審査部戦闘隊 未完の兵器を駆使する空 (光人社NF文庫)

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  • 潮書房光人新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769831419

感想・レビュー・書評

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  • 家の中から買ったまま忘れていた本が出てきた。「カバーがかかっている本は未読のはずだ」と読み始めたらその通りで、楽しく読んだ。

    あとがきまで進んで、『未知の剣』の改訂版だと分かった。十数年前なのでたいがい中身を忘れていた。

    本書で確認できた事実は数多いが、キ61-IIが存在するか否かは、「存在する」で間違いないようだ。キ61-IIとII改は翼面積が22m^2と20m^2の10%の違いで、これは翼弦を10%変えてある。表紙と160ページの写真(人物は竹澤准尉)は主翼のフィレットが妙に後ろまで伸びている。おそらくこれが翼弦が1割長いキ61-IIだろう。

    かがみはら航空宇宙博物館で自分で撮ってきた写真を見比べると、翼弦の違いはほとんど分からないが、現存するキ61-II改の方がフィレットが短い。具体的には左側面の点検パネルの半分より前か後かの違い。

    それはそうと、飛燕はキ61-II改しか現存していない。実戦で活躍したI型がないのは残念だが、II改だけでも残っていることはとても貴重なことだと思った。現存期は本書にある福生飛行場で使われ、終戦後米軍に渡された機体。本書で活躍した機体はおおむね壊れてしまったが、おそらく登場している著名なパイロットが操縦したことがあるのだろう。博物館で翼を休める銀色の機体の写真を、改めて誇らしく見られるようになった。

    なお、キ61-IIの主翼を元に戻したのは性能があまり変わらないからというのもあるようだが、最大の理由は翼に積むはずだったホ5の製造がはかどらなかったからと聞いた。ホ103でよければ主翼は変えなくていい。キ61甲の主翼が7.7mmであったのもホ103の製造遅れのせいなのでこういうところはよくよく運がない。

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著者プロフィール

昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる。主著に「回想の横空夜戦隊」(編者)「首都防衛三〇二空」「彗星夜襲隊」「空の技術」「異なる爆音」「戦雲の果てで」「航空戦士のこころ」「銀翼、南へ北へ」「太平洋戦争 日本の海軍機」「非情の操縦席」「敵機に照準」「倒す空、傷つく空」「兵器たる翼」「必死攻撃の残像」「海鷲戦闘機」「陸鷲戦闘機」「急降下!」「審査部戦闘隊」(潮書房光人新社)、「決戦の蒼空へ」「液冷戦闘機『飛燕』」(文藝春秋)、「日本海軍夜間邀撃戦」(大日本絵画)、「零戦戦史 進撃篇」(グリーンアロー出版)、「写真史三〇二空」(文林堂)、「写真集本土防空戦」(徳間書店)など。訳書に「ドイツ夜間防空戦」(潮書房光人新社)、「第二次大戦のドイツ夜間戦闘機エース」(大日本絵画)、「超・空の要塞B-29」(朝日ソノラマ)など。

「2020年 『局地戦闘機「雷電」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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