- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778316129
感想・レビュー・書評
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「おしまいの地」とは著者の生まれ育った場所のこと。自分の子どものときのことや、自身の病気、家族、親せき、友人等々身の回りのことをつづったエッセイ。
淡々としてかつ読みやすい文章なのだが、書かれている内容は悲惨なものが多く、読み進めていくとちょっと陰鬱な気分となる。
著者の前作「夫のちんぽが入らない」も読んだときに同様の感想を持ったので、これが著者の個性なのだろう。次回作がどのような内容になるのか、読んでみたいような、みたくないような・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここまで赤裸々に書いて大丈夫なのかと心配になるほどの実話に基づくエッセイ。コンプレックスや失敗談も包み隠さず書かれている。筆者のフィクション小説もあれば読んでみたい。
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「戸をちゃんと閉めて歩きなさいな。戸を閉めない子はお股が緩むよ」
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「今のあなたは転んだだけで死にます」 -
20180322
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<感想>
最近話題になっている「こだま」さんの自伝的エッセイ。
前作の「夫のちんぽが入らない」がすごく良かったので手に取る。
面白いなぁー、こだまさんが書く文章(´∀`*)
最初から最後までずっとニヤニヤしながら読んでた(笑)
「ヤンキーと百姓が九割を占める集落」で育った作者のオモシロ経験が豊富過ぎる…
あと「トイレットピー」を連呼する親父も(笑)
でもこの本は「笑い」の要素だけではなく、家族・人生についても考えさせられる。
こだまさんの家族に対する考え方。
いかに自分のことにしか目が向いてないか改めて気付かされる。
祖母、母、またはこれからの家族の幸せ。
現実から逃げずしっかりと考えないといけないと、そう思わせてくれた。
こだまさん自身がいわゆる「勝ち組」、「社外的な強者」ではないからこそできる考え方、優しさが作品全体に漂っている。
異なる異分子からの刺激で前向きになれる人もいれば、自身とベクトルの近い人が頑張る姿を見て前向きになれる人もいると思う。
自分は後者かなと、そういう意味で本作品はとても合っていたように思う。
押し付けがましくなく、そっと寄り添う人生論というか、そんな感じ。
いつかまたチョコモナカジャンボを食べながら再読しよう(´∀`)
<印象に残った言葉>
・蟹を見て「虫よりも安い」と冷やかす父、そんな父の言動を綴る私。ふたり揃って友達がいない。休日の予定もない。世の中を知らない。父と並んで無言でチョコモナカジャンボを食べる。隣にいるのは間違いなく二十年後の私だ。(P11)
・しかし注文したはいいが、どれも大して使われないまま祖父母の仏壇の前に並べられていた。まるで先祖へのお供えのようだ。ともすると生き返りを願うポジティブな宗派にも見える。仏間が本格的なジムになる日も近いだろう。(P16)
・中学生、あなたはなんとも頼もしく、神々しいのか。(P37)
・悲哀でも恨み節でもない。同情を求めたりもしない。だが仲間の体調な家族のように気遣う。投げやりにならず、かといって無闇に希望ばかりを語らず、ただ一日、一日を生きる。現実をありのまま受け入れている人たちだった。(P39)
・そんなこともあるよ。気にしないで。(P108、アメリカさん)
・家を出て気が付いた。自分はとても小さな枠の中で生きていたこと。家族や顔見知りの評価がすべてで、そこから外れてしまう私は救いようのない人間だと思い込んでいたこと。誰かと比べて落ち込んだり、いい気になったりすることに意味などないこと。この世には卑屈で陰気なままの私を好きになってくれる人もいるということ。(P158)
・違う、違う。第二の藤木直人よ!あの子、あの顔が好きなんだわ!(P167、母)
・いまの私に「ええい、うるせえ」と撥ね飛ばせるほどのこだわりがあるだろうか。人と顔を合わせると、どうしても流されてしまう。決意は砕け、自分がどこかへ消えてしまう。トニックシャンプーをぶっかけ、パサパサの髪を振り乱していた十代の尖りに立ち戻りたい。(P241)
<内容(「Amazon」より)>
スーパーの鮮魚コーナーを物色していた父が、
一匹八十円と書かれた蟹を見て「虫より安いじゃねえか」と呟いた。
『夫のちんぽが入らない』から1年。
“ちょっと変わった"人生のかけらを集めた自伝的エッセイがついに書籍化!
著者の実話を描いた私小説『夫のちんぽが入らない』。その衝撃の関係性が口コミで瞬く間に広まり、2017年1月の発売からいままでで13万部(2017年12月現在)に到達し、異色のデビューとなった。主婦こだまの満を持してのデビュー2作目は、『Quick Japan』誌上で掲載した読み切りと連載「Orphans」をもとに改稿した短編集。家族や職場、これまで経験してきた著者の半生を描く。
何もない“おしまいの地"に生まれた実家は空き巣に何度も入られ、訪問販売の餌食だったこと。中学の卒業文集で「早死しそうな人」「秘密の多そうな人」ランキングで1位を獲得したこと。引越し業者でさえ「これは最強っすね」と袖口で鼻を押さえながら言ってくる「臭すぎる新居」での夫との生活。
生まれ持った気質なのか、見事なまでに災難に巻き込まれる“おしまいの地"での出来事。
◆目次
父、はじめてのおつかい
雷おばさんの晩年
ふたりのおばさん
私の守り神
ここは、おしまいの地
金髪の豚
川本、またおまえか
モンシロチョウを棄てた街で
春の便り
先生のうわさ
巻き込まれの系譜
穂先メンマの墓の下で
偽者
傘
言えない
すべてを知ったあとでも
いちご味の遺品
春の便り、その後
首に宿る命
父のシャンプーをぶっかけて走る
あとがき -
前作がとても素晴らしかったので購入。
入院のエピソードが好き。 -
ヤンキーと百姓が9割を占める集落で生まれ育ち、心身共に病気を患い、様々な災難に見舞われながらも、おしまいの地で暮らす主婦こだまさんのエッセイ集。
著者のお父さんがスーパーで、魚を「虫より安い!」と興奮ぎみに言ったり、トイレットPという買い物メモをトイレットピーと読んで探しまくるというエピソードに思わず吹き出し、心を掴まれ、読み始めた。
が、次から次へと語られる著者の経験が想像を越えてきて時々心がヒリリともした。
恥ずかしいこと、辛いこと、悲しいこと、惨めなこと、あらゆるネガティブな出来事を自分の中で消化して(昇華して)静かに優しく語っていて、楽しさと尊敬と辛さと色々な感情が入り混じって一気に読みきった。
「私が入院や通院で得たのは「どのようにでも生きられる」という強いメッセージだった。」という文章が心に残った。
状況は泣きたくなるほど最悪でも、例えやユーモアが絶妙でクスッと笑えてしまう。
けど、狙い過ぎていなくて、伝えたいことや気持ちは素直でまっすぐに書かれているから伝わってくるのかな、と思った。 -
この本には僕にとって大切なテーマがたくさん詰まっています。ユーモアとセンチメント。諦めることと許すこと。人生の肯定。首の先生が言うように、こだまさんがふらふらのまま辿り着いた「大丈夫」は、強がりでも祈りでもなく、しなやかで確かな言葉として響く。ところで、僕も生まれつき背中に大きな黒い痣があるのだが、親からは「北朝鮮に拉致されても手掛かりになる」と言われて育った。僕らは誘拐されてもなんとかなる。ゲラゲラ笑いながら読みました。
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一気読み。
自分は何にこだわって
どこめざして
なに頑張ってるんだろーなぁ。
んなこと、どーでもいいな、と思える。