- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772695404
作品紹介・あらすじ
<美味しさの正体を、脳科学がとらえた>
美味しさ(味わい)は、口ではなく、脳が創り出している。
その決め手は、口中から鼻に抜けるにおいであり、
「においのイメージ」がパターンとして、脳で味わいを生み出すのだ。
このにおい感覚は、嗅覚の鋭いイヌよりも、ヒトのほうが断然、上回っている。
そんな繊細な「においx味わいの感覚」こそ、ヒトを進化させ、
また今日でも、生涯にわたり深い影響を及ぼしている。
驚きの知見、満載の「ニューロ・ガストロノミー」へ、ようこそ!
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::著者:: ゴードン・M・シェファード
イェール大学・医学大学院の神経生物学教授。『ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』誌の前編集長も務める。
味わいとにおい、脳に関わる研究の第一人者。また、脳の「微小回路」の発見・命名者としても知られる。
『脳のなかの匂い地図』(PHP)の著者、森憲作・東大医学部教授も、教え子のひとり。
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::主な内容::
・味わいは脳の創造物である
・「ニューロ・ガストロノミー」の提唱
・犬と人間の嗅覚を比べる
・鼻をつまむと味がよく分からなくなるわけ
・においは顔に似ている
・においはどのように脳で味わいに変わるのか?
・分子ガストロノミーとの連携へ
・風味が大切なわけ
・記憶とにおい:プルースト再解釈
・過食と肥満の原因
・風味の神経経済学
・言語とのかかわり:ワインを語る言葉
・意識・無意識とのかかわり
・においと風味が人類を進化させた
・胎児から老年まで
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::絶賛! ::
味わいを感じるしくみから、その社会的な影響まで、
本書は味わいに関する新たな道を切り拓く。
――リチャード・ランガム〜『火の賜物』の著者
私たちの健康と幸福にとって欠かせなくなるだろう、
ニューロ・ガストロノミーのめざましい成果を伝えてくれる。
――『ネイチャー』
感想・レビュー・書評
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美味しさを感じるプロセスでは、舌で感じる味よりも“香り”が重要なことを、脳神経科学の第一人者が解説した一冊。しかも最重要なのは、鼻孔から入る香りではなく、喉越しの際に口の奥から鼻に抜ける香り。食べ物の風味とは、香り、味、食感、色彩、音などへの感覚が総動員された、複合的な脳内イメージ。それは言語や記憶とも関連しているそうです。
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ふむ
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献本にて頂く。
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原題:NEUROGASTRONOMY: How Brain Creates Flavor and Why It Matters(2012)
著者:Gordon M. Shepherd(1933-)
訳者:小松淳子
【目次】
目次 [001-009]
はじめに 味わいは脳の創造物である [010-011]
序文 新しい風味の科学「ニューロ・ガストロノミー」 012
第 I 部 鼻とにおい
第01章 においと風味の研究の革命 024
歴史を動かす/「風味の哲学」の誕生
第02章 犬と人間の嗅覚を比べる(レトロネイザル経路に注目) 036
においを乗せた呼吸の流体力学/鼻の中/人間の鼻は退化した?
第03章 口が脳をたぶらかす 048
鼻つまみテスト/風味の主役はなにか?/口の一人勝ち/分子ガストロノミーとの連携
第04章 風味の分子 055
バナナの香りとアルコール依存症/官能プロフィールの完成/植物がにおいの達人であるわけ/ハーブとスパイス/肉に肉らしい味があるわけ/チーズのにおいは、牛が食む牧草によっても変わる
第II部 においを描く
第05章 におい分子の受容体 074
鍵と鍵穴説/嗅覚研究の課題/におい分子を特徴づけるもの/受容体の正体を求めて/技ありの実験/におい分子結合ポケット/におい分子とにおい受容体/組み合わせ相互作用/においと色/においの世界は多次元/最大の遺伝子ファミリー
第06章 感覚イメージの形成 090
カブトガニの眼からわかったこと/側方抑制とコントラスト協調/脳内イメージの形成/ノイズの低減/食物の特徴抽出
第07章 においの空間パターン 101
嗅球/においを表彰する仕組み/脳機能マッピングの新手法/打ってつけの方法/初めて目にしたにおいのパターン/万華鏡のような多彩さ
