スモーキング・サベージ 7 (7巻) (ヤングキングコミックス)

著者 :
  • 少年画報社
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784785970369

作品紹介・あらすじ

元ヤクザの九条はスモーキングのリーダー佐辺の下で依頼をこなす中で
力量不足を痛感し、元スモーキングの面々から修業を受けるが潰師の
ゴロのしごきで倒れ入院中。そんな中、チジョウズルシとの激しい抗争が
繰り広げられ八丁が犠牲に…。その後チジョウズルシは鳴りを潜めるが
その一方で九条が目をかけていた母子が狙われる!?

感想・レビュー・書評

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  • 何故、急に、この(7)の感想を書いたか、まぁ、理由は到って、シンプルです。グッと来たから、それだけです。
    もちろん、これまでの巻もグッと来ていました。それこそ、私が感想を書く必要がない、と思うくらい。
    他の漫画読みの方から共感を得られるか、そこは微妙な気もしますが、基本的に、私は、他の漫画読みの方に、こんな良い作品があるんですよ、と訴えたくて、その漫画の感想を書きます。なので、ファンが増えて来たなぁ、と感じたら、感想を書く事から手を引きます。私の感想で、ファンが減ったら悲しいので。
    まぁ、ファンが増えてきた、と感じても、感想を書き続けている漫画はあるっちゃあるんですが。もちろん、この『スモーキング・サベージ』が、未だに感想を書き続けている『終末のワルキューレ』や『ごほうびごはん』などに劣っている訳じゃありませんよ。
    ストーリーの厚みや、残酷な表現の攻めっぷり、そして、全体的なバランスは、西川秀明先生の『職業・殺し屋』や、田口雅之先生の『ブラック・ジョーク』にも負けてません、そう、ファンとして自信を持って断言できます。
    まぁ、私のスタンスはさておき、この(7)が感想を書きたくなるほど、グッと来たのは紛れもない事実です。一体、何にグッと来たのか、それは二つです。
    一つは、この作品の主役と言っても過言じゃない九条の自覚と変化、成長、そして、それを兄貴分として厳しさと優しさを兼ね備えた目で見守るミドさんへの思慕。
    ほんと、この(7)のミドさんがカッコよすぎる。前々から推しのキャラなんですが、ますます、好きになりました。九条に喝を入れ、ここまでしっかりと目を覚まさせ、腹を据えさせることが出来るほど、ミドさんも人間としてデカくなっているんですね。そりゃ、タツケンさんも執着心を見せちゃうって。
    そして、もう一つ、こちらの方がむしろ、大きいんですが、巻末のあとがき、これはグッと来ました、かなり。
    南勝久先生、本当に感謝します。先生がいなかったら、私は岩城先生の描く最高の漫画が読めず、こうやって、感想を書く事も出来ませんでした。やっぱり、人と人の絆って最高ですね。そして、恩人の顔に泥を塗ってたまるか、と地力を上げ続けている岩城先生を、私は尊敬します。

    この台詞を引用に選んだのは、九条の悲しみに胸をハッと衝かれたので。
    月並みな言い方ですけど、人間、一度くらいは人生で絶望を味わい、自分を許せないって怒りを覚えた方が良いかもしれませんね。
    絶望によって、そのまま、どん底に落ちたまま動けない者、立ち上がるも背中を丸めたまま、のろのろと動き始める者、自分に向けるべき怒りを他者への憎しみに摩り替えてしまう者、様々でしょう。
    でも、中には、自分への怒りで、そんな弱い自分を変えられる、その為の努力を始められる、奮起できる人間もいます。
    絶望にもがく九条が、どれほどの漢になるのか、本当に楽しみです。
    (人が生きようが死のうが、考えたこともなかった。他人のことなんて、どうでもよかった。自分のことだけ考えて生きてきた。出会った人間のことは、みんな、バカにしてた。心の奥では見下していた・・・仲間だと思ってた、みんなのことでさえも・・・)「ぐうっ」(母ちゃん・・・俺は、いつも、守ってやれなかった、大切な人を・・・大切な人だったのに・・・人から恨まれたり、傷つけられたり、いつも・・・みんな、遠ざかっていった。俺が誰も受け入れなかっただけ、一人でも生きていけると思ってたから・・・そうだ・・・雨———―――あの詩・・・あれは、俺の詩だ・・・死にかけの俺の詩——————もう・・・死にてぇ・・・今度・・・生まれかわったら・・・俺は・・・俺は・・・)(by九条)

    そして、もう一つ、もう、これは、ミドさんが男らしすぎて、胸がドキドキしてしまった。
    男が惚れる漢、と表現すべきだろうか。
    上手く言えないけど、「叱る」や「説教する」ってのは、その人の人間性や本質が見えるんじゃないだろうか。
    自分が叱られた経験、説教された経験、それで目が覚めた事がある人だけが、失敗をして、不貞腐れている、見所のある人へ、正しい方法で叱ったり、説教が出来る、と私は思います。
    自分を生まれ変わらせてくれた仲間への感謝があるからこそ、苦しむ九条に、こうやって、ミドさんは大きな手を差し伸べてやれるんですね。
    この喝に、九条が泣くのも良いんですよね。
    彼に、自分を生まれ変わらせるだけのエネルギーがあるって証拠じゃないですか、泣けるのは。
    また、この台詞は、巻末の後書きを読むと、更に良い物に感じます。
    この『スモーキング・サベージ』の執筆で、岩城先生も、漫画家として、人間として、何より、男として成長しています。
    そんな先生の漫画を一切の負い目なく読めるよう、私も精進していきます。
    そんでもって、必ず、一小説家として、岩城先生に自分のデビュー作品と、この『スモーキング・サベージ』(7)を持って、堂々と会いに行き、サインとイラストをお願いしたいものです。
    「学べるチャンスがあるなら、全部、吸収しろ――――!! テメーからは、本気の熱量が感じられねぇ。死んでんだよ!! ハンパな考えの奴がいると、仲間に危険を及ぼす・・・」
    「ゔっ・・・うぐ・・・う・・・」
    「帰るぞ・・・」(byミドさん、九条)

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