撃沈戦記: 海原に果てた日本艦船25隻の航跡 (光人社ノンフィクション文庫 786)

著者 :
  • 潮書房光人新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769827863

作品紹介・あらすじ

ソロモンの暗い波涛に、北千島の濃霧に閉ざされた凍てつく波間に、米艦載機の跳梁する比島の多島海に-それぞれの乗員の思いを乗せたまま、悲劇の航跡を残した日本艦艇。海空戦の主役となった空母から特務艦艇にいたるまで、戦争の進展に伴いしだいに凄惨な様相を呈した海戦の幕切れを描いたノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 戦記というよりは戦史?物語性が薄く、淡々と艦艇の辿った航跡を描いている印象。少しマニアックかも。淡々と書かれているので、そこから何を読み取り、何を思うのかは読む人次第だろうなぁ。
    重巡洋艦、軽巡洋艦といった比較的知名度の高い艦艇だけでなく、呂号潜水艦や陸軍潜水艦、救難曳船や海防艦、輸送艦といったマイナー艦種それぞれにもスポットを当てている点で貴重な記録。

    海上輸送の軽視が言われる日本軍だけど、一応船隊に護衛空母つけたり、潜水艦による通商破壊もしてたんだ。護衛空母自身が、夜間はタンカーを周りに付けて護られる側になるっていうのがその限界だったのかもしれないけど。あと、陸軍潜水艦っていうのが興味深かった。通称◯に輸送潜水艦の「ゆ」で「まるゆ」。温泉っぽいほのぼのした名前だけど、潜航可能深度とか積載性能とかはなかなかだったとか。
    東京の上野にある国立西洋美術館の松方コレクションは、WW1後に、当時の川崎造船所(現川崎重工)の社長が、潜水艦建造技術獲得のためドイツのUボート設計図を入手しようと渡欧したときに収集していたものだっていうのはへぇーと思った。
    護衛空母の話で、民間客船を建造する際に、補助金などを支援する代わりに、有事の際にはその船を改装して軍艦にするという手法が紹介されていたが、これは現代でも使えそうな方法だな、と思った。東日本大震災のときに、自衛隊は海上輸送手段が必要量に達していないことが明らかになり、その問題に対しては、有事や災害の時には民間フェリー会社に船を出してもらう契約を結ぶという話もあるが、交通手段が発達し、需要が低下したことにより苦しい経営を迫られているフェリー会社や航路から撤退するフェリー会社もあるというから、フェリー会社の存続ということからも、補助金を出す代わりに、有事の際はフェリーを自衛隊に編入するという手段もとれるのではないか。
    どの艦の話もアメリカのワンサイドゲームが多くて悲しくなる。人の命だから双方釣り合えばいいというわけではけっしてないけど、それでもやりきれない。
    海防艦とか小さい船も頑張ったんだなぁ。

    有名な戦いや艦艇だけが戦争の姿ではなく、輸送任務に携わった艦艇たちや、注目されにくい小さな艦艇たちの辿った運命も、紛れのないあの戦争の一面なんだという点で、戦争について考えるにあたり価値のある一冊。

  • 大きな、名前のついた海戦(たとえばミッドウェー海戦等)で撃沈された艦はよく知られているが、それ以外の小規模な戦いでも、たくさんの艦が沈んでいることに、今さらながら気づかされる。

    それにしても、太平洋戦争の海上の戦いは、紛れもなく駆逐艦の戦いだったのだと実感した。

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