システムの問題地図 ~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色
- 技術評論社 (2018年2月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774194639
感想・レビュー・書評
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ITが使えない仕組みになってしまうその主な理由を7つの切り口から綴った内容。
本書によれば、受注する側・発注する側の両方に責任がある。
自身、受注する側にはないが、発注する側の責任が重い点も、本書で痛感。
ITという専門知識が必要な分野であることから、
当然、情報の非対称性はあるが、それを仕方のないものと考える危険性もよく理解できた。
仕事で使い、そのために投資をする以上、無駄にすることは当然できないものであり、
元来の何故入れるのか?に都度都度立ち返る必要性もあると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
業界あるある的な。中途半端なアジャイルは危ない。実態はウォーターフォール型なのに必要なものが揃っていないときに、「これはアジャイル開発だから」というように言い訳として使われている場合がある(アジャイル開発の理解不足のため)。最終章の「エンジニアのモチベーション、生産性を上げる方法」が当たり前過ぎて実施しない理由が見当たらない。報連相の時間を決める、最低限の資料作成、電話は出ないor当番制、作業スペースを広く、良いスペックのマシンで、軽い会話ができる場所、カジュアルな服装、フレックスタイム制。
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言うは易く行うは難しですわ
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【SEを5年くらい経験したら、一通り経験したことのあるようなあるあるが書かれている本】
自分自身SEをやっていて、あるあると思うことが書かれている。
多重請負構造
情シス部門の丸投げ体質
変わらぬ人月積み上げビジネスモデル
失敗するプロジェクトマネジメント
コスト偏重
ブラックな職場環境
営業/開発/運用/本社のいがみ合い
…
同じゴールを本当に目指しているのか疑いたくなるほどに一体感もなければ、相互のリスペクトもないようなのがシステム開発である。
こういった問題点を見える化し、一石を投じて、いい加減に変えていこう!という本である。あるあるは提示してくれる。ただし、具体的な解決策は特に提示されていない。自ら考える必要がある。
この業界が変わるには、1人1人がこの業界に横たわる最初に述べたような課題を自分事として捉え、自分の守備範囲の1つ先までみることが必要なんだと思う。
システム化の本質は、「見えないもの」を「見えるもの」に変える取り組みである。だからこそ、業務を見える化し、誰しもが理解できるように情報を整理することが重要である。
整理された情報は、手元に持っておいてもしょうがない。公開・共有されていなければならない。情報の共有不足が孤独感や疎外感を生む。メンバーの帰属意識や一体感を削ぐ。これは日本軍が絶対国防圏と称し、太平洋の広大な地域を守備範囲としていたが、大本営からは何の情報も得られず、遠く太平洋の島々にいた兵士たちは孤独感に苛まれたことからも証明されている。リーダは情報を常に提示し続けなければならない。肝に銘じておきたい。 -
実際によくあるようなことが書いてある。
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自分はSIerではなくWeb系だけどビジネスサイドの立てた企画を基にシステムを開発して運用するというプロジェクトの本質は同じなので問題なく読めた。具体的な施策よりまずは各々の立場を超えた相互理解こそが重要だと著者は説く。第7章の「PMはポリシーを示そう」という話は今後心掛けようと思った。