- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772231985
作品紹介・あらすじ
『地名の政治地理学』(2020年、古今書院)で安易な地名改変に警鐘を鳴らした著者が、もう一つライフワークとしているのが《境界》問題。国内のさまざまな境界争論について意見を述べてきた経験をもとに「境界概念」を整理しその基本原理を明らかにするとともに、2019年に東京地裁が判決を下した東京湾埋立地をめぐる境界争論について、裁判の過程で著者が提出した学術的意見の内容を資料を交えて明示し、その評価を行う。日本学術振興会出版助成図書。
感想・レビュー・書評
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境界、と名がついてた政治地理学の書籍読了。
いろんな学問があるもんです。
地理学会における境界とは、政治的境界、面状境界、線状境界、自然的境界、人為的境界、人為的荒廃境界、障害境界、海洋境界、河川境界、山脈境界、山陵境界、山峡境界、山麓境界、幾何学的境界、数理的境界、合理的境界、分界的境界、分割的境界などなど…私にはよくわからない多様な概念があるそうです。
土地家屋調査士の扱う境界も筆界、所有権界、占有界、行政界、字界など複数あります。
そもそも筆界を決める以前、村と村(そういう名前だったかどうかは置いておいて)の間は自然の地物によって物理的に分断されていたのだと思うのです。
上で挙げている地理学会の概念でも、「山」や「川」という言葉が複数出てきました。
そういった自然的境界といつから決まっているのかよく分からないけれど追認によって決まっている(誰もが認めている)先行境界と後置境界(実効支配がなされた後で後追いで決まる境界)があるそうです。
戦争や武力行使によって後々線が変わったりしている所ですよね。
国内でも、飛地があったりもします。
きっとドラマがあったのだと、本書読了後の私は思います。
この著者は、東京湾の埋め立てによってできた土地が、どの行政区に含まれるのが妥当か、色々な観点から導いた結論について述べています。
最終的には政治的な判断もあって決まったようですが…
端から関係ない立場で見ていると、なんか埋め立てる前からもっといろいろ考えてから、話し合ってからやればよかったんじゃないの?とか思ってしまいます。
でも、埋め立て前の海洋の利用状況、等距離線と当初海岸線重視、先行境界からの考察…境界を決めるために、何をもって決めるか、基準とする考えをどうするか、まずはそこからなんですよね。
そら簡単じゃないです。。
備忘録
人文地理学、経済地理学、都市地理学、地政学詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:312.9A/Ta83k//K