- Amazon.co.jp ・本 (30ページ)
- / ISBN・EAN: 9784769020202
作品紹介・あらすじ
小さな黒い魚スイミーは、広い海で仲間と暮らしていました。ところがある日、仲間たちがまぐろに食べられてしまい…。
感想・レビュー・書評
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アムステルダム生まれの作家、レオ=レオニの絵本は、『あおくんときいろちゃん』に続いて二冊目(原書1963年)だが、前者が孫達のために創作して(まるで子どもが描いたような、彼の感受性が凄かった)一緒に楽しんだ、独自性と想像力の豊かな作品であったが、今回は、そんな子どもが描いたような雰囲気を継承しながらも現実を見据えた、孫達の未来を思いやるような彼の気持ちに、心打たれる思いであった。
とは書きつつも、そんな中にも窺える彼の子どもの気持ちに立ち帰ったような遊び心は健在で、例えば、この絵の描き方だが、その背景の、まるで絵の具の入ったバケツを思い切りぶちまけたような、自由奔放な楽しさの中にも漂わせるアート性に加えて、偶然が生み出したような、その色同士の絶妙な溶け込み具合は、いったいどうやって描いてるのだろうかと、とても気になった。
そして調べてみたら、どうやら『モノタイプ』といって、版に直接描画したものをプレス機などで紙に刷りとる版画技法で、私が学校で習った版画との違いは、彫りなどの製版作業が不要なことと、版を介することで、独特のかすれや奥行きが出て、それがとても味わい深いものになるということらしい。
その代わり、基本一枚のみなので、全ての版を個別に描写したものと思われ(さすがにスイミーの仲間達は同じものもあるのだろうか?)、その気の遠くなるような地道で丁寧な作業を思うと、その作家魂や、子どもたちの為にというのもあるのだろうが、まずは、自分が好きでたまらないから描いているといった印象が、その絵からも浮かび上がってくるようで、それがまた絵を見ている側の気持ちも優しいものにさせてくれるし、実際モノタイプによって、思わずじっと見てしまう味のあるかすれ具合は、特に、ダイナミックなまぐろや、靴の裏のようなデザインの海藻類、そして、本当に虹色といった言葉がよく似合う海月については、「モノタイプだけでこうなるのか!?」と思わせる、素敵な驚きでいっぱいで、書き方としておかしいとは思うが、本物以上に本物に見えた、その存在感の凄さである。
そして物語は、他は赤色の中で、一匹だけ黒色の「スイミー」が、ある日、恐ろしいまぐろに自分以外の仲間達が全て食べられて、独りぼっちになってしまい、恐怖と寂しさと悲しさを感じながら泳いでいき・・・この先、どうやって生きていけばいいのだろうと思う。
しかし、それでも広い広い海の中は、スイミーの知らなかった、様々な素敵なものたちとの出会いをもたらしてくれたことで、次第と元気を取り戻してゆき、やがては新たな仲間達を見つけて、今度はおなじみ過ちを繰り返さないように、考えに考えて、逆境を切り抜けてゆく、そんな物語に込められているのは、世界には辛いことがあるのかもしれないが、その反面、とても楽しいこともあるくらい、広くて奥の深い、未知なる驚きと楽しさに満ちているんだよといったメッセージなのだと感じ、それが、レオニ自身の孫達の未来を思いやる姿とも重なり合い、また感慨深いが、中々、そうは思えないくらい辛いときも人生にあることは確か。しかしそれでも、訳者の谷川俊太郎さんの本書への言葉、
『現実への信頼感が、レオニのイマジネーションを豊かにしている』も加わることで、現実の世界を、もっと信じようという思いにもさせられたし、まずはそう思う気持ちが大切なんだよなと、心新たにさせられた絵本でした。 -
教科書で出会ったスイミー。
淡い色合いで描かれた海の世界と、リズムの良い文章が印象に残っていた。
この絵が版画なのだと、たださんのレビューで知り、確かめたくて手に取った。
「モノタイプ」という技法らしい。
(詳しくは、たださんのレビューをご覧下さい)
水中のゆらゆらした様子にぴったりだ。
「からすがいよりも、まっくろ」なスイミーは、どの頁にも泳いでいるが、とても表情豊かに見える。
小さな子どもと一緒に読んていたらきっと、
「スイミー、どーこだ?」
「いた!」
ってやりながら楽しむだろう。
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──スイミーはおよいだ、くらい うみの そこを。
こわかった、さびしかった、とても かなしかった。
兄弟たちを一匹残らず失ったスイミーは、どんなに悲しかったことか…
それでも世界は広く、素晴らしい。
すると、兄弟たちとそっくりの小さな赤いさかなたちに出会う。
どうしたら大きな魚に食べられずにすむか、スイミーは考える。
──スイミーは かんがえた。いろいろ かんがえた。うんと かんがえた。
*
*
*
よく頑張ったね。
悲しみと怖さを乗り越えて、新しい仲間と出会ったスイミー。
もうひとりじゃないよ。
版画が見たくて読んだ本だけど、小さなスイミーに勇気をもらった。-
aoi-soraさん、こんばんは。
早速、再読して下さったのですね♪
ありがとうございます(*'▽'*)
その胸が締め付けられそうな孤独...aoi-soraさん、こんばんは。
早速、再読して下さったのですね♪
ありがとうございます(*'▽'*)
その胸が締め付けられそうな孤独を抱えながらも、勇気を出して見知らぬ世界に繰り出せば、また素敵な出会いがあるといった、まるで人生の再起を目指す人にとっての希望とも捉えられるような物語に、静かな感動を覚える絵本ですよね。
そして、その子どもの遊び心で作ったような独創的な背景も、スイミーを温かく見守っているように思われて、aoi-soraさんが版画の印象以上に、スイミーの行動から勇気をもらえたことが、とても嬉しくて、レビュー書いて良かったなと思うことが出来ました。
素敵なレビューをありがとうございます(^∇^)2024/02/02 -
たださん
改めて「スイミー」を読んで、こんなに感動的なお話だったんだ、
と何度も読み返してしまいました。
絵本ってすごいですね…
小さなスイ...たださん
改めて「スイミー」を読んで、こんなに感動的なお話だったんだ、
と何度も読み返してしまいました。
絵本ってすごいですね…
小さなスイミーは、ほとんど同じ絵なのに、すごく表情豊かに見えるんですよ。
