ザ・ソ-シャル・アニマル: 人と世界を読み解く社会心理学への招待

  • サイエンス社
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  • / ISBN・EAN: 9784781913360

作品紹介・あらすじ

本書は、1972年の初版刊行から今日まで読み継がれる名著の新訳版です。この第11版では、社会心理学のエッセンスを解説する大枠はそのままに、最近の新しい研究知見や近年重要度の増したトピックの解説を盛り込み、事例として挙げるものには記憶に新しい事件や社会情勢、科学技術、文化、人物が追加されています。また、巻末に新設された「用語集」では、基本的用語の整理ができるよう配慮されています。社会心理学を学ぶ大学生はもちろん、人間社会に生きているすべての人にとっての必読の一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • そういえば途中までメモしていたことを思い出したので貼っておく。

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    <第2章同調>

    第1節集団思考
    集団思考/集団浅慮(groupthink):
    凝集性の高い内集団で同意を求める傾向があまりにも支配的になる為に、他の行動を取ったらどうなるかを現実的に評価出来無くなりやすいときに人々が行う思考の様式。
     あるメンバーがマインドガード(集団に入ってくる情報や意見を監視し統制する人)になる。
    cf. NASAチャレンジャー号、ナチスドイツ

    集団意思決定(group decision-making):
    複数の人々が合議により共通の決定を下す事態。投票による集合的決定とは異なり、成員間での合意形成の為の直接的な相互作用を前提とする。

    ある集団において
    最も好まれる:集団規範に同調する「最頻的な人」
    最も好まれない:集団規範に同調しない「逸脱者」
    →非同調者が締め切り間際に反対意見を表明すると、討論冒頭で反対意見を表明するよりもはるかに拒絶される


    斉一性(uniformity):
    集団内での認知や意見、判断、行動の一致状態のこと。一致することはそこから外れるような認知・意見・判断・行動を抑制する集団圧力を形成する。斉一性は、集団メンバーの行動・言動の予測を簡単にする。



    第2節同調

    同調(conformity):
    個人あるいは集団から現実の圧力ないしは想像上の圧力を受けた結果、人の行動や意見が変化すること。集団成員からの同調は結果として、集団内に斉一性をもたらす。

    ■同調の種類
    ・内面的同調
    ・外面的同調

    ■同調の影響要因
    ・情報的社会的影響(informational social influence):
    客観的にみて出来るだけ正しい判断を下したいという動機に基づいて、他の集団メンバーの意見や判断を参考にし、影響を受けること。
    同調の促進要因:情報源としての他者の信頼性

    ・規範的社会的影響(normative social influence):
    集団メンバーの期待に添い、彼らから受容されたいという動機に基づいて、集団内の多数派と同じように自分の態度や行動を変えること。
    同調の促進要因:他者との好意的関係またはそれへの希求

    ■同調に対する過小評価
    他の人々が同調するとわかっていても、我々自身が集団に追従する傾向についてはその程度を過小評価している。

    ■非同調
    …同調しないことを非同調と言い、下記の2つが含まれる。
    反同調
    独立

    集団の規範に対する非同調は「逸脱」と呼ばれ、集団から負の制裁を受ける。



    <同調を増大させる変数>
    ■全員一致
    …多数意見が一致か否かが多数意見への同調のしやすさを規定。多数者の実数が多くなくても、人から最大の同調を引き出す。(3人でも16人でも同じ)
     ▶︎意義を唱える仲間の存在が、多数者の影響を解き放つ効果をもたらす

    ■説明責任
    …集団に対する説明責任は、同調を増大させる。これは殆どの条件で生じる。
     ▶︎正しくあるように方向付けられ、かつ説明責任がある場合、非同調する。

    ------------------
    <第3章マスコミ、宣伝、説得>

    第1節情動感染
    情動感染(emotional contagion)
    :他者の特定の感情表出を知覚することによって自分自身も同じ感情を経験する現象のこと
     即時性(瞬時に起こる)、無自覚性(気がつかないうちに起こる)、偏在性(どこでも起こる)が特徴。

    ■情動感染の生起メカニズム
    第一段階:日常生活のコミュニケーションに於いて互いの表情や発話、身体動作などの行動が時間経過に伴って連動し類似化する。
    第二段階:特定の内的な感情経験に対応する感情の表出(身体的なフィードバック)が感情喚起に寄与する。
    ・顔面フィードバック仮説
    ・感情血流理論

