嫌われモノの〈広告〉は再生するか 健全化するネット広告、「量」から「質」への大転換

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781619057

作品紹介・あらすじ

ネット広告費がついにテレビ広告をも抜いた現代。しかし、「PV数さえ稼げれば何でもよい」という感覚の下、悪質な広告やメディアが蔓延する事態となっている。ブラックボックス化した悪質なネット広告からブランドを守り、健全化していくための道筋を伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 現在のPV・CPA至上主義のネット広告に対して、量から質へ健全化への道筋を示した一冊。ネット広告に関してはあまり詳しくなかったのだが、WELQ事件や漫画村の問題が広告の闇を 暴くきっかけになったということを初めて知った。本書は主にネット広告について語られているのだが、テレビ広告に関しても触れられていて、最近視聴率が世帯と個人の2パターン公表されるようになってなんでだろ?と思っていたら業界的に指標が変わったようだ。その他、広告業界にいないと知れない事も多く語られており非常に勉強になった。

  • 【書誌情報+内容紹介】
    『嫌われモノの〈広告〉は再生するか――健全化するネット広告、「量」から「質」への大転換』
    著者:境 治[さかい・おさむ] (コピーライター、メディアコンサルタント)
    定価:1,760円(本体1,600円+税10%)
    ISBN:9784781619057
    JANコード:1920063016000
    NDC分類:674
    発売日:2020年7月17日
    判型:四六判  
    製本:並
    ページ数:240ページ
    カテゴリー:ビジネス・経済

     ブランディングを無視した「PV至上主義」「CPA至上主義」の時代は終わる。WELQ事件、漫画村、フェイク広告、アドフラウド……悪質なネット広告の闇から抜け出すために。生き残る広告主・代理店・メディアが進むSDGs/DX時代の広告の在り方!

    〈内容紹介〉
     ネット広告費がついにテレビ広告をも抜いた現代。しかし、「PV数さえ稼げれば何でもよい」という感覚の下、悪質な広告やメディアが蔓延する事態となっている。広告団体、広告代理店、ウェブ・プラットフォーマー、ネット・メディア……取材を通じて明らかになった、広告の問題と解決策。ブラックボックス化した悪質なネット広告の世界からブランドを守り、健全化していくための道筋を伝える。

    〈本文から〉
    ❝広告が嫌われるのは、金儲けのツールだから。欲望を躍起になって刺激するだけなら、そう言われても仕方ない。だが、広告がコンテンツに紐づく場所に立ち戻ることで、欲望の喚起とは違う役割にシフトしていくのではないか。
    ――欲望ではなく、互いに必要とする、人びとと企業を結びつける装置。元々の広告の役割はそこにあるはずだし、これからもう一度、広告はそういう落ち着いた存在になっていくのではないかと思うのだ。❞
    (本書「Last Capter:これからの広告の在り方はどうなるか?」より)

    〈主な取材対象者〉
     日本インタラクティブ広告協会(JIAA) / 日本アドバタイザーズ協会(JAA) / 朝日新聞社 「withnews」副編集長 朽木誠一郎 / NHK 報道局ネットワーク報道部チーフ・プロデューサー 蔵重龍 / ADKマーケティング・ソリューションズ デジタルビジネスプロデュースセンター長 清家直裕 / スマートニュース 執行役員広告事業担当 川崎裕一 / メディアジーン CEO 今田素子 / 講談社 ライツ・メディアビジネス局局次長 長崎亘宏
    https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781619057


    〈目次〉
    Introduction:なぜ広告は「嫌われモノ」になったのか?
     ネット広告は広告文化を殺している?
     広告は嫌われてさえいない?
     「表示方法」こそが元凶である

    Chapter1:ネットメディアと広告の結びつき――「ネット広告の闇」を暴いた二つの告発
     雨後の筍のように出現したネットメディア
     乱造されたメディアが生む無秩序な広告空間
     メディア状況を複雑にした転載文化とキュレーションメディア
     「枠から人へ」進化したネット広告が生んだカオス
     ネットの問題を世間に露わにした「WELQ」事件
     医学部出身、ネットメディア育ちのライター
     Yahoo!ニュース個人の記事からBuzzFeedとの協業へ
     NHKの問題提起「ネット広告の闇」
     SNSから読み取った「漫画村」問題
     追及は著作権侵害からアドフラウドへ
     新聞社にまで侵食した「フェイク広告」

    Chapter2:ネット広告というブラックボックス――破壊された棲み分け
     ネット広告問題の種類
     棲み分けの破壊1――広告とコンテンツ
     棲み分けの破壊2――広告と販促
     棲み分けの破壊3――ブラック広告の侵食
     予約型と運用型、DSPとSSP
     「手売り」の非効率と「自動化」の怖さ

