京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色 (Kaguya Books)

  • Kaguya Books
2.20
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784784541492

作品紹介・あらすじ

京都にゆかりのある8名の作家が綴る、京都SFアンソロジー。1200年の都? いえいえ、わたしたちの棲む町。アート、池、記憶、軒先駐車、松ぼっくり、物語――。妖怪もお寺も出てこない、観光地の向こう側をお届けします。大阪/京都を拠点にするKaguya Booksより、待望の地域SFアンソロジー第1弾刊行!収録作品千葉集「京都は存在しない」暴力と破滅の運び手「クラーク・ワークス」鈴木無音「聖地と呼ばれる町で」野咲タラ「おしゃべりな池」溝渕久美子「第二回京都西陣エクストリーム軒先駐車大会」麦原遼「立看の儀」藤田雅矢「シダーローズの時間」織戸久貴「春と灰」

感想・レビュー・書評

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  • 正井 編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』、井上彼方 編『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』書影公開! | VG+ (2023.07.30)
    https://virtualgorillaplus.com/nobel/osaka-kyoto-covers/

    京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色 | 出版書誌データベース
    https://www.books.or.jp/book-details/9784784541492

  • 千葉集:京都は存在しない、ピアニスト:暴力と破滅の運び手、鈴木無音:聖地と呼ばれる町で、野咲タラ:おしゃべりな池、溝渕久美子:第二回京都西陣エクストリーム軒先駐車大会、麦原遼:立看の儀、藤田雅矢:シダーローズの時間、織戸久貴:春と灰、の8つの地域SFアンソロジー。シリーズ1作目。固有名詞で京都のものが出て来るが、京都を意識できる話は少ない。別の場所であっても成立する。野咲さんのおしゃべりな池が京都世界なだけかも。というところで観念的な世界の観念的なストーリーが展開される話であまり楽しめませんでした。

  • 京都を知る8人によるアンソロジー。WEBメディア、KAGUYA Planetに参加している作家の中から募ったようだ。日本SF作家クラブの会員から、ここ数年で新人賞などを受賞した若手まで。
    京都の第一の特徴といえばやはり"歴史"だろうか。そのイメージがSF的に転換すると、"歴史が失われた京都"になるのかもしれない。今あるものを保ったままSF要素を足すのではなく、"もしなかったら?"を軸にした世界。ほとんどの作品にそういった設定があり、興味深い。編者はあとがきで「(そういう伝え方はしていないのに)<記憶>とか<過去の蓄積>といった要素が共通している」と書いている。

    正直なところ意味や展開、結末に「?」となる作品もあり、私には玉石混淆かなと感じられたけれども、おもしろかったのは
    「おしゃべりな池」(野咲タラ)、「第二回京都西陣エクストリーム軒先駐車大会」(溝渕久美子)、「シダーローズの時間」(藤田雅矢)。
    どれも、愛しいという気持ちが根底にあるようで、美しい作品だと思う。

  • 京都を舞台にしたSF短編集。

    失われた、あるいは失われつつある記憶、現実と乖離して存在するイメージ。そういうものを扱ったお話が多いように感じた。これは編者も事前に意図しなかったことのようで、あとがきでも「土地と記憶をめぐる物語」として指摘されている。
    京都という土地柄かと思ったが、どこであっても特定の土地に関するSFを作ろうとするとそういう方向になるのかも知れない。「その土地らしいもの」を求めようとすると、個人やその地域の住人レベルで保持されている記憶と、世間レベルでふわっと流通するイメージのどちらかになるということか。既に社会レベルで共有された「歴史」ではない、というのも興味深い点。もっとも京都という土地でこれをやろうとすると大変なことになるからだろうけど。

    序とあとがきの両方で、京都市を舞台にした作品だけにならないように注意した旨の記述がある。実際に京都市以外が舞台なのは8編中3編。「聖地と呼ばれる町で」(丹後半島)、「おしゃべりな池」(久世郡久御山町)、「春と灰」(相楽郡精華町)。

    印象的だったお話いくつか。

    「ピアニスト」
    あえて京都っぽさは感じなかったが、SFとして面白かった。人間が音楽や舞踊で描くイメージを具象化する機械。

    「聖地と呼ばれる町で」
    超自然的な現象はとくに起きない現実ベースのお話。映画の舞台になったことで、その映画で創られたイメージに呪われる関係者たち。生活と乖離したイメージの一人歩きという点では別作品「京都は存在しない」と共通するが、良くも悪くも観光都市としてブランド化した京都市内と違い、ひとつのイメージに振り回される小さな町のありかたがリアル。

    「春と灰」:
    国会図書館関西館が舞台。現実の町は学研都市として売り込んでいるのでむしろ未来っぽいイメージだが、一度焼き払われた(!)数十年後という設定で、やっぱり過去の記憶がテーマ。ちなみに関西館の司書たちが古文書を解読して呪術的戦闘を繰り広げた結果、町が禁足地になったという。司書何者。
    引っかかった点。「霊魂を鎮めるための寺社仏閣はほとんどなかった(p206)」とあるが、実際にはまさに怨霊を鎮めるため作られた祝園神社があり、土地の謂れもある。作中にランドマークは結構細かく書き込まれているが、肌感覚として土地にゆかりのある人ではないのかなと思った。作品自体の値打ちとは関係ないけれど。

  • まあ、ようこんな訳の分からん話ばかり集めたわ、と感心・・・

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著者プロフィール

SF企業VGプラス(バゴプラ)が運営するオンラインSF誌〈Kaguya Planet〉のコーディネーター。第一回/第二回かぐやSFコンテスト審査員。Kaguya Books編集者。1994年生まれ。フェミニスト。編著書に『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』(社会評論社)。 

「2022年 『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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