3.11を生きのびる―憲法が息づく日本へ

著者 :
制作 : 小森 陽一 
  • かもがわ出版
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本棚登録 : 17
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780304688

作品紹介・あらすじ

3.11は何を突きつけたのか?どうするフクシマ後の日本?各分野のオピニオンリーダーが"転換の今"を問いかける。全編書き下ろし、カラーグラビア付き。

感想・レビュー・書評

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  • 2011年4月から8月にかけての各著名人の発言集である。江川招子、安斎育郎、暉峻淑子、岡田知弘、渡辺治、辻井喬、梅原猛、小森陽一という選出は、編集者の小森さんの選んだ人なのか、それともかもがわ出版の選択眼なのか。その両方か。ナイス選出です。

    とりあえず、印象に残った処のみメモ。

    【小森陽一】
    →いまこそ「憲法を原発事故に活かそう」
    全体からの批判の声が高まる中、文部省は「一ミリシーベルト」の基準を改めざるを得なくなった。
    このときの主権者である福島の市民たちが、国家に対して突きつけたのは、先に述べた前文と憲法13条の思想である。先ず「すべての国民は、個人として尊重される」とある。まさに福島の子どもたちと親はたちは、「個人として尊重される」前提を福島第一原発の事故から、さらにそのあとの国と文科省の無責任な対応によって奪われたのである。

    東電からの広告を受け入れ、接待や出張費肩代わりなどをとおして「読売新聞」のライバルとされていた「朝日新聞」が70年代に原発政策にたいする社説を、容認姿勢に転換したことは事実である。2010年一年間で゜朝日新聞」への広告は13本、朝日の規定の広告料に従って計算すると、その会計は2億3000万円あまりになる」(「週刊現代」2011.8.20・27号)
    →この朝日のマヌーバーめ!!

    →そして「トモダチ作戦」の正体。
    もしアメリカ軍が本気で救助活動を行う気であれば、わざわざレーガンが到着するのを待たずに、横須賀を母校としているジョージ・ワシントンをはじめとする艦船や部隊を派遣かできたはずである。しかしアメリカ政府は、まず80キロ圏外への退避を自国民に呼びかけ、ジョージ・ワシントンをは被災地とは別方向の、いつでも太平洋からインド洋に出撃できる位置に退避させていた。ロナルド・レーガンが到着して展開された「トモダチ作戦」が、救出や救助は見せかけだけの「原発テロ」や「大型核兵器戦」を想定した軍事調練であったことは、多くの論者が指摘している。

    【江川紹子】のルポ
    →浪江町長の怨み
    後から当時のデータを見た馬場町長は憤慨している。
    「我々が退避していたのは、一番放射能が濃いところだった。町民に余計な放射能を浴びさせてしまった。なぜ、退避が必要な時に教えてくれなかったのか。これが分かっていれば、津島地区に滞在することなく、二本松市に直行していた」

    【安斎育郎】
    →フクシマ後の福島をどうするか
    原発から三キロメートル以内の扇情地域は、菜の花やひまわりなど、放射能を吸い上げ、美しい、あるいは元気な花の群生地とする。
    城砦の外側もなお色々な汚染レベルでまだら模様で放射能汚染が起きているが、ここは「マイナス価値」とばかり見ないで、「低レベル放射線影響調査生物実験場」として活用する。年間数ミリから百ミリシーベルトの放射線被曝の長期的被曝を調査する試験場として国際社会に有料で開放する。あわせてこの汚染地域には多くの自生生物が住んでいるので、それらの生物が今後長期的にどのように影響を受けるかを調査することも、放射線影響額的にも貴重な情報をもたらすに相違ない。実際そのようなレベルの放射線を放射し続ける実験施設を新たに作るには巨億の費用を要するので、起こってしまった放射能汚染はそれとして、その価値を活用するのは大きな意味があろう。

    【暉峻淑子】さんは事故後すぐに原発全廃製作を決定したのは、ドイツ首相か賢明だったというわけではなく、国民が賢明だったのだと述べていました。

  •  3月11日、戦後最大の困難が東北に襲いかかった。
     あれから半年が経った今、これまでメディアが伝えてきた被災地の報道は本当に少なくなってきた。
     「大変なことが起こった」と終わらせるのではなく、この出来事と日本とをもう一度見つめ直すことが今の日本国民に求められているのではないだろうか。
    (教育学部・英語専修/匿名希望)

  • この本は小森陽一さんが編者です。
    とりあえず目次紹介です。
    ◆グラビア…江川紹子さんが撮影した津波被災地と福島原発事故被災地の写真(8ページ)
    ◇序にかえて…小森陽一
    ◇命を守れるのは誰か-放射能汚染の現地から…江川紹子
    ◇フクシマ後の日本をどうするか…安斎育郎
    ◇3.11を生きのびるために…暉峻淑子
    ◇震災復興と地域再生-「創造的復興」ではなく「人間の復興」を…岡田知弘
    ◇復興をめぐる二つの道の対決…渡辺治
    ◇復興は新しい国づくりで…辻井喬
    ◇反原爆、反原発の助け合い社会を…梅原猛

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著者プロフィール

江川紹子(えがわ・しょうこ) ジャーナリスト。神奈川大学国際日本学部特任教授。新宗教、災害、冤罪のほか、若者の悩みや生き方の問題に取り組む。著書に『オウム事件はなぜ起きたか』『「オウム真理教」裁判傍聴記』『「カルト」はすぐ隣に』など多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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