たださんのレビューがきっかけで再読できて良かったです。
ありがとうございます^_^
「フレデリック」は貸出中でした…
その代わりにもう一冊レオ・レオニの絵本を借りてきたので、感想がまとまったらレビュー上げます。
ちょっと怖い絵本でした。2024/02/02
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小学校の教科書にあったな~と思いながら読みました。
「ぼくが めになろう」はずっと覚えていたセリフ。
今読むと、兄弟たちが食べられちゃったのにひとりぼっちで頑張ったスイミーも、岩陰に隠れてひっそり過ごしていたのに、急にやって来たお魚の言葉に勇気を出して出てきた赤いお魚たちも、よく頑張ったねって褒めてあげたくなります(´;ω;`) -
仲間を失う悲しみ。自分の想像よりも遥かに広い世界。新しい出会い。恐怖と闘う勇気。
いろんな経験や感情を表現された絵本。私もとても大好きな絵本。
娘たちは、大きな赤い魚を見て「わぁー!」と良い反応を見せていました。 -
スイミーが知恵を絞って、生きようとするところがよかったです。
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スイミーがとてもかしこかった!
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想像力と勇気と行動
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1y11m 文章が長くはないので読み聞かせしてきたが、言葉の言い回しが難しかった様子。
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本が好きで映画が好きなんだけど
絵とか…あまりよく分からない。芸術について分かりたいなと思うけれど分からない。
絵本はどちらかというと、アートだと思っていて
だから…感動することがなかった。
夫は絵が好きだから絵本が好きで、たくさん持ってた。
そんな私が、初めて、泣いた絵本。
スイミーの勇気と感性の素晴らしさに、私も勇気と素敵な感性をいただいた。
この世界の残酷さと、それでもこの世界の美しさと、優しさを。
教えてくれて、ありがとう。 -
1969年発行の絵本。確か小学校の低学年の授業で取り上げられていますよね。
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みんなで大きな魚になったところがかわいかった。
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逆境でも強く生きるスイミーが格好良い
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詳細は、こちらをご覧ください
あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
→ http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1346.html
大きな絵本を 机いっぱいに広げて 読みました。
終わったらもう一度 はじめから 今度はじっくり 絵を見ます。
大胆なマチエールが、不思議な魅力です。 -
2017.09 2-2
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26年度3年 ⑫3年 ⑫
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大ベストセラー。
スイミーのように、中心になって生きるのも、
まわりに和して行くのも、
どちらも自分次第。 -
年明け最初に読む本はこれですね!
今年もみんなで力を合わせてがんばろーーってな!! -
「ぼくが めになろう」
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レオ・レオニさん。教科書に載っていることもあって、彼の作品のなかでは1番有名なお話ですね。
絵があるからこそのお話、お話があってこその絵。淡い色合いで描かれた、透き通るような海の世界。レースをスタンプにしたような描き方がとても綺麗です。美しい絵本だなあと思います。
こんにちは。
コメントありがとうございます(*'▽'*)
レオニについて『“色”に語らせる』、まさにそんな印象だと思います。まだ...
こんにちは。
コメントありがとうございます(*'▽'*)
レオニについて『“色”に語らせる』、まさにそんな印象だと思います。まだ二作しか読んでませんけどね(^_^;
「あおくんときいろちゃん」の素朴なのに感情の見える、限りなく自由な感じもいいですが、「スイミー」の、一見アートパフォーマンス的な要素と、子どもが思うままに色を絡ませた雰囲気とが合わさって、奇跡的なバランスの妙を生み出した感じも印象的でした。
ただ私的には、前者の、あれだけのシンプルな描写から、どこまでも活き活きとした光景が生み出される衝撃が凄かったので、こちらはこうした評価にしたのですが、プリントという事を知って改めて眺めてみると、全く違った印象に変わり、その丹念な仕事ぶりも想像させられて、より面白く感じられて、絵を描くアイデアは無限にあるのだなと思いましたし、おそらく、レオニ自身が、子どもの目線に立てる方なのではないかと感じました。
また他の作品も読んでみたいです。
「スイミー」は教科書で出会って以来、大好きです。
しかし、版画とは知りませんでした。
じっくり見たいので、近...
「スイミー」は教科書で出会って以来、大好きです。
しかし、版画とは知りませんでした。
じっくり見たいので、近いうちに゙手に取りたいと思います。
因みにレオ・レオニさんの本では「フレデリック」も大好きです♪
コメントありがとうございます(^o^)
私も調べなければ、分からなかったのですが、改めて見てみると、「...
コメントありがとうございます(^o^)
私も調べなければ、分からなかったのですが、改めて見てみると、「なるほど」と感じさせるものがあり、きっと、絵の印象も以前とは、大きく変わるのではないかと思いますので、是非、ご覧になって下さい。
「フレデリック」は未読なのですが、aoi-soraさんが大好きと知り、読んでみたくなりました。
ありがとうございます(*'▽'*)