スモーキング・サベージ 2 (2巻) (ヤングキングコミックス)

著者 :
  • 少年画報社
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784785964061

作品紹介・あらすじ

社会のはみ出し者ホームレスたちが噂する裏社会の殺し屋スモーキング…
元ヤクザの 九条はスモーキングの一員となり、着実に依頼をこなしていく日々を送るが、彼に因縁を持つものが現われる!?
同害報復ストーリー!

感想・レビュー・書評

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  • あくまで、私個人としての意見なんだが、良い漫画と世間から認められる条件の一つには、(1)より(2)の方が面白くなっている、がある
    この(2)は(1)以上に、グッと来た
    つまり、この『スモーキング サベージ』は文句なしで、良い漫画だ

    ダーティで残酷、けど、人間そのものが、はっきりと描かれているように思う
    アクション面では、『職業・殺し屋』(西川秀明)に負けちゃっているけど、人間ドラマがゴン太って意味では、結構、良い勝負になっている

    何度も言ってしまうけど、人の世に蔓延る毒を、更に強い毒で殺す、それが生む爽快感は、ほんと、クセになる
    ここまで、中毒性を高められる岩城先生は、確実に、漫画家としても、人間としても、男としても成長しているんじゃないか
    改めて、岩城先生に、新章を描くチャンスを与えてくれた、ヤングキング・ブルの編集長であり、今の担当さんであるTさんに感謝したい
    やはり、良い漫画ってのは、才能ある漫画家だけで作れるモノじゃないんですね
    週刊少年マガジンで連載中の、『ヒットマン』を読んで、しみじみと感じている事なんですが、単に漫画が好きなだけじゃ、漫画の編集者にはなれないんですね

    まぁ、軽い自己嫌悪はさておき、この(2)も、かなり過激な展開と描写になっており、耐性が低い人は吐いちゃうでしょう
    正直、この作品は初心者向けじゃないですからね。それこそ、『職業・殺し屋』を読んで受けたショックで、理性が麻痺しちゃってから読んだ方が、楽しめるのかもしれません

    復讐は、決して、正しい事じゃないんでしょう
    けど、理不尽な悪意に、大切な人を自分から奪われた、力なき弱者が、その術と実力を持つ存在に縋る事、それが罪、その人は間違っている、と言えるほど、私は高潔な人間じゃない
    許す事も、人が持っている強さだとは思うが、怨む、これも人間らしい感情であるのは確かじゃないだろうか
    恨んでいる相手を殺してもらっても、死んだ人が戻ってくる訳じゃない
    それでも、ゲスが残酷な殺され方をする事で、心が軽くなり、前に進める人もいるんじゃないだろうか
    まぁ、この『スモーキング サベージ』は、あくまで漫画
    決して、真似をしてはいけないし、復讐者を探してもいけない
    例え、他人のプロが恨む相手の命を奪ったとしても、依頼者の手は血で汚れるし、世界は狭まるのだから
    それでも構わない、大切な人がいなくなった時点で、私の世界は閉じてしまった、と言うなら、止めはしないけど

    この(2)も強烈である事は、既に書いたが、やはり、注目すべきは、九条か
    まだまだ、新米の域は出ていないが、彼もちょっとずつ、スモーキングの一員らしくなってきたように思う
    捕まってしまったアカシとヒロシの為に命を張る姿は、中々にグッと来た
    まぁ、九条の必死さが宅士さんに通じている間に、兄弟は自力で助かっていて、しかも、自分らをコケにしたヤクザどもをバラバラにしちまってた訳だが
    けど、無駄な努力だった訳じゃない。九条と兄弟の絆は、間違いなく、強まったんだから
    とは言え、ピンチを一つ乗り越えただけで、更なる悪意が、スモーキングに這い寄ってきているのも事実だ
    果たして、佐辺さん達は、“笞杖徒流死”を返り討ちに出来るんだろうか

    この(2)で、私が一番、ヤベェな、と感じたのは、特別収録の「ボンチャン」なんだが、やはり、他の漫画読みにお勧めするとなると、第六話である
    ちょっとズレるが、私は、ミドさん推しだ
    容姿がカッコイイってのもあるが、漢気に溢れている点に憧れる
    登場した頃は、九条よりも、ある意味、尖りまくっていたけど、仲間との絆に砥がれたようで、一層に切れ味が増して、自分の持つ「暴」を仲間と依頼者の為に使えるようになった
    この第六話で、ミドさんは、兄を無惨に殺された妹に代わり、クソ野郎を桁違いの暴力と残忍さで、とことん追い詰めている
    小悪党なら、途中で同情しそうになるが、このクソ野郎は、とことん、根性が腐りきっているので、きっちり、恐怖を刻み込んでくれたミドさんへの好感度は、かなり上がった
    これまた、私の勝手な我儘だが、もしも、岩城先生にお会いできる機会があって、持って行った色紙に、ミドさんを描いて貰えたら、私は感謝の気持ちが振り切れて、岩城先生を、背骨が折れ、内臓が破裂するまで、抱き締めてしまうかも知れない
    そんな事になったらマズいから、やっぱり、私は岩城先生に会わない方が良いな
    けど、会ってみたい。せめて、サイン色紙くらいは・・・・・・この(2)の表紙、中央にいるミドさんもカッコいいけど、黒スーツも似合うと思うんだよなぁ

    この台詞を引用に選んだのは、ブルってしまったので
    この緩急(?)の付け方は、プロのテクニックだな、と感じた
    勉強になる、と思う一方で、自分はやられたくない、と本気で思う
    「生きましょう――――――すべてを吐き出して――――――それとも、続けますか・・・・・・手術?それとも解放―――♡―――拷問?明日からの未来―――♡――――――無駄死に?妻と娘との団らん―――♡―――バラバラに切断される恐怖?家族との初めての海外旅行―――♡―――あなたの葬儀を出す妻のなげき?新しく産まれる小さな命―――♡」(byさすり屋)

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