スモーキング・サベージ(1): YKコミックス (ヤングキングコミックス)

著者 :
  • 少年画報社
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本棚登録 : 37
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784785963330

感想・レビュー・書評

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  • 漫画読みなら、こういう経験があるんじゃないだろうか
    終わってしまって残念、と思っていた良い作品の続編が、他の出版社から出ている事に、その(1)が本棚に並んでいるのを見て気付き、書店でガッツポーズをつい、決めちまった経験が
    私は何度もある。周囲から、白い目で見られると分かっていても、この歓喜は、抑えきれるものじゃない
    『鬼切丸伝』や『ミスター味っ子 幕末編』、『鉄鍋のジャンR』も嬉しかったが、これらの作品以上に、テンションが爆上がりして、腰が抜けそうになったのは、そう、この『スモーキング・サベージ』だ

    『スモーキング』を、岩城先生が納得できる形で完結させてくれた(ハズだが)講談社、週刊ヤングマガジン編集部には、もちろん、感謝している
    良い漫画をありがとうございました、と今でも心から言える
    しかし、今、私の胸少年画報社とヤングキング編集部、そして、元編集長様に対して、更なる感謝でいっぱいだ
    岩城先生に、新たな戦いの場を用意してくださり、ありがとうございます
    毒を毒で制す、そんなスタンスの漫画は多いけど、少なくとも、私の中じゃ、この『スモーキング』と『スモーキング・サベージ』は上位である

    世の中の人間、全てが悪人だ、そんなクソガキ丸出しな考えは、とっくに持っていない
    しかし、弱者を守るべき法に正しく裁かれず、大した反省もせずに、世に放たれ、再び、罪を犯す外道がいるのも事実だ
    漫画は漫画、と頭じゃ解かっているけれど、現実でも、そんな外道が、悪を殺す極悪として生きる覚悟のある者らに“裁かれてほしい”と心は叫んでしまう

    掲載誌を変えた事で、仕切り直しなのか、スモーキングはリーダーである佐辺以外は、新メンバーを迎えている
    もちろん、かつての仲間も登場しているが、あくまで、メインは新メンバーであり、中心はルーキーの九条
    元ヤクザで、ケツはまだまだ青く、心構えも技術も足りないが、この稼業に必要なモノだけは、ちゃんと持っている、魂に
    彼が、元ヤクザである自分よりも劣る、憎むべき悪と遭遇し、それを叩き潰す実力がある本物の仕事に触れていく事で、どう成長していくか
    それが、この「サベージ」の肝に違いない、と私は勝手に思っている

    前作を読んでいる人間なら承知の事だろうが、この『サベージ』で岩城先生を知り、これから読もうとしている人もいるかもしれない
    ファンとしちゃ、注目してくれた事に感謝したい。しかし、その新規の読み手が遠ざかってしまう可能性も承知で、言っておかねばなるまい、これは
    正直、血や痛みに弱い人は読まない方が良い
    不良漫画のような、気持ちの良い喧嘩が齎す痛みは、この作品には皆無
    とことん、悪人へ罰を与えるだけの、容赦ない痛みで、出血量も多く、残酷な表現ばかりだ
    悪人が裁かれる様はスカッとする、そんな気持ちにすらなれないかもしれない
    悪人にも、つい、同情しちゃう、そんな優しい人も、きっと、読んだら気持ち悪くなっちまうかもな
    しかし、こう書くと、ゾクゾクしながらも、楽しく読めてしまう私は、やっぱり、どこかズレちまったんだろうか、と思っちまう
    まぁ、岩城先生を責める気は微塵もない。責めたって、元通りになる訳じゃないしな
    この作品を平然と読めるのは、西川秀明先生の『職業・殺し屋』のファンくらいかもなぁ。けど、『職業・殺し屋』はアクションがあるからこそ、黒い爽快感が生まれているとも言える
    ともかく、読んでもらうしかない、それだけの話か

    この台詞を引用に選んだのは、九条のこれからに期待が持てるな、と感じたので
    あくまで、私個人の印象だが、男が一皮剥けるには、まず、自分が縋ってしまうもの、俗な言い方をすれば、ちっぽけなプライドだ
    人間、体力も根性も尽きた時、最後の支えになるのが、安いプライドだってのは承知している
    その安いプライドが、最後の支えになるようにするには、無駄なプライドを捨てていく事が大事である
    やりきるしかない、そうと決めたのなら、男は背水の陣で挑まねばならない
    ナイフと一緒に、叶えられぬ夢も捨てた九条は、もう、その夢よりも叶えるのが大変な目標に向かって、死ぬ気で突っ走るしかない
    しかし、彼なら大丈夫だろう。当人にやる気があるし、仲間にも恵まれているんだから
    「やってやるよ。俺の居場所は、もう、ここだけなんだ―――!これ以上、落ちる所がねぇ、ドン詰まりなんだよ―――!!唯一のプライドは、捨てたぞ―――!俺には、もう、何も残っちゃいねぇ・・・こっからだ―――!!」(by九条)

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