- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784780307146
作品紹介・あらすじ
大好評だった著作の第2弾。前作から4年間、日本ではブラック企業がのさばり、国民を犠牲にした形でグローバル化が進むなかで、マルクスを現代に蘇らせることで解決の枠組が見えるという見地で著者二人が対話し、書簡を交わす
感想・レビュー・書評
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樹さんはやはり面白い!
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一気に、徹底的に社会を人間的なものにつくりかえるべきだと信じた若者は、その挫折の経験を通じて、一気に、徹底的に社会を人間的なものに作り替えようとして人間が行うことは総じてあまり人間的ではないということを学習する。
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“「マッカーシズム」の時代に「マルクスを読む」という知的習慣を国民的規模で放棄した超大国アメリカ。マルクス主義から国家資本主義へと転換した超大国旧ソ連。自国民でさえ中国がマルクスの政治的理想を実現した国家だと思っているひとがいないであろう中国。反共法の下で近年までマルクスの著作を読むことさえ許されなかった韓国。いったいどこに「若者よ、マルクスを読もう」というような言葉が許容される地はあるのか。唯一例外なのが辺境の地、日本だ。マルクス本を自由に読み語らうのに不自由がないこの地でマルクスを読まない手はない。””マルクス主義はその辺境に奇跡的に生き残っていて、最後に世界を救うアンチウィルスかもしれない。”共著者のひとり内田樹氏による「まえがき」でのこのフレーズに励まされて一気に読み切った。
前作『若者よ、マルクスを読もう』(2010年)は、20歳代のマルクスを取り上げ、韓国語版も刊行されたそうだ。第2巻では、青年からオジサンに成熟していくマルクスを取り上げている。確立されたマルクスの「ものの見方、考え方」がさらに研ぎ澄まされていく。その眼で現代の日本の政治社会状況をとらえるとどのように見えるのか、小泉劇場もその題材に上がり飽きさせない。
マルクシアンとマルクシストによる対話という形式で綴られていくこの『若マル』シリーズ。『若マルⅢ』の刊行が待ち遠しい。(W) -
第1巻を読んだのは2010年10月。4年も経ってた。ちょっと間が空き過ぎじゃないかな。
当時の社会状況とマルクスがマルクスらしくなっていく様子を衒学お二人が語り合う内容。
35年ぐらい前の大学時代にマル経(=マルクス経済学)は必修だったから、資本論の最初の方とダイジェストは読んだ。
改めてマルクスに触れると、経済学というより社会思想の人だな。「ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日」はマルクスが肩入れするプロレタリアートが登場しない、全員ワルモノの政治ドラマ。マルクスの容赦ない筆誅が冴えわたり、とある。面白そう。
内田先生はマルクスの「類的存在」は孔子の「仁」に近いと云う。マルクスの思想は搾取されるばかりの労働者への共感からなっているという。マルクスのことを考え直す気になる。
しかし、「賃金、価格及び利潤」。
大学時代にも労働価値が価値になるための命懸けの跳躍という台詞にカッコイイと思ったものだが、その跳躍が止揚(=アウフヘーベン)されて、価値イコール労働価値となったら、どういう形であれ資本家の取り分は搾取になる。それでいいのか。誰が商品の跳躍をさせるんだ。労働者ではあり得ないだろう。商品が価値に変わる跳躍が消える日が来るわけないじゃないか。
すり潰されていく若者たちを救う方法は、何処にあるんだろうか。マルクスの価値を見直す意味は、判るのだけれど、マルクスの枠組みでは答えは見つからないのじゃないだろうか。
史的唯物史観とか、マルクスの教条主義的な処って莫迦の拡大再生産に繋がったんだよな。そうした部分を修正し、社会の連帯の再構築に繋がれば良いんだけれどね。 -
「吾輩はカモである」搾取されるのである。。。
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自分としては、時間に余裕がある時にコレを買い、読み始めた。
共産主義とはどんなものかを、ざっくり知るために読んだ。 -
「若マル」を第3部、第1部の順に読んできた。本著も含めて両先生の知識と理路の整然さから刺激を受けている。
本著では石川康宏先生の「マルクスに学び、現代を読解する」を新鮮に感じた。アカデミアの場で地道に多方面にわたる研究を実践されている先生の知のバイタリティに敬意を表したい。大学広報誌が出展とのことで少々広報っぽいところもありませすが(笑)。
若い人に限らず働き盛りの人にも現役を退いたくらいのシニアにも是非呼んでほしい著作だ。 -
309.334||Uc||2
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今回は「フランスにおける階級闘争」、「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」、「賃金、価格および利潤」が対象。フランスでの第二共和制の成立と崩壊(第二帝政の始まり)から、剰余価値論等の経済論考が表れる時期(1848〜1865、29〜47歳)にフォーカス。前巻と同様、マルクシスト・石川氏の網羅的な解説、マルクシアン・内田氏のポイントをついた所感を往復する心地良さは健在。資本論の解説書は沢山あるが、マルクスの思考の成長過程を洗い出しする本書は希有。マルクスを中心にもっと歴史や経済思想史を紐解きたくなるのでは。
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第2巻には,巻頭に内田さんと石川さんの対談も載っていて,内容が豊富でした。
第1巻同様,石川さんの文章でマルクスの著者の大枠を知り,内田さんの軽快な文章で,よりわかりやすく現代の状況に当てはめて考えることができました。
『若マルⅠ』を読んだ読者から,「はじめてマルクスを読んでみました」という感想がたくさん届いたそうです。団塊の世代並の大人になるためにも,若いときに(若いときに読めなかった人は今からでもいいので)マルクスの著書にあたってみるのもいいと思います。わたしも再読(作品によっては初読)しています。
それにしても,ちょっと誤植が多すぎます。版を重ねるときにはぜひ改定してください。
取り上げられているマルクス作品。
『フランスにおける階級闘争』
『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』
『賃金,価格および利潤』