    ■情動感染の個人差
    情動感染させやすい人:
    ・強い感情を喚起しその感情を音声や表情、姿勢や身体動作によって表出すること
    ・他者の経験している感情の影響を受けにくいこと
    情動感染しやすい人:
    ・他者に対してよく注意を払っている
    ・自分と他者を密接に結び付いたものとして認識している
    ・他者の感情の読み取りが得意である
    ・他者と行動が連動・類似化しやすい
    ・身体感覚に敏感である

    他者を感情を感染させやすい人は、逆に他者から感情の影響を受けにくい

    ■情動感染尺度(The Emotional Contagion Scale;ECS)
    ・ESC得点は自尊心と正の相関関係、神経症傾向や孤独感と負の相関関係。
    ・下記の4因子からなる。
     愛情感染(love contagion):精神的健康に関するどの指標とも有意な相関関係は無し
     怒り感染(anger contagion):「不安と不眠」「うつ傾向」「社会的活動障害」との間に正の相関関係
     喜び感染(happy contagion):「うつ傾向」との間に負の相関関係
     悲しみ感染(sadness contagion):「身体的症状」「不安と不眠」との間に正の相関関係
    →ネガティブ感情の感受性が慢性的に高い人は、精神的健康が阻害される
     ポジティブ感情の感受性が慢性的に高い人は、精神的健康が促進される

    ■感情感染の性差
    「怒り感染」と「悲しみ感染」に於いて、男性に比べ女性の方がECS得点が有意に高かった
    →女性が男性に比べてネガティブ感情の感受性が高いことに起因

    ■その他の特徴
    ・親和動機が情動感染を促進する
    ・社会的勢力の低い者は、社会的勢力の高い者の感情に対して敏感である
    ・社会亭勢力の高い者の方が、低い者に比べて、他者の表情を模倣する傾向がある。
    →情動感染には親密性や社会的地位といった関係性要因が影響している可能性がある。

    ■メディア観点から観た情動感染
    ・報道によって情動感染が発生することがある
    cf.模倣自殺:自殺の公表によって同様の事故が増加、その犠牲者の年齢は公表された自殺者の年齢と高く相関していた。
    →メディアが選択的に内容を強調することで、それに続いて起こる出来事を決定することも出来る


    第2節 メディアアピール
    メディアを通じて行われたアピールには一定の効果が存在する。

    ■教育程度のよる差異
    ・未就学児の90%がTVCMの玩具や食べ物をねだる
    ・6年生では12%しかTVCMを真実であると認識せず。10年生では4%に低下。
    →教育程度が高ければTVCMに対して懐疑的に。しかし、懐疑的な人々は自らがアピールへの免疫力があると盲信。
    実際には、多くの消費者がメッセージが販促の試みと知りながら猜疑心を捨て、影響を受ける。

    ■接触頻度による差異
    ・他の条件が全て同じなら、よく知られているものほど魅力的に見える。
     cf.5回よりも10回見た顔を好み、自分の名前にある文字を含む単語を好む
    ある刺激に本質的な不快が無い限り、その刺激に接触する程それをより好むように
    ■説得か宣伝か
    宣伝:ある説を体系的に広めること
    教育:知識や技術を伝える行為
    どちらと見なすのかは、その人の価値観によるところが大きい
    →人々の意見が対立する情緒的側面を持つ問題に於いては、両方の人々が公正で公平だと同意するコミュニケーションは不可能。


    第3節 説得への二つの主要ルート
    人々が説得される方法は基本的に下記の二つである。
    ・説得への中心ルート:議論を較量し、事実やデータを検討、体系的に問題を考え結論に至る。
      ex.処理速度やメモリからPCの購入を判断
    ・説得への周辺ルート:塾考せずに正しさや誤りや感じの良さを漠然と示す関連無い手掛かりから判断する。
     ex. お気に入りの有名人が使用しているからPCの購入を判断
    →純粋にどちらか一つには分類することが出来ず、大抵両方のルートに狙い定めた要素を持っている。

    ■周辺ルートの影響性
    ・人々が本質を評価している時には、その言い回しに影響を受ける=周辺ルートが効果を発揮する
    →韻を踏まないで示される同じ考えよりも、韻を踏んだ聞き馴れない格言に説得される


    第4節 コミュニケーションや説得の有効性を高める鍵
    次の三種類の変数が重要となる。
    ・コミュニケーションの源泉:誰が言うか
    ・コミュニケーションの性質:どのように言うか
    ・聴衆の特徴:誰に言うか
    つまり「誰が何を誰に言うか」かを意識することが重要になる。

