法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

著者 :
制作 : 株式会社日本経営税務法務研究会 
  • 新日本法規出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788282865

作品紹介・あらすじ

200円の印紙が売上4億円を無駄にする!?日本経済新聞社による第12回「企業法務・弁護士調査」総合ランキング(企業票+弁護士票)税務分野第1位の著者が、難解な印紙税法を、わかりやすく解説!初学者向け決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 鳥飼先生が印紙税の基礎を分かりやすく,かつ実務的な観点から解説する好著。印紙税法は,具体的にこれが課税文書になるのかどうかで頭を悩ますことも多いので,これは良い本ですね。

  • 非常に地味な税目で注目度の低い印紙税について鳥飼弁護士が解説。ただ印紙税は民商法の知識が生かせるため弁護士向けの税法だという。鳥飼弁護士によれば、「弁護士は民商法などに詳しく、法的な思考方法をマスターしている上に、文書の証拠としての利用法を知っているのですから、印紙税法をマスターしやすい位置にいます。その気になれば、弁護士が印紙税の専門家になるのは難しいことではありません。そして、印紙税の専門家不在の現状から、印紙税の専門家になった弁護士は、競争相手がいない職域で、貴重な存在、かつ、目立つ存在となります。これは、訴訟事件数の激減による弁護士業務の衰退の危機を乗り越える有力なチャンスになりうるものです。さらに、弁護士が印紙税に関する税務調査に詳しくなれば、印紙税の税務調査対応ができる専門家不在の現状からすれば、企業から多くの相談を受けることになります。それは、印紙税だけでなく、他の税法に関する税務調査への関与のチャンスを得ることにもつながります。」とまで言い切っている。その真偽のほどは確かではないが、職業会計人であれば基礎的な理解は必要であろう。
    P98
    ウ ブロ野球の選手の契約も、俳優の契約も請負!?
    プロ野球の選手、俳優などの契約は、請負契約とされています。下記の課税物件表の第2号文書の「定義」の欄を見てください。
    第2号文書
    <物件名>
    請負に関する契約書
    <定義>1 請負には、職業野球の選手、映画の俳優その他これらに類する者で政令で定めるものの役務の提供を約することを内容とする契約を含むものとする。
    プロ野球選手、映画俳優などの役務の提供は、請負になると書いてあり ます。さらに、「これらに類する者」でも、請負になる場合を政令で定めています。
    この課税物件表でいう「政令」とは印紙税法施行令21条1項のことです。印紙税法施行令21条1項で課税物件表の第2号文書の定義欄に規定する政令で定める者として以下の者が挙げられています。
    ・プロボクサー
    ・プロレスラー
    ・演劇の俳優
    ・音楽家
    ・舞踏家
    ・映画又は演劇の監督、演出家又はプロジューサー
    ・テレビジョン放送の演技者又はプロジューサー

    以上のように、プロ野球選手に関しては定めがあるものの、プロサッカー選手やプロバレーボール選手に関しては、何の定めもありません。印紙税法は限定列挙主義なので、法令・通達に定めのないプロサッカー選手やプロバレーボール選手などの契約書は、印紙税法上、請負に関する契約には該当せず、課税文書になりません。
    P117
    以上のように、第17号文書の非課税要件は、商法の考え方を基礎にして、会社以外の法人において、営業者の範囲を広げたものです。したがって、第17号文書の非課税要件に該当しない「営業者」とは、以下の「営業に関しない者」でない者をさすことになります。
    営業に関しない者
    i)商人ではない
    ・農業·漁業などを行っている者、サラリーマン、内職者
    ・弁護士、税理士、医師、薬剤師など
    ii)法人の場合、配当が制限されているもの
    ・国、地方公共団体
    ・公益法人、NPO法人
    ・医療法人
    ・配当制限のある税理士法人、弁護士法人など
    iii)配当をすることができる会社以外の法人が、出資者との間で行う取引(第17号文書の非課税要件)
    ・出資者との間で取引を行う農業協同組合
    ・出資者との間で取引を行う信用金庫など
    また、課税要件の1は「営業者『間」の取引であること」としていますので、当事者の双方が「営業者」でなければなりません。したがって、国と株式会社との間の継続的な契約を内容とする売買契約書があっても、それは、第7号文書にはなりません。国は営業者ではないので、営業者「間」の継続取引にならないからです。

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