赤い魚の夫婦

  • 現代書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768459058

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった〜!
    夫婦関係や浮気、社会格差などの問題を抱えた人間と生物の響きあいが絶妙で、とても良かった。生き物のチョイスも斬新!最後の締め方も全部きれいで、好き。

  • 生物たちから俯瞰するにんげんの有り様。吐き気をもよおすのは、鏡 の奥を覗いたからだろうか。
    なぜか動物をひきよせるひとがいるな、とおもっているけれど、この物語たちの語り手たちにも、つぎつぎと第三者の手から生物たちがやってくる。彼ら(わたしたち)はあまりにも意思がよわいように想う。散りばめられた残酷なやさしさ。生物たちのほうが、しっかりとした意志のもとに生を全うしている、という羨望。言葉をもつにんげんである、ということの心許なさが、古傷みたいにしくしくと痛い。
    そんなふうに哀しみと諦念がゆっくりとほどけていって、わたしは途方にくれた。傷痕にのこる疼痛の欠片がもぞもぞと、増殖しはじめていることに気がついたから。

  • どの作品もラテンアメリカの不思議な雰囲氣が感じられる短編集。シュールだけど身近で共感できる。
    あっという間に読んでしまった。

  • 文学ラジオ空飛び猫たち第76回紹介本
    https://open.spotify.com/episode/3Dx8XNFBIft8MVRBmuGP8O?si=3b4d9171e74e45da
    人間のネガティブな感情にフォーカスが当てられていて、読むと、どこか自分の傷がうずくような、そんな短編集だった。暗い感情を描いた小説が好きな人は絶対はまるし、モチーフである生き物とストーリーや表現との絡ませ方には絶対うなると思います。

    静かなトーンの短編集だけど、どれも印象深くて心に残った。身近な生物が徐々に人間に重なっていく感覚がおもしろいし、この描き方は芸術的だと思った。そんなに重い話ではないけど、引きこもり系の小説なので、読むと虚しさや淋しさをすごく感じる。人生何が起きるかわからないし、人と人の関係もどうなるかわからない、そんなことを考えさせられる小説だった。

  • 現代は、実在の人間関係より、二次元の文字だけの人間関係の方が重要と勘違いされるような、そうせざるを得ないような時間の潰し方しか選べないような社会になってしまっている。しかしやはり実感として、親戚に子供が産まれたり、知り合いの家のペットと遊んだりする方が心の影響力が段違いであり、ネット上の付き合いは脳みそに電気信号が流れるだけであり、めったに心に浸透するような出来事はない訳である。この本の短編は久々に、自分の心を映し出すとか、覗き込みとか、染み渡るとか、そういうことを思い出しました。

  • ・端正な文章だと感じるけれど、言葉にひっかかりがなくて、字面を追うごとに流れて行ってしまう。
    ・複数の短編のうち、表題作だけは冒頭で引き込まれる。人間と魚のボーダレスな世界を感じる。他短編は数ページ読んでも頭の中で世界が立ち上がらないし、淡々とした語り口に飽きがきてしまう。

  • 動物に人物の生活が暗示される

  • 表題をはじめ、さまざまな生物と境遇の似通った人々を描いた短編集。
    生物から見ると自然な事柄に対し、人が介入することで歪になってしまう。そして人々にも影響を与える。
    寓話のように読めて面白かった。

  • 短編集。それぞれの話に出てくる動物は主人公あるいは登場人物の象徴になっている。夫婦のすれ違いや不倫について、男女のうまくいかなくなる過程を描いていると思う。

  • メキシコ在住経験のある友達が貸してくれました。彼女のメキシコへの想いは相当なもので、WBCのときは日本じゃなくてメキシコを応援して家族の顰蹙を買ったというぐらい、メヒコ大好き!なのだそうです。

    独特の雰囲気漂う短編5つ。ゴ○○リ(書きたくない(笑))だったり、爪の中の菌だったり、ぞわぞわするものばかりが出てくるのに、目を背けることができないばかりか、ちょっとクセになりそう。

    ギレルモ・デル・トロとかアレハンドロ・ホドロフスキーとか、メキシコ人監督の映画に惹かれる私はとても気に入りました。奇才か鬼才か、変態か。

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著者プロフィール

Guadalupe Nettel
 1973年、メキシコ生まれの作家。メキシコとフランスを行き来して育つ。フェミニズムとジェンダーをテーマとした創作に取り組み、2008年にアンナ・ゼーガース賞受賞、ラテンアメリカ文学のこれからを担う39人のうちのひとりにも選ばれるなど、早くから期待を受ける。
 2013年に第三回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞(本作)、2014年にはエラルデ文学賞を受賞するなど国際的に高い評価を受け、海外では毎年のように「今年のベスト10」に取り上げられる。
 初邦訳『赤い魚の夫婦』(2021年8月刊)が、2022年第八回日本翻訳大賞最終選考作品に。

「2022年 『花びらとその他の不穏な物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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