脱原子力社会の選択: 新エネルギー革命の時代

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  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788505551

作品紹介・あらすじ

チェルノブイリ!もんじゅ!直下型地震!それでも原発大国をめざすのか。アメリカでは市民が原発閉鎖をかちとった。その成功のドラマに始まり、世界は多様なクリーンエネルギーに確実に向かっていることを、現地調査と最新の情報をまじえて明快に説く。日本の太陽光発電普及策と電力会社分離分割案を具体的に提言、原子力政策に大転換を迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 今こそこの本を読んで、東電と原発にさよならしよう。私のバイブルかも。原子力発電はあぶないと思ってはいた。東京電力などによる地域独占の電力会社が発電から送電、配電まですべて行う現在の電力供給体制も、なんだかなと思ってはいた。しかし、自分が生きているうちに、こんな事故がおこり、事故処理にあたっている東電や原子力安全保安院の対応、政府や原子力安全委員会の記者会見などを見ていて怒りを覚えるとともに、こんな事態を招いたのはなぜなんだろうと疑問に思う。この本によると、アメリカのカリフォルニア州の州都サクラメント市は、住民投票でランチョ・セコ原子力発電所を閉鎖することに成功した。さらにサクラメント市に電力を供給するのは、東電のような電力会社ではなく、株主である市民の利益を第一に考えたサクラメント電力公社なのである。公社の経営なら、かつての国鉄や電電公社のように赤字やサービスの低下がおこるかと言えばそんなことはなく、しっかりと市民が監視しているから、安全で安い電気を供給してくれるのだ。さらに省電力発電という、意表をつくけれどまっとうなことをやり、各家庭での太陽光発電や省電力タイプの冷蔵庫の普及運動までもやってしまうのだ。世界では、いかに原子力発電が時代遅れになっているかもしめされている。もっともこの本は1996年発行のため、原子力ルネッサンス以前の情況だが、今回の東電の原子力発電所事故で、原子力ルネッサンスなんか幻想だったということが明らかになった現在では、ここの書いてある通りの情況といってよいだろう。あわせて日本がどうしたらよいかという提言も示唆に富む。電力会社も発電、送電、配電部門などに細かくわける方法や、イギリスのように電力プール方式にするなどし、市民の電力とすべきと述べている。そうすることで、原子力発電をやめても電気に私たちは困らないのだ。今こそ、長谷川公一先生のこの本を読んで、これからのエネルギーのあり方を考え、行動して行きたいと思う。

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著者プロフィール

1954年、山形県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学博士。東北大学大学院文学研究科教授などを経て、現在は尚絅学院大学大学院特任教授、東北大学名誉教授。専門は環境社会学、社会運動論、社会変動論。おもな著書に、『脱原子力社会の選択』(新曜社、1996年、増補版2011年)、『脱原子力社会へ』(岩波新書、2011年)、『新版 社会学』(共著、有斐閣、2019年)『社会運動の現在』(編著、有斐閣、2020年)などがある。

「2021年 『環境社会学入門 持続可能な未来をつくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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