- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784777824267
作品紹介・あらすじ
"純U系レスラー第1号"として旧UWF~新生UWF~UWFインターナショナル等で活躍した中野巽耀(当時は龍雄)がレスラー人生を総括する初の本格的自叙伝になります。自身のキャリアを振り返るだけでなく、伝説化しているスーパータイガー(佐山聡)vs前田日明の不穏試合、前田日明vsアンドレ・ザ・ジャイアントのセメントマッチ、前田日明が長州力の眼窩底を骨折させた顔面蹴撃事件、新生UWFの3派分裂劇、UWFインターナショナルと新日本プロレスの全面戦争など歴史に残る騒動について当事者の立場から「真実」を激白。UWFファン必携の一冊です。
感想・レビュー・書評
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U系に特徴的な「ローキックを放ちながら手四つに誘う」という
まるで分裂したムーブに象徴されるように
UWFとは、ハリネズミのジレンマを抱えるプロレス団体だった
触れ合おうとしたならば互いに傷つけあうしかない
そういう集まりなのである
いくらポスト・プロレスの理想を掲げたとて
所詮は食っていくための手段にすぎない
そのダブルスタンダードに生じた欺瞞、あるいは誤解から
カネと嫉妬の問題が生まれ
若い関係者たちの信頼に亀裂が走るまでは
あっという間のことだった
そんな中にあって、我が道を行く中野龍雄のスタンスには
見るべきものがあったと思う
船木戦や垣原戦など
その試合内容には、真っ正面からシバキ合いに行くものが多く
高山vsドン・フライあたりを先取りしてたような気もする
中野龍雄は第一次UWFでデビューした最初の新人のひとり
もともとは、ラッシャー木村の伝手を頼って
国際プロレス入りを狙っていた
当然、Uスタイルへの憧れがあったわけではなく
理念を創造する立場にあったわけでもない
だからというわけばかりじゃないが、異彩を放つ存在だった
レスラーとしては小柄な部類に入る
しかし誰に対しても小細工なしにぶつかっていくという
まあ、ある意味ではUWFらしからぬ非合理なファイトスタイルで
常に観客の高い期待を集めた
マッハ隼人の後裔と言えるかもしれない
ただ、後年フリーになってからはそういうスタイルが仇となり
巨漢やロートル相手にしょっぱい試合をやることもあったのだけど…
また、茨城県の出身でありながら
博多スターレーンで披露した「シャチホコ固め」がバカウケし
「博多男」の異名をとったことでも知られた
シャチホコといえば名古屋名物であるが
いんだよそんな細けぇことは(豪快)
本書では、いまだに山崎一夫への敵意を隠さないところが印象的
高田から世話になったという思いが強いようで
それに背を向けた山崎を許すわけにはいかないらしい
こういうところも、他のUWFファイターと何か異質だった
とはいえ、そんな中野じしんも
Uインター末期にはゴールデン・カップスに疑問を持つなどしており
週プロの後押しで実現した天龍戦に感じる部分もあって
結局、後継団体のキングダムには行かず
筋を通す意味でか、高田の引退セレモニーも欠席した
その後はインディー系の団体を渡り歩き
あまり一カ所に定着する感じではなかった
個人商店的に、自分なりのUWFを継続してるということだろう