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- Amazon.co.jp ・本 (740ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766511864
感想・レビュー・書評
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日米太平洋戦争開戦後から、
日本の敗戦までの原子爆弾にまつわる歴史を解説する一冊。
非常に濃密かつ詳細な内容で、科学的な説明や政治的駆け引き、
軍部の理念と戦略、そして日本の惨状について細かく全てを記している。
中でもシラードの先見性は原爆開発の初期段階から、
原爆がもたらす世界変革に至るまで卓越したものがあり目を見張る。
だからこそシラードに「できなかったこと」が
非常に際立って印象的だった。
また先見性と確かな視点という意味ではスティムソンも目立っている。
彼の語る「日本には盟友がいない」とはまさにその通りであり、
当時の日本はあまりにも何も知らなすぎ、あまりにも孤立していた。
下巻を読み切ると、上巻で科学者たちが原子のしくみについて
夢中で研究を行っていた光景が懐かしく感じられる。
何度か本文にも登場したが、核分裂は発見されるべくして
いずれ発見されるものだった。
とすればこのエネルギーが軍事転用されるのは時間の必然であり、
それはあまりに残酷な運命だと感じた。
戦争とは何か、原爆とは何かを考えさせられる極めて有益な一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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