量子力学(I)

著者 :
  • 裳華房
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784785322069

作品紹介・あらすじ

本書は、古典物理学から量子力学への革命の過程を説明した量子力学の入門書である。

感想・レビュー・書評

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  • 1.光の波動性と粒子性
     1.1 波動
     1.2 干渉
     1.3 エネルギー量子
     1.4 光子の運動量
     問題

    2.原子核と電子
     2.1 原子核の発見
     2.2 原子の安定性
     2.3 原子のもつ電子の数
     問題

    3.過渡期の原子構造論
     3.1 原子スペクトル
     3.2 ボーアの原子構造論
     3.3 楕円軌道
     3.4 ド・ブロイの量子条件
     3.5 アインシュタインの遷移確率
     問題

    4.波動力学のはじまり
     4.1 シュレーディンガーの波動方程式
     4.2 水素原子のエネルギー準位はでるだろうか?
     問題

    5.波動関数の物理的意味
     5.1 電子波の干渉
     5.2 電子を見出す確率
     5.3 確率密度と確率の流束
     5.4 量子力学における因果律
     5.5 ニュートン力学への回帰
     問題

    6.量子力学の成立
     6.1 物理量を表わす演算子
     6.2 状態
     6.3 観測
     6.4 不確定性関係
     問題

    7.井戸型ポテンシャル
     7.1 定常状態
     7.2 井戸型ポテンシャルに束縛された状態
     7.3 運動量の固有状態
     7.4 無限に深い井戸
     7.5 ポテンシャル障壁
     7.6 連続スペクトルと離散スペクトル
     問題

    8.調和振動子
     8.1 定常状態
     8.2 振動する波束
     8.3 ハイゼンベルク描像
     問題

  • 本格派を目指すための入門書。予備知識と言うほどのものは要らないと「はしがき」にあるが、著者が求めているスキル・レベルは高く、理解に至るまではかなりの忍耐を必要とした。一カ所も飛ばすことなく、みっちりとすみずみまで学習して、期間は約2週間かかった。式の導出は丁寧だが、私のような初学者には言葉が足らない部分があり、物理用語ではないが、専門的な用語もたびたび出てきた。分からないところはネットで公開されている各種資料を参照した。

    前半は量子力学の理論化と実験による実証の歴史に沿って進められる。後半の井戸型ポテンシャル、調和振動子の箇所は、前野の量子力学に比べると、深く掘り下げられていて、興味深い。シュレディンガーとハイゼンベルグのアプローチの違いなど。全般的に具体的な計算が、問いや章末問題に豊富に含まれ、物理的なセンスが培える。

    誤植は多いが、この本については、ホームページに公開情報はないので、以下に私が気付いた点を載せておく。
    ※出版社に、以下の件について、質問したところ、江沢先生につなげていただき、大変に丁寧な回答を頂いた。後日、HPに掲載される予定とのこと。深い良心を感じた次第である。

    【誤植情報】
    P50最下行:(3.38)→(3.28)
    P66:αB→aBが2カ所
    P71(5.4):第2項の分子にnが抜けている。
    P92(5.63)と(5.64):右辺の分母にmが抜けている。
    P155の7.11図の説明:-6→-16
    P169の17と18行目:aハット+の+の添え字がいらない。
    P191の7.:α=の4/3の係数は括弧の前。
    P198の3.の計算:結果の(1)は合っているが、その導出過程が致命的に間違っている。具体的には1行目と2行目の数式の右辺の最後の項が間違っている。rとφの両方の偏微分が入らなくてはおかしいのに、片方の2回微分しか入っていないから。
    P204の16行目の数式右辺の括弧は不要
    P205:(1.31)→(7.31)
    P211のグラフに書き込まれている数式:y=ξtanのあとのhバーはh
    P214の10.:T=2e^iqa→2^-iqa
    P221の7行目の左辺の最後にu(x)が抜けている。同ページの下から2行目の数式のEn+1にダッシュが抜けている。
    P222の10.の3番目の積分式の結果の第3項に√πが抜けている。
    P224の下から2行目の最後に)が抜けている。
    P225の4行目の数式で<ψx^ψ>は<ψ,x^ψ>。

    私が解答に至らなかった問い(解答のないもの)、理解できなかった記述は以下の通り。

    1.P54の問(解答のきっかけすら分からない)
    2.P200.の(a)(b)解説2つとも(aのこれをyについて0からbまで積分する、「これ」を指し示す物が分からなかったのと、bのn番目のスリットを通ってxに来るくるドブロイ波の振幅の積分表現にあるe^-ikξθが分からない。)
    3.P209下から2行目の四分円にはさまれた領域の面積の式(最初の係数がπ/4ではなく、π/2ではないか?)

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著者プロフィール

江沢 洋(えざわ・ひろし)
1932年、東京都生まれ。東京大学大学院数物系研究科修了。理学博士。東京大学理学部助手、学習院大学教授を経て現在同大学名誉教授。この間海外の多くの大学で教鞭を執る。

「2022年 『演習詳解 力学 [第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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