- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787803702
作品紹介・あらすじ
本書は、臨床における実践を念頭に置きながら、非常に具体的に記述された"コミュニケーションの教科書"です。各章に要約があり、巻末には付録として著者と患者役の女優とが6段階のアプローチに則った、具体的な面談での会話を記載。本文では、コミュニケーションの実践的な秘訣を47の基本原則として格言のように述べています。
感想・レビュー・書評
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<シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190
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この本、名著であるにもかかわらず今読みました。
本当に勉強になりました。
後期研修医向けだと思いますが、ターミナルケアなどのポートフォリオ指導にも使える指導医向け本でもあると思います。
前半は”Bad News Telling(悪い知らせ)”はなぜ伝えるのが難しいのか、伝える価値はなんなのかということが詳細に書かれてあります。
基本的な聞くステップなどは学生〜初期研修医レベルでしょう。これもきちんとここまで丁寧に書かれていてびっくりしました。
患者の反応のあたりから、後期研修医レベルだと思います。泣いた患者さんへの心遣いのステップとか、普段やってることが言語化されてびっくりです。
「私は後どれくらいでしょうか?」という予後を尋ねられたとき(p.166)とか、特に若いターミナル患者さんにはよく聞かれますよね。
「子どもに悪い知らせを伝えること」(p.177)はたった3ページだけど非常に勉強になることが書かれてました。子どもは「ぼくが部屋の片付けをしなかったからママが病気になったんだ」なんて”魔術的な考え”をすることがあるから、誰のせいでもないときちんと伝えてあげないといけない、これはハッとする記述でした。
医療従事者の反応(p.196)に関しても書かれているのも素晴らしい。転移・逆転移はよくかかれてますが、自分が身を引いてしまったり、後退してしまったり、怒ってしまったり、罪悪感をもったり、拒絶したり・・・。医療者としては必ず経験することだと思います。
その中でも、怒りに対する反応への対応は勉強になります。①怒りを認める、②怒りを態度ではなく言葉で表現する(態度で表現するより言葉で表現する方が損害を少なくできる)、③怒ってしまったのであれば、後でそのことについて話し合う。
この本、悪い知らせを伝えることを前提にはしていますが、患者さんの感情や背景に寄り添った方法を事細かに書いてあって素晴らしかったです!
訳本と感じさせない素晴らしい訳にも感謝!!