鬱屈精神科医、占いにすがる

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314958

感想・レビュー・書評

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  • 精神

  • やっぱり病人が病人を診ていたのか。
    春日武彦って吉野朔美の漫画に出てくるけど、吉野朔美の漫画の世界より、洒落た造りのハリボテのクリニックで喪黒福造にドーンってやられて、永遠に母親とトランプで占いする世界に行ければいいのにと思った。

  • 聡明で神経症気味の母と愚鈍で美しくない自分。息子にとっての母親の存在がこういうふうにじくじくと一生影響を与え続けるものなのだと、ちょっとショッキングでもあった。

    [more]<blockquote>P015 もしかすると、心の奥底で安心感を得るために、日常ではわざと要領の悪い立ち回りをしている可能性がある。そのことで、いざという時には幸運へと傾くという保証を取りつけたい気持ちでいるのではないか。小さな不幸はしょせんは大きな安心への保証金のつもりなのであった。

    P019 不条理との戦いのために妄想が発明した兵士が即ち占い師ということになる。

    P035 精神科医と占い師は所詮イカとタコみたいなもので、どちらも触手を持ち墨を吐き水中の生き物としては異形である。互いに相手をグロテスク呼ばわりしているところがある。

    P067 人生は反復と相似で出来上がっている

    P091 占いというシステム自体が「ひとの心模様は図式的である」という認識と相性が良いのである。

    P204 私にとって世の中には理不尽なことが多すぎる。理解不能なことが多すぎる。【中略】自分が預かり知らぬ「暗黙の了解」やルールが世間にはあるのではないのか、身につけ損ねた「あたりまえの能力」が欠落しているのではないのか。そんな疑念にも悩まされ続けている。</blockquote>

  • 「妻と罰」の人のような文体で合わなかった。

  • 他人のリアルな人生を赤裸々に見せてもらえて面白い。しかも精神科の先生だから、彼の心模様の描写は明確で分かりやすい。

  • 亡きお母上の呪縛から逃れたい一心で形振り構わず占いに縋る、少々情けないご自身の姿を敢えて赤裸々に描いた意欲作。誠に天晴れな作家魂と言う他ありません。常にも増して自己憐憫の欠片も無い、皮肉たっぷりの文章も素晴らしいです。褒めております。念のため。

  •  精神科対占い師の正当な掛け合いが読めると思ったががっかり、めちゃくちゃな精神科医がいたもんだ。

     こんな精神科医にはかかりたくない。まずは占いにすがったほうがまし。

  • そこまで占いにすがっていない。
    共感できなかった。

  • 914.6

  • 以前著書で香山リカさんとしか思えない人物をこっそりディスっていた春日武彦先生。それ以来信頼してます。故吉野朔美と親交があったというし、共著の相手が平山夢明や内田樹などと、医師としての肩書以前に只物ではない書き手なのは確か。

    この直前に読んだ小谷野敦同様、この人も色々こじらせてるよ! と思ったら多い引用の中、小谷野さんの著書からも引かれていて偶然に(シンクロニシティ?)笑ってしまった。

    「精神科医枠文化人」に北杜夫、なだいなだ(越えられない壁)>香山リカという序列があるとして、春日先生は左側だと思うけど、読書好きには一定の評価を得て新刊も途切れないのに、一般受けやベストセラーがないとしたら、語りがシビアで(つまり、甘くない。読後が重い)、キャチーなフレーズ(「XXX症候群」とか新しく付けるとか)もないし都合のいいコメンテーター仕事もしないからだろう。

    今回は自分史語りのエッセイと私小説の中間のようでいて、会話は占い師とのやり取りぐらいのものだから、地の文が活字びっしりで、読了に時間が(ページ数の割に)かかった。

    「売れない作家」と自嘲する前に、ウザい自分語り(今回の本はそれが主眼っぽいので仕方ないけど)を読み易い小説の物語に昇華させて甘くコーティングすればいいのに、と余計なことを考えてしまった。読者は勝手ですね。

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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