- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784784216345
感想・レビュー・書評
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2013年の大河ドラマ「八重の桜」では、同志社の創設者・新島襄の妻の八重が取り上げられた。
著者はいう。この「新島八重を語る・別冊(1)~(5)」は、「好きな本を好きな形で、自費で出す」という方針を貫ぬきたい、(略)私の中では、商業出版と趣味の本は、両立しません(p.222)。
神学・新島襄の研究者でありながら、「趣味として」書く本は、読んでいる方も楽しさが伝わってくる。事実に基づき、論理的に書かれているし、講演会のテープ起こしがベースになっているので、非常に読みやすい。
大河ドラマが始まる前年の2012年、まだマイナーであった新島八重の見どころを、ドラマの構成の大枠を予想しながら書いたのが本書である。
冒頭の「新島八重ってどんな人?」の問いに対し、「蛙の面に水」がぴったりの人です、と回答する。しかし、新島八重の84年の人生を辿ると、なかなか一言では表せない様々な面白さが予想される。
新島八重を選んだNHKの意図には、「戊辰戦争で敗者となった側からの視点」、「女性の視点」から描くことで、「新しい時代に一歩踏み出し、日本人の勇気を後押しすることを目指したようである。
新島八重の面白さには次の3点が考えられる。
1. 戊辰戦争に従軍した青年時代の「幕末のジャンウダルク」としての新島八重
2. 新島襄と結婚してからの「ハンサムウーマン」としての新島八重
3. 新島襄の死後、日清・日露戦争で篤志家として活躍した「日本のナイチンゲール」としての新島八重
ただ、主人公を女性に絞るのであれば、次の4人も候補にあがるであろう。
・大山捨松
・海老名リン
・若松賤子
・中野孝子・竹子母子
しかし、明治期に京都の復興に尽くした兄・山本覚馬、日本人の良心・改良を願って脱国した新島襄も同時に動じに描くことになり、この2人も今回のNHKの制作意図に合致することは間違いなさそうだ。
この別巻(1)は、いわば「八重の桜」の鑑賞手引書で、観光地でいうと入口まで案内された感じ。(2)~(5)では、園内・建物内の案内(裏話を含めて)へと続くのであろう。楽しみだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示