神と人間との醜悪さを軽蔑し嘲笑する『マルドロールの歌』、それと真逆に神と人間の善を、同じだけの激しさでもって叩きつける『ポエジ――未来の書の序文』の2編(および現存する書簡等)が収められた、ロートレアモン伯爵(本名、イジドール=リュシアン・デュカス)の全集。
奇怪な比喩や熱に浮かされたような長文が特徴的。作中で美しい少年を表す比喩として用いられた「解剖台の上でのミシンとこうもり傘の偶然の出会いのように美しい!」(『マルドロールの歌』「第六の歌」所収)という一節は特に知られている。
過度に装飾的な文章は読み応えがあるが、読み通すには体力も要る作品だった。