ガーンジー島の読書会 (上)

  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781610986

作品紹介・あらすじ

一冊の本をきっかけに、ガーンジー島の人々と手紙を交わしはじめたジュリエット。そこで彼女が知ったのは、大戦中ナチスに占領され不自由な世界を強いられた島民の心を支えた"読者会"の存在だった。

感想・レビュー・書評

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  • 物語の舞台は、第二次大戦終戦翌年のチャネル諸島のガーンジー島。ガーンジー島はフランス海岸に近い場所に位置する、イギリス王室の属領。ここは、第二次大戦中、ドイツ軍に占領されていた。
    ふとしたことから、ロンドンに住む、主人公のジュリエットは、このガーンジー島の人たちと知り合いになり、彼らが大戦中のドイツ軍占領下の状況においても、読書会を催していたことを知る。その後、島の人たちと文通を始めたジュリエットは、彼らのことや大戦中の島のことを深く知ることとなり、興味に導かれ、島を訪ねることとする。
    上巻は、ここまで。
    物語は、ジュリエットと島の人たちの間、あるいは、ジュリエットと彼女の友人や知り合いたちの間、その他の関係の間で交わされる手紙と一部電報のみで構成されている。少し読みづらいし、作中、特に大きな出来事が起きるわけではないので、最初は少し退屈するが、その手紙のやり取りが味わい深いものであることにすぐに気がつく。私は特に、島の人たちの純朴な文章と内容の手紙が好きになった。
    下巻はこれから読む。

  • 上巻読了。

    映画『ガーンジー島の読書会の秘密』の予告編を見て気になったまま、映画は見れずじまいだったので、原作のこちらを手に取りました。

    第二次世界大戦直後の英国・ガーンジー島を舞台にした物語。
    ロンドンに暮らす作家・ジュリエットの元に、彼女が手放した本を偶然手にした、ガーンジー島の青年・ドージーから手紙が届きます。
    彼の手紙の中で描かれていた、“島の読書会”に興味を持ったジュリエットは、ドージーをはじめ、島の人々と文通をすることに・・・。

    所謂、“書簡小説”で、手紙(又は電報)のやり取りだけで展開する構成です。
    生き生きとした文体で描かれている手紙の内容から、浮かび上がってくる背景や個々のキャラクターが伝わってきて、読んでいるこちらも手紙が届くのを楽しみにしている作中人物の一人になった気持ちになったように、非常に惹きこまれました。
    個性あふれる島の人々との交流の他に、ジュリエット周辺の出来事も手紙や電報から、あれこれ推測できるのも楽しいです。
    温かな話だけではなく、ナチス占領下時代の傷跡がまだ残っている重い話もありますし、“読書会”メンバーの魅力的な女性・エリザベスがドイツ軍に連行されたまま戻ってきていないのも気になります。
    そして、ジュリエットに言い寄る富豪のアメリカ人・マークとの関係も・・・。
    この巻は、ジュリエットがガーンジー島を訪問することになったところで終わります(マークがちゃんと送ってくれるのかちょっと心配)。
    ジュリエットと島民たちとの対面を楽しみに、次巻に進みたいと思います~。

  • ガーンジー島は、イギリス海峡のチャンネル諸島に位置する小さな島。この島をナチスドイツは第二次大戦の時五年間占領した。本作は、女流作家のジュリエット・アシュトンが終戦直後ふとしたきっかけでガーンジー島の読書会メンバーと文通を始め、戦時中の島の様子に興味を覚えていく、というもの。

    読書会を始めたきっかけは、占領したドイツ軍によって夜間外出禁止令が出されるなか、パーティー帰りを誰何されたエリザベス等が、読書会帰りだと嘘の言い訳をしたこと。嘘を取り繕うために本を集めて読書会を始めたら、本の面白さに目覚めたメンバー達は、ずっと読書会を続けている。メンバー各人には戦時中の悲惨な体験があり…。

