with you (くもんの児童文学)

著者 :
  • くもん出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774330785

感想・レビュー・書評

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  • 2021年度の課題図書、中学生向け。

    中学3年生の柏木悠人は、ランニングで寄った夜の公園で、ブランコに座っている少女を見かけた。
    少女は富沢朱音、隣の中学の2年生。
    朱音は、病気の母親と小2の妹の面倒を見ている「ヤングケアラー」だった……。

    近年ニュースで耳にする、ヤングケアラーの物語。
    家のことを誰にも相談できない朱音、同じく家のことでもやもやしている悠人、二人がお互いに感応して打ち解けていく様子は自然で、引き込まれました。
    悠人のお母さんの設定は物語的ですが、それはもう仕方がないと思います。
    最近、「人ってわからないな」と思うことが多いです。
    この物語でも、色々な登場人物の表と裏の存在が自然に描写されており、お見事でした。
    この本が課題図書になったことで、想像力という思いやりについて、また、助けを求める大切さについて、感じて考えることができます。

  • 助けたい。支えたい。
    気持ちは真実。そう思っていることに間違いはない。
    でもどこまでのことができるだろう。どこまでの覚悟があるだろう。
    中途半端なその言葉は、余計に相手を傷つける。
    しかし、どこまでの覚悟があればその言葉を言う権利があるんだろう。
    それでは助けを求めている人の手をおいそれと握ることができなくなる。
    正解がないんだ。

  • 新刊のお知らせ: 故郷の浜
    http://718jingzi-b.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-837318.html

    【聞きたい。】濱野京子さん 『with you』 - 産経ニュース
    https://www.sankei.com/smp/life/news/210131/lif2101310023-s1.html

    ブックウオッチング:『with you』 濱野京子さん | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20210203/ddm/015/040/029000c

    Abuku book.
    https://nakadaikumi.tumblr.com/

    with you | くもん出版
    https://www.kumonshuppan.com/ehon/ehon-syousai/?code=34610

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      SNS担当が語るこの1冊:『 With You 』 | くもん出版(2020/12/18)
      https://bit.ly/3ERIZ5q
      SNS担当が語るこの1冊:『 With You 』 | くもん出版(2020/12/18)
      https://bit.ly/3ERIZ5q
      2023/03/03
  • ヤングケアラー問題について踏み込んだ物語。

    どんな家庭でもそれぞれの悩みがあるということを実感した。

  • さらっと読めました。次男である主人公が思春期真っ只中、高校受験と優秀な兄への劣等感と、自己中心的な悩みから、ヤングケアラーのおんなのこと出会って、すこしずつ自分の目線が変わる話。

    ずっとその少年が主人公で、主人公の目線でしか話が進まないけど、これ、女の子の目線で、書かれている章があったら、もっとヤングケアラーへの想像力が深まるんじゃないかな。
    よっぽど想像力にとんだ子だったらいいけど、これを読んだ普通の中学生や高校生は、ヤングケアラーの追体験をしないと、彼女の気持ちや大変さ、わからないんじゃないかな。

    中学生の恋愛小説としては、とても清々しい読み終わりでした。



  • 兄と比べられることで、自分が生きている意味に悩む中学3年生悠人が、夜のランニング中に出会ったヤングケアラーの中学2年生朱音と過ごす中で成長していく姿を、悠人視点で描く。まだまだ社会的認知度の低い「ヤングケアラー」というテーマを、中学生が少しずつ理解していこうとする目線で描かれているのが、とても良かった。序盤、悠人と朱音がまだあまり親密になっていないときのポツポツと話し始める会話など、雰囲気が良かった。
    個人的には、離婚をして、別居していても、家族としての繋がりがある、というような悠人の家族の描かれ方も好きである。何の不自然さもないように、大晦日にケーキを持って父親が家に上がってくる様子や、心の中で戻ってきて欲しいと思う兄直人の様子、そのことをあまり気にしていないような母親の様子など、ちょっと違った家族像として共感するところもあり、よかった。

