られているが、それ以外でも20世紀の歴史上の大概の悍ましいことは、民衆の同意を得ながら進められていることが多い点には、正直ぞっとした。

  • ウクライナ情勢を理解するための本を探して、著者の「ブラック・アース」(いわゆる黒土地帯=ウクライナ?)が良さそうだなと思って、買うのにあわせて、こちらも買ってみた。

    まずは、薄めのこちらの本から読んでみた。

    20世紀の歴史、全体主義から学ぶべきことをわかりやすく20の項目にわけて説明。と言っても、わたしたちが日頃生きていくなかで、心がけることというか、覚悟を呼びかけている感じ。

    本のなかでは、しばしばハンナ・アーレントについて、言及されている。歴史研究家の間では、思想家ではあっても、歴史家ではないアーレントはあまり重要視されていない印象をもっていたのだが、どう具体的に生きるかということになるとやっぱアーレントは大事だな〜。

    さて、この本は、トランプ大統領の就任などを踏まえて、アメリカが全体主義に近づいていることに危機意識をもって書かれているわけだが、今、ウクライナで起きていることと、強く共鳴していて、いい意味で重い感じ。

  • 暴政がいかにして生まれるのか、それに抗うには何をすべきで、どういう心構えを持っておくべきかを様々なモデルケースを元に描いた指南書。

    著者のブラッドランドを読んだ身としては、過去の為政者がいかに国民をコントロールするために様々な脅威や不安を利用してきたかを知った。それに伴う最悪の悲劇も。

    現代でも形を変えて同じようなコントロールが行われているのが垣間見えるし、情勢が不安定になればなるほど暴政の登場は避けられないのだろうか。

    だから、権威が望むような忖度をしない、想定外のことが起きても平静さを保つ、勇気を振り絞ること、自分の意思を貫くこと。

    こういった著者の教えを強く心にとどめておき、さしあたって私は人と違う意見を持つことを恐れないようにしていきたい。

    暴政の誕生は国民全員が選択した結果なのだから。

  • トランプ大統領を念頭において書かれた本だが、アメリカに止まらないドキッとするような内容。
    1933年2月27日の国会議事堂放火という「例外的」「緊急事態」という一瞬の騒動により、12年間に及んで自由を差し出し、殺戮を許すことになったという歴史を忘れてはいけない。
    コロナという「例外的」「緊急事態」という言葉をよく聞く昨今、大義のある制度・自由への侵害に警戒しなければいけないと思う。

  • プロローグでいきなり「「歴史は繰り返す」と言われますが、そんなことはありません。」とあり、確かマルクスは「歴史は繰り返す。最初は悲劇として、二度目は喜劇として」のようなことを言っていたのじゃないかと思ったりしたので、マルクスへの挑戦状かとも思いました。スナイダー氏は歴史から多くを学びなさいと言われます。日本の為政者にはどうも歴史を軽視する姿勢が見られます。いや、己の信条に合致するところだけを都合よく解釈するようにも見えます。そして、わたし達は『忖度による服従はするな』や『自分で調べよ』が大事なのです。

  • この本は電子ブックとして図書館に所蔵されています。紙の本は所蔵がありません。閲覧する場合は以下のURLからアクセスしてください。
    https://web.d-library.jp/kokushikanlic/g0102/libcontentsinfo/?conid=290313

    (LibrariEを利用するにはIDとパスワードを申請する必要があります。申請方法は図書館のHPからご確認ください。
    https://www.kokushikan.ac.jp/education/library/librarie.html

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  • 成田悠輔

  • "Blackearth"や”Bloodland"の著者Timothy Snyder教授による、市民として暴政に退行するための心構え。第一にいきなり「忖度による服従はするな」とあるのが本邦の読者としては耳に痛い。

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著者プロフィール

ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder):イェール大学教授。1969年、アメリカ合衆国オハイオ州生まれ。専門は中東欧史、ホロコースト史。著書に『ブラッドランド──ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』(筑摩書房)、『赤い大公——ハプスブルク家と東欧の20世紀』、『ブラックアース──ホロコーストの歴史と警告』、『暴政──20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』、『秘密の戦争──共産主義と東欧の20世紀』(いずれも慶應義塾大学出版会)など。

「2022年 『ブラッドランド 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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