    本書、友人に進められて読んでみたが、なかなか面白い。書簡体小説というのも、最初は取っつきにくいけど読んでいくうちに様子が徐々に鮮明になってきて、話に引き込まれていく。ただ、次々と人物の名前が出てきてなかなか覚えられないのが玉に傷。ネットを調べても登場人物一覧のようなものは見つからなかったし。という訳で、上巻を読んだ時点で簡単なのを作ってみた。

    ○ジュリエット・アシュトン:女流作家、33歳、ロンドン在住、戦時中は「イジー・ビッカースタフ」のペンネームでユーモラスなコラムを書き、それを集めた本「イジー・ビッカースタフ、戦場におもむく」を出版。

    ○シドニー・スターク(男):出版社スティーヴンズ&スターク社の経営者・編集者、オーストラリアに戦傷して療養中の作家ピアーズ・ラングリーを訪ねるも落馬して骨折

    ○スーザン・スコット:スティーヴンズ&スターク社の社員、ジュリエットの担当

    ○ソフィー・ストラカン:シドニーの妹、ジュリエットと寄宿学校の同級生で親友、夫はアレクサンダー、娘はドミニク、スコットランド在住

    ○マーカム・V・レイノルズ・ジュニア:米国人の富豪、出版業、ジュリエットにご執心

    (読書会メンバー)
    ○ドージー・アダムズ(男):チャールズ・ラムの作品を愛し、ジュリエットに手紙を送り、読書会メンバーとジュリエットの接点を作る

    ○アメリア・モージュリー:読書会の開催場所を提供、息子イアンは戦死

    ○エリザベス・マッケンナ:ドイツ軍兵士に誰何されて読書会帰りだと嘘の言い訳をして読書会の端緒を作る、ドイツ軍指揮官のクリスチャン・へルマン(後に戦死)との間に娘キットをつくるが、脱走者を匿ったため大陸の収容所に送られたまま島に戻っていない

    ○ジョン・ブッカー:「セネカ書簡集」を愛読、酒浸り、ユダヤ人、トビアス・ペン・ピアーズ卿に成り済ましてドイツ軍の手を逃れるが、後に密告され強制収容所送りに。その後生還。

    ○イゾラ・プリッビー:ブロンテ姉妹の熱烈ファン、小さな農場を持ち、市場でジャム、野菜、男性用精力回復薬を販売

    ○エーベン・ラムジー:石の彫刻師、漁師、詩が好き、娘のジェーンは産んだばかりの乳児と共に病院で死亡?、ジェーンの長男イーライは本土に疎開させた

    ○クロヴィス・フォッシー:詩を暗唱、ナンシー・ヒューバート未亡人を射止める

    ○ウィル・ディスビー:金物を扱う古物商、がらくた屋、料理好き、トマス・カーライルの「過去と現在」を愛読、

    (アンチ読書会)
    ○アデレード・アディンソン:読書会メンバーを憎み、ジュリエットに誹謗中傷の手紙を送る性悪女、エリザベスに平手打ちを食らう

    ○クララ・ソーシー:読書会に参加するも、自分が書いた料理本を読み上げて誹謗され、以来読書会メンバーを恨む、

    (その他)
    ○クリスチャン・へルマン:ドイツ軍指揮官、医師、ドージーとも友人、エリザベスとの間に子をもうけるが船で移動中に戦死

  • とても面白いです。やり取りされる手紙でお話が進みます。
    戦後すぐのイギリスで、ロンドンに住む作家のジュリエットの元に、彼女が手放した本を偶然手にしたガーンジー島のドージーから手紙がきた事から始まる物語。
    よく考えたらすごい始まり…ガーンジー島が戦時中にドイツ軍に占領されていた事は知らなくて、ガーンジー島の住人の語る話は辛いものが多いです。皆大好きエリザベスは行方不明のようだし。
    それでも、占領軍への目くらましに行われてた読書会での読書が会員の楽しみだったのは素敵です。
    ジュリエットの周囲も、ガーンジー島の皆さんもかなりの数の手紙をやり取りしていて、急ぎたい時は電報を打っているのも良いなと思いました。手紙から浮かび上がる人物像も、ガーンジー島の景色も魅力的。
    ジュリエットがガーンジー島へ向かう所で上巻終了。続きも楽しみです。