    Chapter3:ハードルを越えるための解決策――ホワイトリストと意識改革
     広告業界の認識ギャップ
     トラブルになるまで社内共有できない?
     ブラックリストとホワイトリスト
     販促の延長線上で捉えられがちなデジタルマーケティング部門
     JIAAによるルールの明確化
     JAAによる「アドバタイザー宣言」
     意識改革の成功がキー
     「安かろう悪かろう」の広告単価は上がるか?
     広告とメディアのSDGsを目指して

    Chapter4:PV商売からの脱却を図るメディア――「コンテンツ価値」という答え
     広告の問題はメディアの問題である
     いつの間にか消え失せた新興メディア
     メディアの価値は「量」から「質」へ
     今後の方向性の一つ「ネイティブ広告」
     メディアジーンの「ブランドチャネル」
     「DX」に会社を挙げて取り組んだ講談社
     「見せる」広告から「追いかけてもらえる」広告へ

    Chapter5:テレビCMにも起きている変化の波――視聴率から視聴質への転換
     「スポット」と「タイム」という二つのCM枠
     流通対策としてのスポットCM
     タイムシフト視聴も加えた「P+C7」という新たな計測法
     「世帯から個人へ」という視聴率の大転換
     同じ視聴率から生まれるダイヤモンドと石炭
     世帯から個人にシフトした局、しない局
     テレビは「セグメントマス」のメディアになる

    Last Capter:これからの広告の在り方はどうなるか?
     新型コロナウイルスで加速する広告の進化
     「コンテンツが主、広告枠が従」へ
     抜け落ちた「ミドルファネル」へのニーズ
     テレビとネットは対ではなく、セットで考える
     広告は枠から人へ、人からコンテンツへ
     「志」という帰着点

  • 広告業界の流れがわかる

  • ・著者 元ISBBDO 境治氏
    ・広告ではなく広告の表示方法が嫌われる
    ・広告自体=広告枠が嫌われるなどはおこがましい。意識されない。嫌われないことが最優先。
    ・ネット広告の信用、アドフラウド問題が特に注目されたのは、DENAの医療サイトの不正クリック誘導、NHKのネット広告の闇の放送
    ・ヤフーGoogleはじめ7大プラットフォームはメディアではなく、自社でコンテンツを作らないプラットフォーム
    ・ネットのメディアは新聞雑誌などに限られてきている
    ・非主流のスポンサードコンテンツがネットメディアの鍵を握る →手間をかける事で単価も上げられる、メディアとなじむことでスマホでもコンテンツと広告が共存できる。
    ・スポンサードコンテンツは広告枠を売るのではなく、仕組みを売っている。
    ・テレビメディアのデジタル広告費は150億円→テレビ広告費の1%に満たない。
    雑誌のデジタル広告費は400億円→紙の1/4
    ・テレビCMは認知以外にも店頭棚どりの流通対策の指標でもある。ネット広告出稿量が流通対策の指標になればテレビは沈む可能性ある。
    ・タイム提供はスポットと違い、そこまで視聴率が価格に影響しない。
    ・個人視聴率が取引指標に変わったが、対外的にはいまだに世帯視聴率を押している。
    社内指標は個人視聴率だが、テレ朝だけ社内指標も世帯視率?
    ・スマートフォンの中で広告枠はメディア体験の障害でしかない。
    ・CMの認知とバナーの販促(購買)で、ミドルファネルが抜け落ちている。
    これまでは新聞雑誌がミドルファネルを担ってきた。
    今後はスポンサードコンテンツがミドルファネル(興味関心、比較検討)を担う。
    ・インターネット広告費2兆円の8割は運用型→つまりは販促費 ボトムの購買にあたる。
    ・テレビ視聴にIDを付与し、CM接触にIDを紐付けて、その人にネット広告で接触することは理論的に可能。
    ・テレビ局な視聴ログを研究。ただし個人情報保護の観点から簡単にはいかない。
    ・枠から人へ →人からコンテンツへ →コンテンツ回帰
    ・広告はコンテンツに紐づく。アドネットワークはコンテンツと切り離した考え。

  • 東2法経図・6F開架:674.6A/Sa29k//K

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著者プロフィール

コピーライター/メディアコンサルタント
1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現・I&S BBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとしての活動を経て株式会社ロボット、株式会社ビデオプロモーションに勤務。2013年より再びフリーランスに。
ブログ「クリエイティブビジネス論」
( http://sakaiosamu.com/ )はハフィントンポスト日本版に転載され、メディア論から社会的なテーマまで幅広く執筆。著書『テレビは生き残れるのか』(ディスカヴァー携書、2011年)

「2014年 『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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