- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784768468920
感想・レビュー・書評
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初めましての著者。
著者の先生はかなりの変わり者でありアクが強くていらっしゃるようだ。
私はロシア語には全く興味が無い。
それでも、著者の黒田先生が本書で散々「ロシア文字なんて無いよ。キリル文字だよ」(←こんな言い方ではないが)、とおっしゃっているが、それは知っている。
そんな程度の読者(私)なのだが、なんとこの本、とにかくめちゃくちゃ面白かった。
私には刺さった。
ということは私も変わり者でアクが強いのだろうか?
自覚は無いけれども。
自分の語学学習の仕方を肯定してもらえた感じ。
ご夫婦、仲が良くて追究するものが一緒で、いいなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり前から読もうと思って読みそびれていたエッセイ集。
黒田先生はもともとロシア語から勉強を始められたそうだけど、興味や研究から、ほかのスラブ語族の言語にどんどん手を広げていく。中学校から(今は小学校からなのかな)学習教科に入る英語や、大学で英語の次に選択する独仏中(それに露や韓も選択肢にあるけど)語だけで汲々とした人間としては、学習ガイドもきわめて少ない言語の学習・研究は単純に「すごいなー」と思ってしまう。ひとつの言語だけで学術生活ができるほど、今の世の中には鷹揚さは残っていないと思うし、もともと、いろいろなことに手を広げたいかたなんだろうと拝察する。
語学を勉強していく楽しさが随所にちりばめられていて楽しい。楽しいだけではなく、語彙を蓄えるなど「ある程度がんばらないといけない」という難しさもしっかり説かれてはいるわけだけれど、やっぱり「楽しい」が先に来ているように感じた。読みようによってはアンチ英語に思える部分もないわけではないものの、それは別に英語自体をdisっているわけではなくて、英語学習について回る「これからは英語」「話せればオッケー」とかいう、もろもろの安易な煽りがお嫌いということなのだろう。
それにしても、黒田先生が高校生のころに通っていらしたという、ロシア語教室がガチでびっくりした。私は語学の取っ掛かりは鬼軍曹スタイルが非常に好きなので、ちょっと通ってみたくなった。-
ゆるゆるのような真面目なようなの面白いエッセイなので、機会があればぜひ。
鬼軍曹的語学学習、同志ですね!私も学生が終わって以降、英語・...ゆるゆるのような真面目なようなの面白いエッセイなので、機会があればぜひ。
鬼軍曹的語学学習、同志ですね!私も学生が終わって以降、英語・仏語以外の外国語をいくつか勉強する機会を持ちましたが、「点数が後に響く」「仕事に響く」といった強力なモチベーションに欠けるからか、見事なほどものになっていません(笑)。今も『○○語四週間』と銘打たれた参考書を1冊読んでいるのですが、4週間どころか、今月でまる1年が過ぎようとしています。2016/06/18 -
外国語の達人には憧れます。私は英語もからっきし(英検5級レベル)なので……。少数言語を学ぶ人は心の底からすごいと思います。もっと公的支援を行...外国語の達人には憧れます。私は英語もからっきし(英検5級レベル)なので……。少数言語を学ぶ人は心の底からすごいと思います。もっと公的支援を行うべきではないかと思うくらい。この前『アルバニア・インターナショナル』を読み、アルバニア語学の奥深さに感じ入りました。黒田さんの本は『外国語の水曜日』が面白かったので、こちらものぞいてみたいところです。2016/07/08
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>シンさん
本当に、外国語が達者なかた、とりわけ少数言語を学んでいるかたの飛び抜けた好奇心と努力には心から尊敬の念を抱きます。さきのB...>シンさん
本当に、外国語が達者なかた、とりわけ少数言語を学んでいるかたの飛び抜けた好奇心と努力には心から尊敬の念を抱きます。さきのBrexitで英語のプレゼンスが今までとは変わるかもしれない事態が生じていることと、各言語に宿る文化を理解することは、日本ではもっと真面目に論じられなければいけないと思います。