    少し気になってしまったのは、母親がヤングケアラーについて悠人に語るくだりである。ある日、悠人は、兄と不仲になってから、あまり話すことがなくなっていた母に、友達の渉が小学生の頃、おばあちゃんの介護の手伝いをしていたことを話す。この時、福祉関係の仕事をしている母親が、介護やヤングケアラーについて、悠人に話すのだが、突然、様々な専門用語を使って、社会問題について語る様子は、多くは語らないが、子どもを見守るそれまでの母親の描かれ方とのギャップもあって、やや不自然に映った。
    父がクリスマスプレゼントを渡すため、悠人に会う場面で、少子化や高齢化社会、認知症の家族の介護などの社会問題について語る所や、朱音が母親と話すシーンにも、メッセージ性が前面に出て説明調であるがゆえに、同じ違和感を感じた。

    ただ、ヤングケアラーという、まだあまり知られていない当事者に関わる側として、この問題に関わるときに、考えるきっかけとして、いい本だった。

  • ヤングケアラーという、下手をすると白けてしまったり、上滑りしてしまいがちなテーマが、読みやすく上手にまとめられています。
    社会問題だけでなく、思春期の恋愛模様や、兄弟間での葛藤など、10代らしいテーマが、軽やかにテンポ良くつづられていて、最後まで興味を持って、集中して読むことができました。
    小学校高学年のお子さんをお持ちの方は、ぜひ家族で読んで頂きたい一冊です。

  • 「中学生、彼ら(主人公)と同じ年代に読んでもらいたい、一冊」

    自分ではどうしようもないものに不安や不満を抱えて、毎日を過ごしていく中学生のかれら。「ヤングケアラー」をテーマに、互いに惹かれ合う二人の繊細な心情が描かれている。

  • 中学生の課題図書
    中学生、読んで損はない。
    読むべき。
    読みたいものを探しているならぜひ、手に取って欲しい。

    ヤングケアラーについて、その言葉も知らない、中学生がこの本を読んだ時、自分と年齢のかわらない子がこんな思いで、日々を過ごし、家族のために頑張って生きていることを知ることで、自分自身の恵まれた暮らしにも、気づくことがあるのではないかと思う。
    この本を読むと、友達の行動に、大丈夫かな?どうしたんだろう?と感じるアンテナの感度が良くなるかもしれない。そうあってほしいと思う。

  • 2021年の課題図書。
    中学生の恋愛物語であると同時に、ヤングケアラーについて取り上げた作品でもあります。
    高齢化がすすむ日本では介護について考える機会が増え、支援を受けることができないなかで家族の介護をしている人も多いのだろうと想像します。
    身の回りにヤングケアラーがいるかどうか定かではありませんが、見えにくい・また当事者が見せないようにしている、などという事情もあって、なかなか顕在化してこない今の日本の課題なのだろうと思います。

    この作品の主人公は「出来のいい兄と比較され、自身の存在意義が良く分からなくなっている、成績中位の次男坊」ですが、彼の抱える家族への複雑な思いや、気づかなかった(表には出されてこなかった)友人たちの抱える悩みや過去、気になる女子との関係性など、中学生にとって魅力がある内容が豊富に含まれているように思います。
    YA文学として、完成度が高い作品だと感じましたし、主人公や登場人物の描かれ方は「中学入試の問題文」としても使われやすい作品であるようにも感じました。

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著者プロフィール

熊本県に生まれ、東京に育つ。『フュージョン』でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞を受賞。主な作品に『トーキョー・クロスロード』(第25回坪田穣治文学賞受賞)、『この川のむこうに君がいる』『with you』(ともに青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出)、『石を抱くエイリアン』『南河国物語』『Mガールズ』ほか、「レガッタ! 」シリーズ、「ことづて屋」シリーズなどがある。

「2023年 『金曜日のあたしたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

濱野京子の作品

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