太平洋の精神史:ガリヴァーから『パシフィック・リム』へ

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  • 彩流社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779124525

作品紹介・あらすじ

2018年4月、全国公開の映画
『パシフィック・リム: アップライジング』に合わせ、
太平洋のもつ意味合いを概観する文化史!

日米の間に広がる太平洋は、
パシフィック(和平)という幻想によって
作り出されてきたが、
実際には、ヨーロッパの裏側として、
あらゆる汚辱の捨て場所(奴隷、核問題) などの
舞台となってきた。

日米の文学、映画がどのように太平洋を読み解いてきたのか?

とくに、太平洋から怪獣が現れるという設定をもつ
『パシフィック・リム』は、
太平洋を語る場合、多くの問題を孕んでいる。

感想・レビュー・書評

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  • 文芸評論家による太平洋の歴史に基づきながら、関連する文学作品を紹介した本。太平洋のみならずアメリカ大陸など、大航海時代に発見された地域にも触れている。太平洋の歴史自体の記述は雑駁で、紹介が目的なので歴史的に学ぶべきことはほとんどないし、学術的でもない。論理的でもない。残念ながらあまり役立つ情報はなかった。

  • 白鯨やキャプテンクック、十五少年漂流記から、地獄の黙示録、ダイ・ハード、ブラックレイン、キングコング、シン・ゴジラ、パシフィック・リムまで、太平洋を舞台として描かれた小説や映画などから、私たちにとって太平洋の存在はなんなのかを解釈しようとする本。「平和の海」と名付けられた当初の頃と異なり(そもそも当初からしてスペインの侵略の結果だったわけだが)、平和には程遠い数々のことが起こってきた。映画でも小説でも、旧世界(西ヨーロッパ)からの差別や偏見は物語の底流となっているし、未開の地、地の果てである太平洋から進出しようとする人類・怪獣を、西洋の価値観や技術が打ちのめしたり、文明開化させたりする。ただ、最近のこの傾向は流行らなくなっていて、その象徴がパシフィック・リムであるとする。(観てないが)主人公は西洋人ではないし、最初のリーダーはイギリス人だが、エンディングでオーストラリア人に交代するというのは意味深。

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著者プロフィール

文芸・文化評論家 1959年、札幌生まれ。東京都立大学卒、成城大学大学院博士課程中途退学。文芸評論家、成蹊大学などでも教鞭を執る。 著書に、『「トム・ソーヤーの冒険」の世界』『「クマのプーさん」の世界』『快読 ホームズの『四つの署名』』『ガメラの精神史』(ともに小鳥遊書房)『スター・ウォーズの精神史』『ゴジラの精神史』(彩流社)『モスラの精神史』(講談社現代新書)や『大魔神の精神史』(角川oneテーマ21新書)のほかに、『〈男らしさ〉の神話』(講談社選書メチエ)、『社会が惚れた男たち』(河出書房新社)、『日経小説で読む戦後日本』(ちくま新書)、『新ゴジラ論』『フランケンシュタインの精神史』(ともに彩流社)など多数。

「2023年 『シェイクスピアの戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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