    <コミュニケーションの源泉>
    ■信憑性
    …信憑性(専門的であり、信頼できるとする)の高さが影響力に関係。
    →その信憑性の判断は個人に委ねられる。=時として、周辺的な要因が作用する。
    cf. 伝え手の社会的地位、外見的正当性、

    ■信頼性を高める
    …自分自身の利害に反することを主張することで信頼性を高めることが出来る。
    =説得しても何も得ることが無い(むしろ失うものがある)ことが明確な限り、不道徳な人間に於いても効果的である
    ・メッセージが聞き手の期待と矛盾する時には、聞き手は伝え手をより誠実だと見なし説得される。
    ・聴衆が伝え手は影響を与えようと努めていないと確信する時にも説得性は向上する。

    ■魅力
    …どの程度魅力的か、ないしは好ましいかが伝え手の効果を左右する。
    →魅力的な情報源ほど、望ましい立場を支持するものと期待される
    =伝え手の魅力をメッセージの望ましさを結び付ける(好きな人の言うことは望ましい)
    ・好意が関わるところでは、情報源を喜ばせようとして行動する。
     →伝え手がの意見を変えたいと望めば望むほど、(些末な問題についてのみ)聞き手は意見を変える

    ■まとめ
    ・専門性を信頼性を兼ね備えた人々から影響を受ける(その基準は各人に依る)
    ・伝え手の信頼性は、下記の場合に高くなる。
      自らの利害に明らかに反する立場を主張する場合
      われわれの意見に影響を与えようとしていないと思われる場合
    ・特に些末な行動については、その人に好意を抱いているのであれば、
      その人と同一視出来る場合、その人の意見や行動は影響力を増す
      その人が影響を及ぼそうとしていることが明らかで、それによって利益を得ることが明らかでも影響を受けやすくなる


    <コミュニケーションの性質>
    ■論理的アピールvs情動的アピール
    …主に論理的アピールよりも情動的アピールを受け取った者のが行動に繋がる
     ※「情動的」と「合理的」の、確実で相互作用的な定義は存在しない

    ■恐怖喚起のコミュニケーション
    :受け手に恐怖の情動を喚起することによって、送り手の勧告の受容を促進させるよう意図した説得的コミュニケーションの一つ。
     恐怖刺激である恐怖情報と、説得的コミュニケーションである勧告情報から構成される。
     
    ・指示メッセージの効果性
    明確な指示を加えた恐怖喚起メッセージ > 単なる教示メッセージ
    …恐怖喚起と明確な指示を加えた場合に、最も効果的になる
    しかし、恐怖についての情報が曖昧な場合、効果は弱くなる
    →恐怖誘発アピールの効果は状況によって異なる

    ・恐怖情報の強弱による効果の変化
    態度変容と行動変容の両方において、
    強恐怖コミュニケーション(HFC) > 弱恐怖コミュニケーション(LFC)

    ・恐怖情報と勧告情報の関連性とその効果
    関連性がない場合
     …説得的コミュニケーションにおける恐怖喚起は効果を一時的に発揮するが、時間経過とともに急激に消失する。
    →受け手の注意を説得話題からそらす機能を持つ
    関連性がある場合
     …恐怖が大きくなればなる程、効果が増し、説得機能は長期的に持続する。
    →受け手の注意を説得話題に向けさせる機能を持つ

    ・恐怖喚起によるメッセージの再現性
    …ある脅威話題について一度強い恐怖感情が喚起された場合、その後再びその説得話題に接する機会があると、当初程ではないが、強い恐怖感情が再度喚起される。

    ・後続逆宣伝への抵抗効果
    …HFCはLFCに対して下記の優位性を持つ。
    HFCは、逆宣伝に対して
    態度変容を抑制する効果、反論を持ち出させる抵抗効果、信憑性に対する認知を低下させる効果を
    LFCは
    逆宣伝に対してその効果を受け、抵抗効果を示すことなく、また信憑性に対する認知を低下させることもなかった。

    ・自尊心との関係(研究により異なる)
    自尊心の高い人→HFCで最も動かされやすかった
    自尊心の低い人→最も動かされにくかった(時間経過と共に、自尊心の高い人と同様に行動)

    ・性差
    男性よりも女性の受け手の方が恐怖喚起コミュニケーションによって説得されやすい。
    加えて、HFC > LFCの結果は適用された。


    ■合意に基づく統計的証拠vs鮮明な個人的実例
    …実例が鮮明であればある程、論理的で統計的な資格が持つ意味以上になる。

    ■一面的議論vs両面的議論
    …聞き手の立場によりどちらが効果的か変化する。
    ・伝え手の議論を信じる方向に傾いていれば、
     一面的議論 > 両面的議論
    ・伝え手の議論と反対の方向に傾いていれば、
     両面的議論 > 一面的議論

