- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784785504533
感想・レビュー・書評
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「衝動買い」というのはなんだか馬鹿げた行為のようにも見えがち(僕は昔ひどい衝動バイヤーだった)だけど、そういう意味の衝動だけでなく、いわゆるパッション、情動というようなものも含めて、そのパッションを如何に起こさせるか、という話。というよりも、大抵の買い物は衝動買いなのだ。
ポップの書き方、売り場の作り方といった話から、衝動買いを起こさせるようなつくりの商店街という話、そして背中の押し方、買わない理由の排除など、とにかく「ありとあらゆる手で消費者の需要を創造する」ということが述べられています。
売り手側としては素直に参考にすればよし、買い手側としては、大抵のものは実は衝動買いであり買い替えであることがわかるし、今自分が買えるその商品・サービスが衝動かもしれない、と思うと、サンマの前に大根が置いてあってもそうやすやすとは買えない。もっと大きな商品・サービスでも同様だよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本は中小企業診断士でもある金子氏が昨年(2012)、41歳という若さでお亡くなりになるまでに、コンサルタントとして活躍された活動を基に、金子氏が書かれたものを編集部がまとめたものです。
売上を伸ばす小売業の代表として「ドンキホーテ」を取り上げて、「衝動買い」を上手くさせているポイントについて、最後の章では、それ以外の実例も取り上げて解説しています。
お店を経営している人達が、まず需要を作ることの大切さを述べています。これからは消費者が望むものを作るのではなく、消費者が買いたくなるものを、まず気づかせることが大事なのですね。
以下は気になったポイントです。
・家電量販店では、3万円のデジカメを売るよりも、1000円のコードを売った方が、利益があがることもある。激安の目玉商品に付属するアクセサリー系の商品は、利益率が高く設定される(p31)
・スーパーでは、消費者の購買意欲を刺激するために、入口近くに季節のフルーツや、野菜の彩り豊かな色を配置することで季節感を出す(p86)
・商品陳列として、「ついで買い」を引き起こすことに意識する、顧客にとって利便性を追うと同時に、顧客に考える手間を省かせることで思うままに商品を買わせようとする(p92)
・歯ブラシと電球、洗剤とお米、携帯電話とノートパソコン、無関係に見えるこれらの組み合わせの関連キーワードは、「商品回転率」、一つ購入して次が買いたくなるタイミングが同じ商品は陳列場所を近づける(p94)
・潜在的な需要を喚起するための有効手段は、「その商品と顧客の接触回数を高める=ザイオンス効果」こと(p103)
・スーパーの手書きPOPが姿を消し始めた2000年あたりより、ドンキホーテが右肩上がりで伸び続け、一部上場企業にまで成長、最近では「ドイト」「長崎屋」までも子会社化(p108)
・激安関連のノボリ、チラシは、お祭りを想起させるような、赤・白の2色、それに眼を惹く、黄色を加えた三色で構成されていることが多い(p110)
・ケーズデンキは、担当販売員は少ない代わりに、FAQを記した大きなパネルが数多く配置されている(p115)
・顧客が嫌がる接客のリスクを軽減させ、衝動購買へのハードルを少なくすること、これがPOPのもつ大きな役割の一つ(p117)
・使えば使っただけ、傾斜的にお得度が上がるシステムを作ることが重要(p141)
・互換性のあるポイントを、複数業態で使えるようにする、この代表例が「Tポイントカード」(p145)
・顧客の来店頻度を高めるには、24時間営業であること、いつ訪れても開店していること(p161)
・歩きやすく、買いやすい売り場は、顧客が少なくなると圧倒的に寂しい売り場になる、狭い店舗面積で、圧倒的な圧縮陳列を行っている小売店は、顧客が少なくても寂しさは感じない(p163)
・元気な商店街として、原宿(カジュアルファッション)、秋葉原(家電・アニメ)、神田神保町(古本)、目黒(ビンテージ家具)、中目黒(自転車)がある、共通点は、専門店街であること、一店一品ではなく、「一街一品」である(p173,178)
・商品の魅力をうたうよりも、商品の魅力を発揮できる場所を用意する、人がモノを買った理由よりも、買わなかった理由の中にヒントがある(p191)
・トヨタは自動車でしか行けない場所に、魅力的な施設をつくることで自動車そのものの販促につなげた(p194)
2013年9月29日作成 -
どうやって買わせられているのかが分かる。確かに、書かれているような「トリック」にハマっている自分が情けないかも。
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もはや多くの日本人が「必要な買い物」などしていない、という事実を、大量の事例を用いて教えてくれます。 景気は気分?と断言するセブンイレブン会長の鈴木敏文の理屈が分かりました。著者が老人まで生きていたとしたら、どんな衝動買いをしていたでしょうね。しかし、衝動買いが無くなるのは老化の始まりか。この本読んだら、金は無いけど、買い物する気力が湧いてきましたよ(笑)。