アローハンと羊―モンゴルの雲の物語

著者 :
  • こぐま社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772101851

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  • アローハンと羊 ― モンゴルの雲の物語
    2007.02発行。字の大きさは…大。2022.02.25読了。★★★☆☆
    瑞々しく、厳しい大草原に生きるモンゴルの家族の物語です。

    女の子のアロ―ハンは、名前をホンゴルと付けた子羊を育てます。ホンゴルの首には、深い絆を示す赤い紐を付けています。アロ―ハンとホンゴルの成長と、モンゴルの大草原の豊かさが描かれています。
    その中には、モンゴルでは「風向きは、だれにも、わからない」と言われるように、一夜にして大雪が訪れて家畜のほとんどが亡くなる。自然の厳しさも描かれています。この時に、ホンゴルも亡くなっていますが、ホンゴルが生んだ子羊は、ゲル(モンゴルの草原の住まい)の中に居て助かります。

    モンゴルでは、馬、牛、ラクダ、羊、山羊を財産として、また友として暮らしていきます。そんな生活の中で、モンゴルの人々は、それらの家畜達を言葉では言い尽くせないほどの絆で結ばれています。しかしだからといって、生きて行くためには、大切な家畜の乳を飲み、肉を食べないわけにはいきません。
    そこでモンゴルの人々は、深い絆で結ばれ、殺して食べてしまうことなど絶対に出来ない家畜に印を付けて「神様や仏様にお供えする」という名目で殺さない方法を考えたのです。この印を「セテル」といいます。

    アローハンが、ホンゴルの首に「セテル」として赤い紐を付けて、一緒に生きて行く友として、分身として生きて行くことを決めたのです。そのホンゴルが、百年に一度といわれる吹雪の夜に亡くなりますが、ホンゴルが生んだ子羊は、アローハンが生んだ子供と共にゲルの中で生きています。
    将来。私は、ふたりが強い絆で結ばれた友として生きて行くような気がします。

    【読後】
    モンゴルの大草原の雄大さと、厳しさが伝わってくるとともに。雲の流れのように生きるモンゴル人の情愛が伝わって来ます。笑顔と、そして涙が出て来る素晴らしい絵本です。

  • モンゴルの壮大な景色が目に浮かびます。

    命の尊さをモンゴルならではのストーリーで、
    優しく伝えてくれています。

    モンゴルの風に吹かれてみたい人?!に
    オススメです。

  • 興安:作/ 蓮見 治雄:訳 こぐま社 初版2007

    表紙の椎名誠氏のコメントを見て、読みたくなりました。
    (『モンゴルの草原と、そこに生きる人々を、動物達を、雲を、風をこれほど見事に描いた作品を見たのは初めてだ!』)
    確か、この椎名氏もモンゴルに縁のある方だったかな~ と記憶してます。

    アローハンの成長と、モンゴル人の生活が、解りやすく描かれています。
    (とても簡潔に、ですが)
    自然と人、人と人、の繋がりを改めて考えさせてくれる作品です。
    あとがき も読む。

    ちなみに
    アローハンというのは女の子なんですが、私は勝手に男の子と思って読んでいたので、途中でビックリしてしまいました。
    …名前…難しい;;

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  • 荒れ狂う吹雪が草原をおそう。アローハンは夫と共に必死で家畜を守ったが、兄弟のように育った羊を失ってしまう。ぼうぜんとするアローハンに残されたものは?

    (『キラキラ子どもブックトーク』玉川大学出版部より紹介)

    こぐま社の編集者、中川朋子さんが、日本画を学びに来ていた内モンゴル出身の留学生・興案(ヒンガン)さんの個展で、展示された水墨画、日本画、油絵などさまざまな技法で描かれた絵を鑑賞するうちに、どの技法による絵もみなすばらしいので、すっかり魅せられて、絵本の制作を依頼したのだという。

    最後の頁には、見開きいっぱいに、大草原の上に広がる青空にポカポカと浮かぶ白い雲が描かれている。モンゴルでは「青い空にうかぶ雲のひとつひとつには、それぞれの物語がある」と言い伝えられているという。千変万化する雲の一つ一つに、人間と家族の流転の物語を重ね合わせるとは、なんとすばらしいイマジネーションかと思う。いい言葉だ。本のラストシーンの青空に浮かぶ白い雲の群れの絵はため息が出るほど美しく映り、いつまでも見とれてしまった。雲を見て亡き愛する者を想う心、これは民族や宗教の違いを超えて同じなんだと、あらためて思う。

    (『雨の降る日は考える日にしよう』柳田国男 より)

  • モンゴルの大地に生きる、豊かさと過酷さが穏やかに伝わってくる。

  • 厳しい自然の中で、懸命に生きる

  • 26年度(6-1)

    12分

  • モンゴルの風と草原と、大切なものを失っても続いてゆく人生が仰々しくなく描かれて、静かに深く伝わってきました。

  • 舞台はモンゴル。
    壮大な野原が体感できる。

    1人の女の子が羊とともに立派な女性、そして母へと成長していく。

    小学五年生くらいでなんとなく分かってくるのかな。
    大きくなってもう一度読みたくなるような一冊。

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