『アルバニア・インターナショナル』、面白そうですね。冷戦崩壊でアルバニアの存在が世界にじわじわ漏れ出てきた(私の印象ではそんな感じです)ときに、国旗が双頭の鷲だと知り、「こんな辺境っぽい国でもローマ帝国の御旗が誇りなのだな」と地味に感慨深かった覚えがあります。2016/07/09
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言語学者による、多言語学習についてのエッセイ。
とはいっても全然堅苦しくないです。自身の体験談含め、エピソードが盛りだくさんで、知的なユーモアが漂っていて楽しい。
「ことば」に興味があるひとにおすすめ。
外国語学習に近道なんかない、と言い切ってるところが潔くていいです。でもその上で、すぐに話せるようになることが外国語学習の楽しみなんじゃないんだよ、と教えてくれる本です。 -
外国語学習のヒントはないものか〜と何気なく読み始めましたが、これは面白かった〜。
少数派=「その他」の作者らしい視点と体験談が飾らずに語られているのがよかった。東欧での失敗しない中華料理店選び、なんてなかなか読めるものじゃないし。ウクライナの超インフレぶりとか。
マネしよう、取り入れようと意気込んで読むというより軽い気持ちで読みたい本ですね。
でもところどころ語学のツボが出てきて、語学の勉強やろうかな〜っていう気になんとなくなりました。
海外旅行の前にまた読みたい一冊です。 -
どんな内容かも分からずに買ってみたが、結果としては「最高」。語学、外国語を通じて人生もっと楽しんでも良いかも、と思えた。好奇心と思うがままに、自己流の方法論を築き上げて行けばそれでいいのかも。いつか自分も面白おかしくこのようなエッセイを書けるようになりたい。
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ロシア語を専門とし、スラヴ言語の諸語も話す著者による、自身が公言する「初」エッセイ。
「この本はわたしにとって、はじめてのエッセイ集である、」
その一文で始まる。
この本の前には、『外国語の水曜日』が出版され、書評で、「著者の二冊目となるエッセイ…」とされる。
自身初の著書は『羊皮紙に眠る文字たち』が第一弾となるわけだ。
それは、外部からの判断であって、筆者は前二作の著書を「エッセイ」として書いたつもりはない、と。
筆者は、『羊皮紙に〜』は”スラヴ文献学”の、『外国語の〜』は”言語学”の入門書のつもりで書いたのに、である。
まあ、確かに軽妙な語り口で、外国語(特に東欧諸語)をエピソードに、簡潔明快な文章だったので、自分も、『羊皮紙に〜』も『外国語の〜』もエッセイだと思っていました。
さて。本書の内容。
筆者自ら「初のエッセイ」と言うだけ合って、先の本よりも比較的気楽に読めた。
自分は、『羊皮紙に眠る文字たち』『チェコ語の隙間』『外国語の水曜日』『外国語をはじめる前に』『ことばは変わる』と読んで、この本を読んだ。
そうなのである、『羊皮紙に〜』を読んでから、一気に黒田氏のユーモア(時に少しの皮肉)を込められた文章に見せられ、いや、言語(スラヴ語)の魅力に引き込まれたのである。
そして、多言語を学ぶ愉しさを教えてくれた。
メジャーな英仏独西を中心とする言語に対する、マイナーな「その他」の言語の魅力を語る。
英語一辺倒な日本の外国語学習にも疑問を呈し、持論を展開し、その意見にも肯ける。
この本を読んで、ますます「外国語=英語」ではないのだなと思いを深くする。
英語(学習)を否定するのではなく、英語も世界にある中の一つの言語として捉え、いかに言語を学ぶかということを書いている。
他のレビューにも書かれているが、まさに、「外国語を話せるとは、どこまで話せたら『話せる』ということになるのだろうか」という問いには、大きく頷いた。
この著作でも、筆者の言語に対する愛を感じられる、読みやすい黒田氏にとっての「初エッセイ」である。
「ことば」「言語学」、また「多言語学習者」に興味がある方は、ぜひ読んで欲しい。
(もちろん、それ以外の著作も、多くの人に読んでもらいたいです。) -
外国語はひとつじゃない。英仏独西中以外の、目立たないけど魅力的な外国語の愉しみを縦横に語り、多言語を研究した著者ならではの視点で平易に書き下ろした、外国語エッセイ。知的で愉快なエピソードから多言語への興味と知識が広がってゆく。【中央館 3F-西 8 804/KU】
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国際社会の理解にも役立つ。