抑うつの精神分析的アプローチ―病理の理解と心理療法による援助の実際 (精神分析臨床シリーズ)
- 金剛出版 (2007年9月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772409896
作品紹介・あらすじ
本書では、「うつ病」と診断されうる病態は「抑うつ」の一部にすぎないことを明らかにし、真に「抑うつ」というこころの状態への対象関係論的な理解と治療を示す。
感想・レビュー・書評
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はじめに―なぜ「うつ病」ではなく,「抑うつ」なのか―
第1部 視点
総説 「抑うつ」についての理論
第2部 治療の実際
第1章 懲罰の恐怖と罪悪感―「罰が当たる」と怯える青年期女性での信仰と抑うつ―
第2章 抑うつと二重の喪失体験―罪悪感・エディプス葛藤・性徴不全―
第3章 悲しみをこころに置いておけないこと―抑うつ状態についての覚書―
第4章 あるヒステリーにみる抑うつ
第5章 迫害的な抑うつ,あるいは抑うつによる迫害―パーソナリティの病理構造体の働きとの関連から―
第6章 躁うつ病における同一化の交代―躁うつ病の精神分析的心理療法―
第3部 コンテイニング
第7章 mourning workを抱える環境のマネージメント―管理医の役割―
第8章 抑うつ状態の看護―患者を抱える環境として,援助する人として―
終 章 抑うつの研究史―精神分析的アプローチの役割をめぐって―
解 題
「抑うつとは、対象喪失体験に対して経験される悲哀、悲しみとは異なる病理的な現象、つまり異常な悲哀反応、ないしは病理的な喪の過程である。」
「こころの救いとは、苦しみを排除してあたかも苦しみが自分とは関係のないものであるかのように感じたりふるまったりすることではない。」
本書より。
見立てと方針の上で困ることはよくあること。「何をいっているんだろうこの人は?」「どうしたら治療的な面接になるんだろう?」そんな問いに対して精神分析の視点から考えるヒントを与えてくれます。
タイトルがうつ病ではなく抑うつになっている点がポイント。
なぜかと言えば抑うつはほとんどすべての病理に共通するからでしょう。これによって「抑うつ」とそこから派生する防衛機制やひいては人格障害、躁鬱などの見立てと方針が立てれるようになった!!・・・気になれる。少し難解で読むのに時間はかかるかもしれないですが、面白い本ですよ。
ほかにも同じシリーズで精神病、人格障害、摂食障害が出てます。目指せ☆読破!!詳細をみるコメント0件をすべて表示