    ■提示の順序
    …「初頭性効果」と「親近性効果」が存在。決定的な変数「時間」で働く効果が変わる。
    ・第一のコミュニケーションと第二のコミュニケーションに差がない時、抑制(干渉)が最大に。
     初頭性効果が働き、
      最初の話し手 > 最後の話し手
    ・聴衆が第二のコミュニケーション直後に決心しなければならない場合、保持が最大に。
     親近性効果が働き、
      最後の話し手 > 最初の話し手

    初頭性効果
    :第一の材料が存在することで、第二の材料の学習が妨害される。
     結果、全ての条件が等しければ最初のコミュニケーションが効果的になる。

    親近性効果
    :学習と意思決定の時間的間隔から、最後の学習が最も影響を与える。
     「保持」の現象。

    ■ずれの大きさ
    …聞き手の意見と伝え手の忠告にあるずれ(コミュニケーション・ディスクレパンシー)が意見に変化に影響を及ぼす。

    ・伝え手の信憑性が高い場合、
     主張する見解と聞き手の見解のずれが大きいほど、聞き手は説得される。
    ・伝え手の信憑性が高くない場合、
     中程度のずれの時に、最大の意見変化をもたらす。


    <聴衆の特徴>
    ■自尊心
    …不全感を抱く人は自尊心の高い人よりも容易に説得的コミュニケーションの影響を受ける。
    ←自尊心の高い人は、信憑性の高い人と意見が異なると「葛藤」を経験し、それを軽減しようと自分の意見を変える為。
    (もしくは断固として反対する)

    ■政治的志向
    …政治的志向によって、効果的な説得的コミュニケーションが変化する。
    全般的な傾向ではあるが、
    ・保守派は、単純な白黒の言葉による議論に動かされやすい。
    ・自由派は、理性に訴えかける事実に基づく議論に反応しやすい。

    ■先行経験
    …聴衆がコミュニケーションに接する少し前の心の枠組みが重要な要因となる。
    ・栄養が十分でリラックスし、幸福であればコミュニケーションを受け入れやすくなる。
    ・気分が良いと説得の影響を受けやすくなる。
     →自尊心を肯定する(好感を持たれているとわかる)フィードバックを与える

    <説得可能性を下げる方法>
    ■事前の警告
    …説得の試みがなされようとしていることを事前に警告することで、自らの自由を守ろうとする機能が作用する。
    ・自由の感覚を脅かされた時、抵抗するだけでなく反対の方向に反応しやすくなる。
    ・重要な信念に反する情報に直面すると、可能であれば即座に反論を考え出す。
     →反論させない為には、コミュニケーションの提示中に聞き手の気を逸らさせる。

    接種効果
    :論駁出来るような短いコミュニケーションに前持って接触することで、次に同じ議論が本格的に提示された時に備えて免疫が出来る。
    →両面的提示を用いることで、
     説得が効果的になり且つ後で反対の宣伝に対して抵抗させることが可能になる。

    ・接種が最も効果的なのは、攻撃されている信念が文化的に自明な理である時。
     ⑴われわれは自分達の信念を守るように動機付けられている。
     ⑵信念を持っている理由を検討することで、それを守る練習を積むようになる。


    <意見vs態度>
    説得の容易さはわれわれが意見か態度のどちらかを扱っているのかに関係する。

    意見
    :ある人が信じていること。認知的で一時的なものである。
    態度
    :評価的で情動的な成分を含む意見のこと。意見に比べて極めて変化しにくい。

    ■テレビ視聴
    …テレビの視聴時間が態度形成に大きく関与する。
    長時間視聴することで、テレビから得られる情報を自分の信念体系に取り組むようになる。

  • 内容が濃くページ数が多いので読み進めるのに途方もない時間がかかった

  • マネジメントの航海図せ紹介

    第1章 社会心理学とは何か
    第2章 同調
    第3章 マスコミ、宣伝、説得
    第4章 社会的認知
    第5章 自己正当化
    第6章 人間の攻撃
    第7章 偏見
    第8章 好意、愛、対人感受性
    第9章 科学としての社会心理学

  • 放送大学『社会心理学』(2014年2学期履修)で取り上げられた本。

  • 11版を翻訳したものであるが、それほど前の翻訳と変わっていないので、新しく買い求めるよりも図書館で読んでおくといい。社会心理学で卒論を書くときのテーマを探すためには役立つであろう。

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