  • プリズンブッククラブの課題本。
    手紙のやり取りで物語が進行する。主人公と島の人たちのやりとりが心温まる。上下巻じゃなくて一冊で読みきれたらいいのになぁ。
    プリズンブッククラブでも話が出てたかもしれないけれど、戦後間もない時にすごい速さで郵便のやりとりができていることに驚く。すごいな英国。
    にしても、個人的には主人公とマークのロマンス的要素はいらないと思うなぁ。

  • 『物語ははじまりを描くものであり、毎日ちがう展開が待っているものなのたと思います』

    物語が書簡の中で展開すると、語られるものの裏側で語られていないものを自然と補って読むことになる。それは、神の視点で読む一般的な小説に比べてひどくぎこちなく、尚かつ生々しい物語を生み出す効果があるようだ。もちろん作家の創り出す世界の中の出来事であることには何も変わりはないのだが、物語がとても身近で起きたことのように感じ、現在進行形てあるように受け止められる。たとえ大団円が予想通りの展開であったとしても、あざとさが気になることはない。

    書簡のほとんどの書き手である主人公に、作家自身を重ねてみることは容易だろう。大戦下、ドイツ軍によって制圧されていた英国統治下の自治領の知られざる歴史を詳らかにしたいという思いのみならず、自然豊かな美しい島の風景に惹かれる思いがこれでもかと溢れ出る。語られなければ風化してしまう物語を何とか形にして固定しようとする思いであると見て差し支えないだろう。

    けれど文字に書き起こしてしまうことは、ある意味で生きている昆虫を標本にしてピンで止めるようなもの。どれだけきれいに姿形を整え保存状態を保ったとしても、そこには蘇らせることの出来ないものがある。もしその標本に再び生を吹き込むことが出来るのだとしたら、それは人の想像力に訴えるしかない。手紙による物語の展開は読み手の想像力を自然と掻き立て、見たことの無い島の生活を映像化する。とても効果的なやり方だと思う。

    物語そのものは、シンデレラや、グリム童話や、メーテルリンクを混ぜて一つにしたような、とこかで聞いたことのあるような話であるようにも思うけれど、たまにはそういう物語に浸っても悪くはないと思わせる語り口。人って書いてあることを言葉通りには受け取らないものなんだね、と改めて思う。

  • 手紙のやり取りで進む物語…下巻へ。

  • 第二次世界大戦でドイツに占領されていたイギリス領のガーンジー島で、読書会があった。それを取材するジュリエットが、友達や恋人(?)、ガーンジー島の人々などとかわす手紙でつづる物語。
    メールのなかった時代の手紙の豊かさ。手紙文だからこそ伝わる書き手の性格。
    下巻が楽しみ!

  •  細かい説明がないままにいきなり手紙から始まり、そして最後までずっと手紙だけだった。それも往復書簡というのではなくて、いろいろな人がいろいろな人に手紙を出していて、最初は全くわけが分からない。だけどそのうちに主人公になる小説家が、第二次世界大戦中にガーンジー島で行われた住民たちの集まりについて調べてゆくのだと言ことがわかってくる。上巻を読んだだけでは、どのように面白い本なのかがあまりよくわからなかった。人気になって映画化もされたようなのだが。

  • たしか「プリズン・ブッククラブ」で出てきたので積読リストに入れていた本。自分もブッククラブに今年から参加することになったので手に取った。原題は「The Guernsey Literacy and Potato Peel Pie Society」

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