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- Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781407388
感想・レビュー・書評
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水のような闇に包囲される感覚。息の仕方を忘れて溺れてしまいそうだった。
ゆらゆらと蝶の髪をめぐる時の視野は視海にながれ、左回転して鋭い構図。一瞬うかびあがる光のなかに痙攣する沈黙とたわむれても逆巻く花びらに残像は写らない。死界をも透視する眼差しは消失点を越えて垂直に落下する。言葉が意味を纏っているのではなく、意味が言葉を纏っていることに気付くとき、心から身体が離脱する。それは誰かの眼球を漂うこととどう違うのか。
生成と終焉の宇宙を想像し、虚無のなかで宙吊りになる人よ、その頭蓋で夢幻の輝きを発し、無限の底を見よ。
《彼の世へのまばたきとして蝶ひとつ》
《さくらさくら死の定型へ遊びつつ》
《くちづけは春雷のにおいがする》
《脳室のドアひとつあけ月を出す》
《氷河期の記憶へ垂らす蝶の髪》
《くるぶしを透明にして乗る夜汽車》
《永劫の繃帯で巻く蜃気楼》
《かげろうという感情の町へゆく》
《次の世を見る空蝉を眼にあてて》
《ふろしきに包むは虚無の一悲鳴》詳細をみるコメント0件をすべて表示
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