第08章 においは顔に似ている 115
fMRIで見るにおいのパターン/においのイメージ画像/においの識別能力は別格/手法の種類だけあるパターン/新たな発想の台頭/においと顔の認識
第09章 においのイメージは点描画 127
においのクオリア/においのイメージから知覚へ/視覚系はキツネ、嗅覚系はハリネズミ/においのイメージの解像度/糸球体モジュールの特異的な相互作用
第10章 イメージの強調 136
顆粒細胞の謎を解く/「目からウロコ」の瞬間が次々と/微小回路の発見/糸球体モジュール間の協調/満腹か、空腹
第11章 嗅皮質への注目 146
嗅皮質のCEO紹介/内容参照可能記憶/刺激と記憶/においの意識的知覚がおこる場所は?/必須アミノ酸のセンサー
第III部 風味の創出
第12章 嗅覚と風味 156
嗅覚ならではの特権/人間の嗅脳は大きい/結合の多さ、桁違いの複雑さ/においの創出
第13章 味覚と風味 166
味蕾/味覚の分子的基盤/味の符号化/多次元の味質/皮質に専用の味覚地図あり?/味覚の風味を生み出すために/味とにおいの融合/生まれた時から、甘味は幸せ/スーパーテイスター/ベアネーズ・ソース現象
第14章 マウス・フィール(口中での質感) 182
口腔内の体性感覚受容器/鼻腔内の体性感覚受容器/食物のテクスチャーは実に多彩/大脳新皮質への触覚伝導路/触覚・味覚・嗅覚の相互作用
第15章 視覚と風味 192
視覚と嗅覚を比べる/色の影響/ワイン・テイスティングの実験
第16章 聴覚と風味 203
聴覚路/食物の音/グルーグルー
第17章 風味を生む筋肉 208
唇と舌の動き/噛めば噛むほど増す風味/液体を転がす動き/口に詰め込む量/風味は能動的な感覚だ
第18章 知覚系+行動系=ヒト脳風味系 218
風味知覚系/風味行動系
第IV部 風味が大切なわけ
第19章 嗜好と渇望 230
食の渇望と薬物乱用/チョコ渇望からチョコ嫌悪へ!
第20章 風味と記憶――プルースト再解釈 242
プルーストの能を活性化させたもの/「この喜びはどこからやって来たのか?」/よみがえったコンブレー/海馬の役割
第21章 過食と肥満の原因 255
風味過剰がカロリー過剰の現況/スーパーマーケット効果
第22章 風味と栄養の神経経済学 266
ドーパミンとヒト脳風味系/網様賦活系は、あなたのUSBポート/能はいかに食物を選ぶか?/制御システムの破綻
第23章 ヒト脳風味系の可塑性 276
ターンオーバー(代謝回転)/味覚は経験により誘導される/においの感受性の増強におい知覚の可塑性
第24章 言語とのかかわり 285
言語あってこその風味/においを言葉で表すのが難しいわけ/ワインのアロマ・ホイール/ロバート・パーカーとワインを語る言葉/語り尽せぬ世界
第25章 意識・無意識とのかかわり 298
「盲嗅ってあるの?」/嗅覚系の「O1」/においの意識的知覚/嗅覚を失った男
第26章 においと風味が人類を進化させた 308
遺伝子の記録/嗅覚と視覚の競合が始まる/脳の拡大の引き金に/古代版ハーブとスパイスを探す旅/調理する動物
第27章 胎児から老年まで 320
胎内にいる時から/乳幼児の嗜好/なぜ、子どもの脳風味系は脆弱なのか?/思春期問題/ダイエットと伝統料理の真髄/風味と老年期
謝辞 [334-337]
参考文献 [1-11]
解説(本書出版プロデューサー 真柴隆弘) [350-353] -
491.376-シエ 300371580
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【選書者コメント】嗅覚を専門とする神経科学者が食べ物の味わい(風味)を科学的に探求している一般向け科学書。おいしさの秘密を解き明かしましょう!
[請求記号]4900:2318 -
11月新着
新しい知識がどっと流れ込んでくるような一冊だが、強烈に焼きついたのは「風味過剰がカロリー過剰の原因」の一節・・・た、確かに食べ過ぎてしまうカロリー大の食べ物は、みんな、においがたまらないのだ! ラーメンだって、焼きたてのクッキーだってシナモンロールだって、フライドチキンだって、あの匂いさえなければ我慢できそうな気がするもの!
他にもアルツハイマーの症状における嗅覚の重要性についてなど、興味深い指摘が多い。読み応えがあります。 -
美味しさ、は解析し尽せるか。ニューロ・ガストロノミーという、風味による美味しさを分析する科学分野。レトロネイザル(口から鼻への匂い経路)が、風味として美味しさを決める主役となっている。
鼻詰まりの時の味気なさを思えば自明なのだが、ようやく科学のメスが入り始めたところか。味覚の五味とは比較にならない匂い分子の種類の多さ。ガスクロでもまだまだ分析しきれていない現状。最後には視覚も聴覚も触覚も用いての総合判断なのだから本当に難しい。 -
料理を美味しく感じるとは、どのようなことなのか。
神経や脳の働きからこれを解説していく。
難しい所は斜め読みしても、人の味覚の感じ方のロジックがわかってきます。