オオカミたちの隠された生活

  • エクスナレッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784767817163

作品紹介・あらすじ

仲間の死を悼み、エネルギッシュに遊び、固い友情を結ぶオオカミたち。子どもの誕生には群れ全員が熱狂し、全員で役割分担して子育てをし、必要な技能の教育を施す。オオカミの群れの中で一緒に生活するという類まれな体験を通して得た、オオカミたちの知られざる社会生活や感情を余すところなく紹介。

感想・レビュー・書評

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  •  図書館で、表紙の写真に写っているオオカミと目が合い、借りました。「借りてください!オオカミのことを知ってください!」と訴えかけてきた感じです。
     今まで私が、オオカミの群れに関して知っていた以上に、オオカミ社会は複雑な構成なのだと学びました。
     写真の美しさもぜひ、鑑賞してみてください。子オオカミ、可愛いですよ!

  • オオカミって動物園でみたことがあったかな、というくらい実際の姿はライオンより見る機会が少ないのではないか。「オオカミ王ロボ」とか読物ではなじんでいるが、こうたくさんの狼達の写真は初めて見た。やはり犬とは違う。群れではいるが孤高な感じが目から受ける。

    オオカミの行動を研究し記録する夫妻が、より自然なオオカミの姿をアメリカ人に伝えたいとの思いから、群れの中で自らが暮らし、TV番組を制作した。その1990年から6年間にわたる、アイダホ州中央部、ソートゥース山脈ふもとで10haの土地を貸してもらい杭で囲い「オオカミの放牧場」を造った、その記録写真集。

    著者と並んだ写真では後ろ足で立つと鼻くらい、顔は人間より大きい。疑似自然での写真ということで人懐こい感じも。

    最初は1990年、杭の外にゲルで住居にしたが、94年には杭の中に2.5mの台を造りそこにゲルを張り、より一体化した生活となった。

    州道で自然に死んだ鹿などがあった場合、許可をもらって持ってきていたと書いてあるが、杭内での自然の狩りの様子は文も斜め読みなので、よく分からなかった。

    西部開拓では狼は敵であり、憎む相手。しかしこの狼たちが共に暮らし一緒に遊ぶ様子や行動をみせれば、狼を取り巻く恐怖や誤解をの一部が取り除けるのでは、との思いだという。

    1991年、雄雌2頭と4頭の雄の子狼をモンタナとミネソタ州の保護研究センターからもらいうけ、ミルクや離乳食を自ら与えて育てた。92年に新たに子狼の雄3頭、94年にまた子狼の雄1頭、雌2頭を加える。この中の雌と最初の雄が夫婦となり96年に、この放牧場で3頭の狼が生まれる。

    1996年連邦林野庁との土地使用期限が切れると、キャンプをたたみ狼達はアイダホ州北部ネズ・パース(先住民)居留地に移した。移す時、夫妻の過ごした群れではアルファと言われる頂点の雄とオメガといわれる最下位の狼がいて、檻から出す時最下位の狼がこわがって外に出ないと、アルファ狼が来て顔を覗き込み、そのこわがっていた狼は外に出られた、というのだ。

    空になったソートゥースの地には、新たな狼が14頭自然に?やってきていた。観光資源にもなったらしいが、(杭がないので?)家畜を襲うということで、2009年、空き地に追い集められ、野生動物局の職員の手で空から銃弾で殺された、ということだ。


    アメリカでは1974年にはカナダ国境のミネソタ州にのみ生息となり、同時に絶滅危惧法ができ、87年には狼復元計画が承認され、1995-96年に66頭がカナダからイエローストーン、アイダホ中央部に移送され、放たれる。が、2005年には家畜の脅威となっている狼を許可なしで殺すことが認められた。なかなか人間生活と折り合うのは難しいようだ。

    巻末にアメリカのハイイロオオカミの棲息分布図が載っている。アメリカ南東部とカリフォルニアあたりを覗きほぼ全部にいたオオカミも、アメリカ開拓が進むなが、家畜を食べてしまう動物として狼は殺され憎まれ、1870年あたりから駆逐が激しくなり、1974年には五大湖北部のカナダ国境のみになっている。同時に絶滅危惧種法により連邦議会により保護が始まる。現在はアラスカ州、モンタナ、ワイオミング、アイダホ、ワシントン州の州境周辺、五大湖西部のミネソタ、ウィスコンシン州の一部、ニューメキシコ州の一部に生息している。カナダでは南部以外は全土で棲息している。

