全身芸人ーー本物(レジェンド)たちの狂気、老い、そして芸のすべて

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778316495

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  • 芸人さんの生きざまを、刹那に語る。月亭可朝、松鶴家千とせ、毒腹三太夫、世志凡太・浅香光代、こまどり姉妹。言葉悪いが「絶滅芸人」というべき、80歳過ぎても現役で芸人を務めている方々ばかり。戦前、戦後の荒々しい時代と潜り抜け、一時代一世を風靡した強者。

    晩年はゆっくりと暮らせばいいものを、過去の栄光、舞台のおもしろさ、芸へのこだわり、すべてが入り混じって表舞台から遠ざかって、地方、場末、テレビからラジオになっても、しがみつくように芸人として生きる。

    そんな生々しい、本物たちの狂気、老い、そして芸のすべてがこの本に。

  • もともとの雑誌連載では絶滅芸人というタイトルだったという。読み終えてみれば、まさに絶滅寸前の凄まじい人生を歩んできた芸人ばかりであった。ほとんどの芸人はリアルタイムで知らないしその凄さも今一つわからないが、とても濃密な取材のもとに構成されていて読みごたえがある。何ヵ所か読めない漢字があったがルビがないのは著者の矜持か。
    月亭可朝は豪快というかいい加減というか、とても堅気の商売はできないであろう人だった。
    松鶴家千とせは逆に真面目でぼくとつな人柄が滲み出ている。ビートたけしの師匠を自認しているが、弟子に否定されていて切ない。
    毒蝮三太夫はラジオが終わってもファンサービスを徹底していて素晴らしい。あの毒舌に至るまでの人生がまた壮絶だ。
    世志凡太という人は知らなかったが、浅香光代が若い頃お色気で売っていたとは驚いた。まさに身体を張った芸人だった。
    こまどり姉妹は文章から二人の息の合った会話が伝わってくる。生死をさまよう極貧から抜け出し舞台に立ったのに暴漢に刺され、ガンを患い、裏切られ借金まで背負う。
    戦中戦後の地獄をくぐってきた芸人たちはやはり気合いが違う。単なる芸人のインタビューではなく、歴史的な背景も勉強になる濃厚な一冊。

  • 月亭歌朝、松鶴家千とせ、毒蝮三太夫、浅香光代、こまどり姉妹のインタビュー集、なんて人選だ!

  • まさに「全身」芸人。人生もまた芸の一つ。

  • 田崎健太が月亭可朝、松鶴家千とせ、毒蝮三太夫、世志凡太&浅香光代、こまどり姉妹の5組についてインタビューした本。

    どの芸人もコクがあって面白かったが、惜しむらくは自分が彼らの往年の姿を知らないこと。

  • 登場するのは、“全身芸人”の名に恥じない、
    強烈な個性の持ち主ばかり。
    一般人と、かすかな差異しかない“芸能人”と
    覚悟や生き方が全然違う。

    浅香光代をリスペクトし、
    「沈みゆく西日の太陽」を少しでも長く
    輝かせることに人生をかける世志凡太とか
    凄すぎる。

    平成も終わろうとしている今、
    もはや異世界の話のような昭和の世界の
    話も貴重。

    自分の過去語りも“芸”にしてしまう
    怪人たちを相手に、真剣に斬り込む聞き手の
    姿勢も素晴らしい。

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著者プロフィール

1968年3月13日、京都市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。
スポーツを中心に人物ノンフィクションを手掛け、各メディアで幅広く活躍する。著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、
『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』、
『ドライチ』『ドラガイ』(カンゼン)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞)、『真説・長州力 1951-2015』(集英社インターナショナル)
『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(光文社新書)など。

「2019年 『ドラヨン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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