- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784784217823
作品紹介・あらすじ
「新島ワールド」のコンシェルジェ(案内人)と自他ともに認める著者が、
<br/>話し言葉でその魅惑的世界を紹介する入門書の最終巻。
<br/>新島襄は「志の人」であった。だからこそ、大勢の「同志」が集まり、それは「同志社」の設立につながる。
<br/>新島襄とその教えを受け継いだ、徳富蘇峰・安部磯雄らの「志」をめぐる逸話を中心に紹介。
<br/>付録に「新島襄を語る」シリーズの目次と書評を収録。
感想・レビュー・書評
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私立学校の特徴は、「志立」と「資立」にあるという指摘がある。言い得て妙である。しかしながら、私立大学がすべて「志」によって作られたかというと、必ずしもそうではなさそうである。例えば、三木内閣の文部大臣であった永井道雄は、その著書『日本の大学』において、慶應義塾、同志社、早稲田の三校を「自由主義派」と名付け、建学理念を打ち出し、人物養成に主眼を置いたところに他の大多数の私学との大きな違いを見出している。
同志社英学校の第1回卒業式において新島襄は、中国、戦国時代の燕の政治家、郭隗を引き合いに出し「私は恰もこの郭隗の役割を果たしたい」と訴えている。新島には、生前から、後に続く人たちが、自分の夢をきっと実現、完成させてくれるとの大きな期待があった。また「同志社の完成には300年」とも言っている。つまり、同志社の完成には、新島の「志」を受け継ぐことが不可欠である。著者の思いはこの点に集約されているといえる。
本書では、この「志」を受け継いだ教え子として、徳富蘇峰(ジャーナリスト、思想家、歴史家)、柏木義円(社会主義者山川均に影響を与えたキリスト教思想家)、安部磯雄(日本社会主義運動の先駆者)らにもスポットを当てている。このように、新島を核としながらも、神格化することなくひとりの志を持った人間として映し出し、周りの人物にもスポットを当てつつ、様々な角度から新島を語っている。そのうえ、著者の幅広い知識が随所に織り込まれていることから、シリーズを通して幕末・明治という時代に興味を持つ人も楽しめる内容となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示