    序文がなんとロバート・レッドフォード
    著者のジム・ダッチャーとは34年前に知り合い、二人は映画制作でのインスピレーションを共有したとある。レッドフォードはダッチャー夫妻が立ち上げたNPO,リヴィング・ウィズ・ウルブズの名誉理事も務めているとある。

    著者のジム&ジェイミー・ダッチャー夫妻は20年以上にわたりオオカミの行動に関する研究とその記録に献身的な努力をしてきた人達。この本での6年間の生活は、3本のドキュメンタリー番組となりTV放送されエミー賞で撮影賞、録音技術賞、科学報道部門賞を受賞。それは情報提供者の言葉の事実関係をきめ細かく検証したことを評価されてのこと、とある。

    18×26cmの横長の本

    記録映像の上映会があったようだ「オオカミと生きる」
    https://www.tokyo-zoo.net/event/temp/2017_12/wolves_at_our_door.pdf

    「地球映像ライブラリー」NPO法人・地球映像ネットワーク で所蔵しているようだ。
    http://www.naturechannel.jp/library.html


    2014.5.1初版第1刷 図書館

  • オオカミたちの生き生きとした写真もさることながら、アメリカのオオカミを取り巻く状況や政策についてもかなりのページ数が割かれていた。
    欧米人のオオカミ嫌いがこんなに根深いとは知らなかった…。

  • 米国アイダホ州で6年間テント生活をしながらオオカミの群れの観察をした夫妻のオオカミに関する集大成。
    オオカミは決して残忍な動物ではなく、統制のとれた群れで暮らす知恵とユーモアのある動物であることを全米に知らせたいと、現在もNPOを立ち上げ、オオカミの保護に奔走している。

    群れのそばに寄り添い、観察し、友情をはぐくみ、すばらしい写真で記録を残している。
    以前読んだ「狼と暮らした男」は、オオカミノ群れに入りこむという、ちょっと衝撃だったけれど、この夫妻の手法は共感を持てる。

    写真もすばらしい!!
    オオカミって、素敵だ。

  • ふむ

  • これは少し前の本だし、また状況は少し変わっているとは思うが、未だ身近な野生動物、とくに肉食動物と人間との間には人間の利害の基準に基づいた大きな壁があるなぁと思った。
    これはキリスト教の宗教的要因だけではなく、そもそも人間という動物として、肉食動物は恐れるものでなければならないわけで、イエローストーンのような前例があっても、建設的な話の中で進むのは難しいところなんだろうな…

    本的には、日本語版も十分過ぎるほど魅力的。
    北米のハイイロオオカミの近状を知りつつ、あるがままの狼の姿の写真を見ることができ、彼らの生活を垣間見れるのでオオカミ好きは手にとって損なし。

  • 2016年3月新着

  • 世界で一番美しいオオカミの写真集、であると同時に、アメリカ大陸のオオカミの歴史と状況を広く知らせている。

    アメリカはまだオオカミが残っているんだ。

    映画はDVD化されてないの?

  • 仲間の死を悼み、エネルギッシュに遊び、固い友情を結ぶオオカミたち。
    子どもの誕生には群れ全員が熱狂し、全員で役割分担して子育てをし、必要な技能の教育を施す。
    オオカミの群れの中で一緒に生活するという類まれな体験を通して得た、オオカミたちの知られざる社会生活や感情を余すところなく紹介。

  • 6年間オオカミと暮らした筆者の記録。

    日本にもオオカミを導入せよ、という意見もある。
    この本を読むと、そう言いたくなる理由がわかるような気がする。

  • 人よりも、ずっと人らしい。
    その彼らを駆逐した人は、だれに駆逐されるんだろう。

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著者プロフィール

米国アイダホ州のソートゥース山地でテント生活を送りながら、6年間にわたりオオカミの群れ3世代とともに暮らす。2人がオオカミの生態を観察し世に公表したことが、米国でオオカミ保護へと世論が高まるきっかけとなった。オオカミの生態に迫ったドキュメンタリー番組がエミー賞で3部門を受賞。長年にわたりナショナル ジオグラフィック協会で野生動物の写真や映像の撮影をおこない、アラスカでのオオカミ調査にも派遣されている。2006年にオオカミ存続の危機を伝え、継続的な保護を目指してNPO「リビング・ウィズ・ウルブズ」を設立した。著書に『オオカミたちの隠された生活』(エクスナレッジ)がある。

「2022年 『オオカミの知恵と愛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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