発達障害の人が見ている世界

著者 :
  • アスコム
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776212188

作品紹介・あらすじ

この本は、これまで1万人以上の発達障害の人たちと向き合ってきた精神科医の著者が、発達障害の特性を持つ人、とりわけADHDとASDの人が“見ている世界”を紹介する一冊です。
発達障害とは、一言で言えば脳機能の特性。状況を読んだり、人の気持ちを推測したりする脳の働きが定型発達の人より弱いことがわかっています。

失礼なことを平気で言ったり、
繰り返し約束を破ったり遅刻したり、
すぐに泣いたり怒ったり、
じっとしていられなかったり…

理解に苦しむその言動も、本人たちが物事をどう受け止め、感じているのか、つまり“見ている世界”を理解し、その対応策を学ぶことで、ともに生きるのが楽になるはずです。

たとえば、「発達障害の人には社交辞令や皮肉が通じない」といいう困りごとの場合、その理由が「脳の特性により、言葉を字義通りに受け取ってしまう」という原因によるものだと知れば、少しは気持ちが落ち着くでしょう。
そして、「発達障害の人と話すときは、極力ストレートな表現を心掛ける」という対処法にも納得がいくはずです。

この本では、大人から子どもまで、そんな身近にある困りごとを32個紹介し、その理由と対応策を紹介しています。

「自分も発達障害かも?」と思う人も、生きづらさの正体を知ることで適切にサポートを受けたり、対応策をとったりしていくことで、困りごとが解決されていくことでしょう。
特性を持つ子どもの親御様も、子育てが少し楽になるはずです。

定型発達の人でも、発達障害の特性に似た傾向を持つ人は、決して少なくありません。
また、発達障害との診断はくだらなくとも、発達障害の特性を持つ“グレーゾーン”の人もいます。
発達障害なのか。
グレーゾーンなのか。
定型発達なのか。

そういった診断的な面だけにこだわらず、さまざまなコミュニケーションの困りごとを解決するツールとしてこの本がお役に立てれば、これほどうれしいことはありません。

感想・レビュー・書評

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  • 発達障害についてADHD・ASDを中心に書かれている本。
    私自身が発達障害なのでは無いかと思い、精神科に行ったところそのような気があるというような事を言われました。
    そのことを人に打ち明ける際に説明をするための資料として医者から勧められ購入しました。
    読んでみると自分の事を言っているような所もたくさん有り、どのように改善すべきか、周りの人はどんな風に対応していけば良いのかが丁寧に書かれていてとてもお勧めです。
    私は就職してしばらく経ってから発達障害を疑いましたが、学生時代からこのような傾向があったような気がします。その時は、自分の努力不足なんだと考え落ち込むことも多かったです。しかし、この本に出会って少しだけですが救われたような気もしました。もし発達障害かもと感じて悩んでいる方がいれば、この本を読んでみて欲しいです。

  • 発達障害について例をあげながらわかりやすく説明してくれる。そして、この本の何より良かったところは、当事者に対しての生き方のヒントと、周りの人に対しての解決方法(緩和方法)のように2方面から論じていて、発達障害の方もそうでない方も両方読んで納得できる本になっているところである。また、この本を読んで、部分部分当てはまる特性があったので、ADHDやASDではないなと自然に思っていたけれど、部分的にはその特性をもつ人はかなりいるのではないかという気づきがあった。

  • 「周囲の人の理解と助けにより、環境を整えてあぇることが何よりも重要」

    頭では理解できるが、長く共に過ごして蓄積されたひずみが深い場合、どうしても気持ちがついていかない。
    人間性ではなく脳の特性と言われたからといって、これまでのあらゆる事柄を無かったことにはできない。
    発達症の人の身近な人たちの気持ちのやり場についても、もっと救いがあるといいなと感じる。

    ただ、新しく出会う人との関わり方としては参考になる。

  • ASD、ADHDなどの発達障害は脳の特性、人の個性であって障害ではない。その特性を周りが理解することでお互い生きやすくなるし、仕事や家事の生産性も向上するとのこと。4人だか5人に一人は多少のなんらかの発達障害があると言われているので、全ての大人が読むべき本。

  • 読みやすかったです。子どものことも大人のこともあって、よかったかな。
    本人の気持ちも書いてあって、親切でした。

  • 知るって大事だな、と。
    ADHDやASDといった発達障害は「脳機能の特性」である。
    決してその人の能力が低いわけでも、人間性に問題があるわけでもない。
    ただ物事の受け止め方や感じ方、見ている世界が違っているだけだ。
    だけど、その言動には必ず理由があるということを忘れてはいけない。
    本書を読んで、分からないと諦めるよりは、実態を知って少しずつでも理解していきたいと思った。

  •  発達障害の人が周りにいる人向けでもあるし自分が生活で困ってるときにも使えそうな本。ただ、基本的にそういうとのだと受け入れましょうという考えが根底にあるので、葛藤の中にいる人は受け入れ難いかも。
     一問一答で分かりやすかった。

     筆者があとがきで書いていた“近年、発達障害の認知が広まった弊害として、あまりに多くの問題を安易に発達障害へ帰着させようとする空気がある。"のはホントその通りで、たいてい発達障害の診断が症状ありきでおりているのでもう何が何だか感はある。

  • とてもわかりやすく書かれていて、大変勉強になった。

    「発達障害は病気ではなく、脳機能の特性。」

    「発達障害の人が"見ている世界"にしっかり焦点を合わせて共感することが重要。」

    「無理に変わらせるのではなく、本人たちができること、得意なことを伸ばし、苦手なことをカバーしてあげる方向で対応する。」

    ‥社会の理解と、周りのバックアップが大切であるという事だ。

  • 発達障害は病気ではなく脳の特性

    いつも感情が不安定→自己否定感や劣等感が強くなっている。ASDはいつもと違うことに直面するのが苦手。新しい物事を前にすると計り知れない不安に襲われそれだけでいっぱいいっぱいになってしまう。周囲の人も気がついてあげられない。

    → 自虐的な思考は否定せず、共感しながら聞いてあげる。(そんなことないよ、考えすぎだよ、気にしなくていいよなどはNG)

    OK例:悩んでいることを具体的に書き出してみなよ。

    ASDは扁桃腺が過敏になりやすい。強い不安感を感じやすい。→説明と予告が大切。ほんの少しづつ、新しい体験をしていく。

    ASDには同一性の保持の特性を活かした、スペシャリストがの向いている。ある種の職人

  • 発達障害の人を見る目が変わりました。
    これまでは、発達障害の人の「できないこと」や「苦手なこと」にばかり注目していましたが、これからは、彼らを「特性を上手に引き出せれば、高い能力を発揮する可能性を秘めた人たち」として捉えてみようと思いました。
    本書の内容をもっと色んな人が知り、発達障害の人たちや彼らと関わりながら生きる人たちが、もっとストレスなく生きていける世の中になったらいいなと思います。

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著者プロフィール

精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授/日本医療科学大学兼任教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。著書に『心理教科書 公認心理師 要点ブック+一問一答 第2版』、『心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版』(ともに共著、翔泳社)など。メディア出演に、テレビ東京「主治医が見つかる診療所〜寝起きの悪い人と寝起きのいい人の体は何が違うの〜」、 NHK BS プレミアム「偉人たちの健康診断〜徳川家康 老眼知らずの秘密〜」など。
 

「2022年 『発達障害の人が見ている世界 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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