新装 アニミズムという希望―講演録 琉球大学の五日間

著者 :
制作 : 山極 寿一 
  • 新泉社
3.86
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本棚登録 : 76
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787721822

作品紹介・あらすじ

今やっと、三省さんの時代が来た。三省さんがかつて語った言葉に真摯に耳を傾け、それをひとりひとりが実行する時代になった。そう心から思う。
——山極寿一「詩人・山尾三省さんが予言したこと」

1999年夏、屋久島の森に住む詩人・山尾三省が琉球大学で集中講義を行った。「土というカミ」「水というカミ」……、詩人の言葉によって再び生命を与えられた新しいアニミズムは、自然から離れてしまった私達が時代を切りひらいてゆく思想である。
2000年に刊行されたロングセラーの講義録の新装版。元京都大学総長の霊長類学者・人類学者、山極寿一の解説を付す。(発行=野草社)

感想・レビュー・書評

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  • 特に事前知識もないまま、タイトルに惹かれて購入しました。「アニミズム」、日本風に言えば八百万の神、あるいは自然神道とでもいえる思想について、著者がつくった詩を交えながら幅広くかつ深く書かれている本という印象を受けました。表紙にも書かれているように、著者が琉球大学で行った5日間の講演録をもとにしたということで、とても読みやすいですが、時間をかけてじっくり読むことをお勧めします。

    印象に残る点が山ほどあったのですが、私が特に印象に残ったのは最後の方に記載されている、「自分が石になってみる、樹になってみる」という記述でした。石になってみると暖かい、心身を石に解き放ってみなさい、また自分が樹になったつもりで両手を広げて太陽にあたってみなさいというのが印象に残りました。日本の自然神道には石をご神体としてあがめるところもありますし、屋久島の縄文杉がその代表例ですが、樹齢のふるい木をご神体にすることも大いにあるわけです。

    また太陽、水、樹、石、土・・・それぞれに生命(カミ)を感じること、それこそが現代人に求められる感覚であろうと本書を読んで強く感じました。本書でたびたび登場する屋久島にはぜひ一度足を運びたいと思いました。

  • 感動して読んだ方にも、真剣に語っているだろう著者にも申し訳ないし、語られていることは至極真っ当なものにちがいないのだが、わたしは、背中が痒くなってくるのを感じてしまった。悪くいってしまえばこれは、「恵まれたものの見つけた真実」なのではないだろうか。
    地方の寒村で貧しく育った者が、新しく生きる場所を、都会以外に求めて選んでいくことができるだろうか? とくに、女性は?

  • 70年代のムーブメントに近いのかなと。今この本が注目される理由も何となく理解できる。ナワ・プラサードでもレジの前で発見。

  • 第一話 土というカミ
    アニミズムについて
    歌の起源
    神を求めて泣きなさい
    土というカミ
    第二話 山に向かって
    まことの光
    唯識哲学
    聖老人
    第三話 小さ愛さ
    「部族」
    小さ 愛さ
    火を焚きなさい
    生命地域主義
    第四話 家族について
    流域の思想
    個人的な願い
    家族について
    大工という夢
    第五話 新しい自然神話
    生きることの意味
    新しい自然神話
    第六話 私は誰か
    心を以って心に伝える
    自分の住む場所
    地獄は一定住みかぞかし
    太陽と水に祈る
    私は誰か
    第七話 存在するものの知慧
    自我と自己
    存在するものの智慧
    土の道
    「春と修羅」
    第八話 ユウナの花
    農民芸術概論綱要
    地盆の呼吸
    地域の地質学
    原郷の道
    「雨ニモマケズ」
    第九話 水というカミ
    水が流れている
    水を原理としたタレス
    科学と宗教
    第十話 ついの栖
    生涯の仕事に出会う
    小林一茶のアニミズム
    「故郷性依存」
    第十一話 「出来事」というカミ
    24節気72候
    不生不滅
    「出来事」というカミ
    踊り
    第十二話 静かな心
    プラフマン
    カミの語源
    縄文の火
    火を原理としたヘラクレイトス
    第十三話 びろう葉帽子の下で
    ヨーガの五つの道
    国と郷
    縄文杉への道
    第十四話 回帰する時間
    親和力
    アイ・キン・イー
    直進する時問と回帰する時間
    第十五話 日月燈明如来
    石になる、樹になる
    海如来
    日月燈明如来
    新しい時代への道
    講義で紹介された本や作品
    詩人・山尾三省さんが予言したこと 山極寿一

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著者プロフィール

1938年、東京・神田に生まれる。早稲田大学文学部西洋哲学科中退。67年、「部族」と称する対抗文化コミューン運動を起こす。73年〜74年、インド・ネパールの聖地を1年間巡礼。75年、東京・西荻窪のほびっと村の創立に参加し、無農薬野菜の販売を手がける。77年、家族とともに屋久島の一湊白川山に移住し、耕し、詩作し、祈る暮らしを続ける。2001年8月28日、逝去。
著書『聖老人』『アニミズムという希望』『リグ・ヴェーダの智慧』『南の光のなかで』『原郷への道』『インド巡礼日記』『ネパール巡礼日記』『ここで暮らす楽しみ』『森羅万象の中へ』『狭い道』『野の道』(以上、野草社)、『法華経の森を歩く』『日月燈明如来の贈りもの』(以上、水書坊)、『ジョーがくれた石』『カミを詠んだ一茶の俳句』(以上、地湧社)ほか。
詩集『びろう葉帽子の下で』『祈り』『火を焚きなさい』『五月の風』(以上、野草社)、『新月』『三光鳥』『親和力』(以上、くだかけ社)、『森の家から』(草光舎)、『南無不可思議光仏』(オフィス21)ほか。

「2021年 『新装 アニミズムという希望』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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