今こそ知りたい アイヌ ~北の縄文、人々の歴史と文化、 ウポポイ の誕生 (時空旅人ベストシリーズ)
- 三栄書房 (2021年1月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779642951
感想・レビュー・書評
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今こそ知りたいアイヌ
~北の縄文、人々の歴史と文化、 ウポポイの誕生?
旧石器時代、縄文時代からアイヌ文化に至る歴史と、アイヌの文化に関する解説、博物館・資料館紹介の旅行ガイド。
遺跡からの発掘品やアイヌ文化に関係する道具や食物などなどのカラー写真や図解が豊富なのがうれしい。 但し古いアイヌを写した歴史的な (白黒) 写真はとても少ないです。
アイヌ独特の道具や風習、精神世界観の紹介も興味深いですが、個人的には、北海道を中心としたアイヌ文化以前の長い歴史の解説は、一般人向けの本が(多分)ほとんど無い中、特に興味深かったです。
アイヌ文化を持つ民族が、日本の歴史に現れるよりずっと古くから続 いている民族ではなく、北海道の住民は、日本書紀の阿倍比羅夫の時代にはまだアイヌ文化以前の、むしろオホーツク海を囲む文化圏に属するような、しかもダイナミックに様々な文化の変遷を経ていた、ということには、少し驚きました。
オホーツク海を囲むアジア大陸を含む古代の文化圏、続縄文文化前期の北海道の4つの地域文化、
それに続く北海道・樺太・千島に広がるオホーツク文化や周囲の大陸の文化、
オホーツク文化を受け継ぐトビニタイ文化(Wikipediaによると道東・歯舞・国後などで見つかっている文化らしい)、
擦文時代の蝦夷地とヤマト王朝との関係、
13世紀の鎌倉時代にアイヌ文化が成立、
北海道から本州だけでなく千島、 樺太、カムチャツカへと交易範囲を広げていったこと、
和人の進出と道南十二館(たて)、など。
一方、歴史という点では、明治以降のアイヌの苦難の歴史については、とてもあっさりとした記述しかなく、明治以降の樺太や千島の領土とアイヌでない先住民の歴史の記述はありません。漫画のゴールデンカムイのストーリーにも絡むので、もう少し記述があったら本書がもっと話題になったのでは、と思います。
アイヌ語の解説。明治時代に19歳で早世したアイヌの女性知里幸恵によってアイヌ語と日本語訳で書かれたアイヌ神謡集は、アイヌの精神文化の一端を知ることができる貴重な一冊。
以前に読んでアイヌの神々の物語は興味深かったのですが、アイヌの悲しい状況を、純粋な心と短いけれど素直な日本語とで書かれた前文の美しさに感動しました。
この言葉の項目のタイトルに「カムイユカラで楽しむアイヌイタク」と書いてあり、「アイヌイタク」って何?と思いましたが、よく調べたら、目次には「アイヌイタク(語)」って書いてありました。
続く「アイヌ語の謎とき」という項目は、アイヌ語の文法を理解する研究内容になっていますが、実のところ、専門的過ぎて理解困難でした。
これとは別に、本書のあちこちにはアイヌ語に関するごく短い囲みコラムが散りばめられていますが、
こちらは易しくて気軽に読めます。
そして表紙に「時空旅人ベストシリーズ 」とあるように、最後の章は北海道内18の博物館、資料館、おみやげグッズを紹介する旅行ガイドです。
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【主な内容】
【巻頭特集 ウポポイ】
「民族共生象徴空間
ウポポイから始まるアイヌを巡る旅
●第一章 約2万5000年にわたる北の古代史
北の縄文とアイヌの歴史
●第二章 受け継がれる伝統と知恵
深淵なるアイヌの文化
●第三章 多様性がもたらす未来
アイヌゆかりの地を訪ねて
●明治時代の面影を探して 小樽歴史散策
●阿寒湖ガイドツアー
●北方民族の世界とは? 北海道立北方民族博物館
●アイヌ文化も学べる! 冒険漫画「ゴールデンカムイ」
●【寄稿】
「北の文化」の鳥観図 平山裕人
言語学者と一緒に! アイヌ語の謎解きに挑戦 佐藤知己
アイヌ語学者・知里真志保が残した足跡とは? 小坂博宣
未来のアイヌ~民族が共に生きるとは~ 宇梶静江
●【column】
イラストで詳しく知る! アイヌとカムイの世界 -
旧石器時代から現代までの北海道・アイヌの歴史を、出土品を掲載して紹介するページや、お薦めの博物館などの紹介記事があったりと充実している。
アイヌ紋様を施した工芸品が美しい。
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地元・札幌でも、学校でアイヌの授業はありましたが、文化に触れる程度で、知らないことが沢山あります。
私はアイヌの工芸品が好きで、展示イベントなどがあると行くのですが、地元にいてもなかなか学ぶ機会は少ないなぁと感じます。
この本は広くわかりやすく知るために、とても良い本でした。 -
コンビニで見かけて購入したムック本。去年は北海道行けなかった。今度ウポポイ行きたいな